愛国者の憂鬱

制作 : 長嶋 りかこ(ブックデザイン) 
  • 金曜日
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本棚登録 : 98
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784906605958

作品紹介・あらすじ

教授、右翼と何の密談ですか?脱原発、天皇制、音楽の起源-。世間がアベノミクスに浮かれ、レイシズムの言葉が飛び交う中、危機感に駆られた2人が緊急会合!10時間にわたり思いを語り尽くした。

感想・レビュー・書評

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  • 左翼の教授と右翼一水会代表という異例の組み合わせの対談だが、全く違和感が無い。その訳は二人とも真の愛国者(この本では愛国とは自国愛のこととして使われており、他国憎になるから使うのが難しいとされ、もっともだと思うが)だからだろう。日本を愛するのであれば原発反対は当たり前の結論である。また、最近の偏狭的ナショナリズム傾向に警鐘を鳴らし、この愚かな行為がどれほど惨めな行為でもあるかを諭す。今でもYMOを聞き、天皇とこの国土を愛しく思う私としては、実に的を射た本である。くだらない反韓だか嫌中だかの本を読んで、自己満足に陥り溜飲を下げている読者とその著者には是非とも読んでもらいたいものである。

  • 右翼、左翼と名称は知ってても、ピンとこないくらいに疎い私だが『愛国者の憂鬱』なんて、題名は好奇心がそそられる。鈴木邦男、坂本龍一互いに名前や活動は知っていたもののある日反原発の国会前の運動で言葉を交わすことに.初めての対談に加え二度目の対談。『君が代』から世界の音楽の成り立ちや国民性、宗教の関係。右翼、左翼と言えども十把一絡げにしてしまいやすい日本人の国民性の怖さ。世界中でマスコミについて信用度合いが大きな日本人の今の声のあり方とネットの関係性.編集者として小田実を輩出させ、多くの知識人との交流のあった坂本龍一の父.子ども時代から見聞きした坂本龍一の考え方への影響や鈴木邦男との意外な共通点.多岐にわたる対談は怪しげな題名に偏見さえ抱かなければ非常に興味つきない話題の数々。テンポよく進む会話を楽しんで頂きたい。

  • ふ~ん、、、

    金曜日のPR
    「脱原発から、「日の丸・君が代」、ヘイトスピーチ、天皇制、三島由紀夫、高橋和巳、小田実などなど
    文豪をはじめ、音楽の起源まで語り尽くす。
    “至近距離で見た鈴木さんの目の、なんと穏やかなこと。
    もう少しで仙人になってしまいそうな目です。
    こんな優しい目をした人にあった記憶がありません。"坂本龍一
    “坂本さんのお父さんの一亀さんは多くの作家を見いだし、育て、多くの作品を作った。
    でも、この世に生み出した最大の作品は「坂本龍一」だと思う。"鈴木邦男
    出版社からのコメント
    坂本龍一の「日本への思い」があふれ出た。
    「世界のサカモト」と新右翼の理論派が激突! 二人には大きな接点があった・・・」
    鈴木邦男をぶっとばせ!
    http://kunyon.com/index.html

  • 右か左か片足ではなく両足で立ち自分の重心のありかを意識しながら話をしている。勿論、政治的な局面ではなんらかの意思表明が必要になり重心よりも結論が前に出がち。妥協的態度では失うばかりかもしれない。そのような態度は慎めというかもしれない。しかし、相手の帰結のベースにあるものに本当に双方了解可能な感覚はないのか率直に話してみることは大切だ。こういう時に、弁論術などの術や駆け引きを持ち込むことなく相互に耳を傾け合うことは大事だと思う。そのことをやってみせるリスクを負ってこういう対談に臨んだ姿勢は見習うに値する。

  • ぼくは鈴木邦男さんという人を知らなかったですが、本書のあまたの発言から、教養があり自分の言葉があり、激しい感情に流されたりせずに、冷静に、理知的に考えることのできる人だという印象を持ちました。一方の坂本龍一さんも、話し相手を得たりといった体で、いつも以上に普段着に感じられる深みのある博識さと、聡明な思考のありさまをみせてくれる。坂本さんは高校生の時に学生運動をやってたこともある人なので、右翼の鈴木さんとは、必然的に左翼や右翼の話題になるのがおおかったです。その他、鈴木さんの興味に応えるかたちで、坂本さんは音楽の起源についてや、アラブ音楽に関する雑学話や、自身が出演された『ラストエンペラー』の撮影秘話などを話している。途中、各々の若いころのルーツをしるにつけ、そのめちゃくちゃさになんともコイツらけしからんやつらだ、なんて思ってしまった。でも、若い時なんてそんなもんなんですよね、多くの人が。そういうところを隠したり否定しつくしたりせずに、受け入れて今ってものがあるっていう感覚が良かった。

  • 対談集
    バリバリのウヨクのはずなのに、サヨクの人とも、とても話の合う鈴木邦男さんに興味があって、図書館の本棚で見つけ借りる。
    怖いはずの人なのに、今はとてもとてもいい人に思える。
     
