気候危機とグローバル・グリーンニューディール

制作 : Fridays For Future Japan  クロニス・J・ポリクロニュー 
  • 那須里山舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909515063

作品紹介・あらすじ

「意志の楽観主義」と政治参加で気候危機に立ち向かう。資本主義と新自由主義を乗り越え「公正な移行」へ。
――飯田哲也(環境エネルギー政策研究所所長)

レジ袋をいくら節約しても絶対に見えない、本物の持続可能な社会を学ぼう。
――井上純一(漫画家)

本書は「気候変動をとめるグリーン経済による成長」を説く。デマに過ぎない気候変動懐疑論に加え、脱成長・脱資本主義イデオロギーも、経済学の炭素税主義も、EUの2050年CO2ゼロの約束(に基づくGDP1%の投資)も、データで覆される。CO2ゼロへの移行に必要な投資は、労働力の公正な移行支援を含め米欧GDPの2%。先の大戦での米国戦費がGDPの43%なのを思えば安い。何が阻むのか。「壊滅的未来を知って頬被りする強者」と「雇用喪失に怯える弱者」による民主政の引き回しだ。だが民主政を使って壁を突破する道は、ある。本書の科学的で現実的な具体的戦略が、今こそ読まれるべきだ。
――宮台真司(東京都立大学教授、社会学者)

この本は文明社会のためのサバイバル・マニュアルだ。
――ダニエル・エルズバーグ(平和運動家、元軍事アナリスト)

現実的かつ実践的なグローバル・グリーンニューディール構想を、二人の重鎮思想家は説得力をもって展開している。
――ジャヤティ・ゴーシュ(ジャワハルラール・ネルー大学教授、経済学者)

気候危機は解決できる。世界で最も引用されている存命中の知識人ノーム・チョムスキーと、世界最大の再エネ投資計画をオバマ政権下で監督したロバート・ポーリンが、気候危機を公正に解決するための「グローバル・グリーンニューディール」構想を語り尽くす。

現実を冷徹に直視する「心の悲観主義」から始まり、その現実をより良い方向へ変えるための政策や行動に基づく「意志の楽観主義」へと到達する。Fridays For Future Japanのメンバーたちによる力強いまえがきと訳者による最新英文資料の紹介を添えた豪華日本語版。

目次
日本語版へのまえがき(Fridays For Future Japan)
序文(クロニス・J・ポリクロニュー)
第1章 気候危機の実像
第2章 資本主義と気候危機
第3章 グローバル・グリーンニューディール
第4章 地球を救うための政治参加
訳者あとがき

感想・レビュー・書評

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  • 地方から出版社を始めること。そして、個人的な喪失感を超えて(那須里山舎 白崎一裕) | 版元日誌/版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/nisshi1042

    気候危機とグローバル・グリーンニューディール ノーム・チョムスキー(著) - 那須里山舎 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784909515063

  • 気候変動について考える非常に良いキッカケになった本でありつつ、今後を考えると気が重くなる1冊でもありました。。
    「存命中の学者としては世界で最も多く引用されている」という言語学者ノーム・チョムスキー氏と、オバマ政権下のエネルギー省で政策顧問を務めた経済学者ロバート・ポーリン氏が、ジャーナリストからの質問に答える形で纏められたのが本著です。

    本著で示されたデータを見れば見るほど、「どうにかやりようがあるのか?」と思ってしまって、加えて示された解決策にしても、さすがに「石油メジャーを潰します!」みたいな過激なものではなくても、結局同じことになるような気もしていて、実現できる気があんまりせず・・・。
    ただ、本著で示された解決策を元に、右派左派が議論して歩み寄って(いや、ここが一番難しいのか?)いく中で何とか妥結可能な解決策が見つかるのでは?とも思いました。

    しかし、右派と左派のこの争い、もはやフェアなものではなくなっているような気もしていて、中間点で解決策を求めようとすると、おもむろに極論が出てきて「中間点」がズレる絵を最近よく目にするような。。
    そんな中で劣勢に回りがちな左派の論。本著を見ていても、正しさを追い求めすぎて、ストライクゾーンが凄く狭くなっている印象で、「気候正義」という語は本著で初めて目にしましたが、「正義」という単語がより議論を纏まらなくしているのでは?という感想を抱きました。

    あと個人的には、牛の畜産や酪農による土地利用が、「地球上の利用可能な土地の用途として最大であり、その広さは人間が食べる作物の栽培も含めその他すべての用途をはるかに凌ぐ」とあり、牛によるメタン排出が2018年の温室効果ガス排出総量の4%を占める・・・というのはなかなか衝撃でした。
    なんか「もう牛なんとかしなさいよ」的な感想を持ってしまいました。だとすると、最近特に欧米でベジタリアンが増えてきている理由も、「個人でできること」としてわからないでもないなぁと。ただ、豚と鶏は食べても良い気がするけど。。

    何とも悩ましさを感じる1冊でした。

  • 社会システムの課題に触れつつもイデオロギー論争に陥らず、問題の規模感を比較認識しながら、現実的な解決策を検討。
    ※部門別の温室効果ガス排出量影響等はゲイツ著書の方がわかりやすい

    ・条約破棄による戦争危機と気候危機は、人類存亡に関わる2つの実存的危機

    ・大気中CO2濃度は5000万年前の始新世以来の高さに到達しようとしている。当時は産業革命以前より平均気温が14℃高い。千万年単位で起こっていたCO2濃度上昇が人間活動で数十年に短縮

    ・脱炭素に向けて必要な投資は、米でGDP1〜2%。第二次世界大戦時はGDP43%投入

    ・資本主義が構造的に安価な化石燃料依存体制から脱却できない方向への力学となる

    ・化石燃料3兆