    坂本さんの復活、待ち望んでいます。

  • 音楽家・坂本龍一と右翼・鈴木邦男の対談。脱原発、日の丸君が代、憲法、生い立ち、音楽等について語る。鈴木邦男は右翼の代表的な人物だが、現状の愛国主義には違和感を感じているらしい。よくある話として、日本の体制について批判すると、すぐに「愛国心は無いのか」という方向へ議論がすり替えられ、また、ネットに過激な意見を書き込むネット右翼のような人達が増えたことを憂慮している。例えば、大阪の女子中学生が在日韓国人の方達を批判するビデオを世界中に流されて不快感を感じているし、安部首相の積極的平和主義も言葉と行動が正反対で、この強引なやり方を心配している。この風潮は、今後の日本の目指す方向性が国民で共有されていないことに起因していると考えているようだ。
    この本を読んで、愛国心について考えさせられた。以前、知人に尖閣問題で意見したら「愛国心が無いね」と指摘されたことがあり、愛国心とは何か考えたことがある。愛国心とは、この国に住んで良かったという純粋な気持ちから芽生えるものであり、他人や国から強制されるものではない。国民の経済負担を増やし、他国との対立感情を煽るような政府の政策では、国民に愛国心を求めるのは難しいと思う。

  • 国に関して知り、考える、ということ。自分は本当に知らないことが多過ぎ、ましてや積極的に知ろうともしていない。だから意見できない、ということを痛感。今後もせめて、気になる本は手にし、気になる事柄があったら少しずつでも調べ、自分なりに考える、ということを心掛けたい。

  • 変わった2人の変わった対談集です。
    右翼の鈴木とミュージシャンの坂下は,震災後活発になった脱原発集会で出会います。それをきっかけにして,この対談が実現したのです。
    「本当の愛国者なら,日本の自然と子どもたちを破壊する原発には反対するはずだ」なんて話で盛り上がったり,「押しつけ憲法反対,自主憲法制定なんていいながら,現政府がやっていることはアメリカ追随政策ばかりではないか。51番目の州のようだ」なんて話が出たり。
    今の右傾化を憂える右翼の鈴木さんは,ほんと,おもしろい人です。
    お2人には,三島由紀夫・高橋和巳も共通していたなんてのも,おもしろいです。

    個も確立していない未熟大人たちが,国家を強くすることを望んでいる。さらに,戦争がもたらす本当の姿を忘れてしまっているから始末に負えない。

    右も左も,少しは冷静になって,本書に目を通してください。どんなに意見が違っていようが,少しずつでも対話していくことの大切さが,身に染みて分かることでしょう。

  • 今では右翼や左翼という言葉自体が意味を持たない時代であることを再認識。
    国家に対する考え方が両者で一致していることは興味深い。
    お互いに様々な価値観を思考し続けているからこそ、本質的な議論ができるのだろう。

    最近、話題になる事柄について多く語られているので自分の考えの整理の一助にはなったような気がする。

    対立点が少なく却って肩透かしを食らう?

    以下引用~
    ・日本では、音楽は生活必需品ではなくて、なくてもいいもの、余暇を楽しむ程度のものっていう位置づけですよね。
    たとえば、フランスだと戦争になったら、まず真っ先にルーブルの美術品を疎開させます。人間より先に。音楽に対してもそうです。
    欧米では、音楽が自分たちの国のアイデンティティそのものなんですよ。

    ・三島由紀夫は「自分は愛国心という言葉が嫌いだ」と書いているんです。
    「愛国心」はお上の作った官製の言葉で、国民を押さえつける言葉だというんです。同時に、愛というならば普遍的なもののはずだ。それを国境で区切るのはおかしいじゃないかと。

    ・農民の自立に基づいた共同体っていうのは、昔ながらの社稷国家に戻せということですよね。
    社稷国家も、天皇が一点だけあって、あとは自立しているっていう考えですよね。

    ・先日、国民がマスメディアの言うことをどれくらい信じるかっていうパーセンテージが出てましたけど、日本だけ突出して高いんです。
    70%ぐらいの人が信じているようです。
    フランスは、お上の言うことは信じないという伝統があるので、ずいぶん低いですね。40%とか、半分以下です。

    ・今は、「大きい国家にすれば自分も強くなる」と思ってる人が多いでしょう。そういう人はダメです。あまりにも国家に頼りすぎている。国家は小さくていい。社会福祉の面と、外国とケンカをしないという外交面で最低限の安全保障をすればいいんです。
    さらに「道義国家」のように国家そのものが性格を持つ必要はありません。一人ひとりが自由で平和に生きられる国家であればいいと思います。

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著者プロフィール

1952年東京生まれ。3歳からピアノを、10歳から作曲を学ぶ。東京芸術大学大学院修士課程修了。1978年『千のナイフ』でソロデビュー。同年、細野晴臣、高橋幸宏と「YMO」を結成、83年に散開。出演し音楽を手がけた映画『戦場のメリークリスマス』(83年)で英国アカデミー賞音楽賞を、『ラストエンペラー』(87年)でアカデミー賞作曲賞、ゴールデングローブ賞最優秀作曲賞、グラミー賞映画・テレビ音楽賞を受賞。2017年3月に8年ぶりのオリジナルアルバム『async』をリリース。11月にはドキュメンタリー映画が公開に。

「2017年 『龍一語彙 二〇一一年 ‐ 二〇一七年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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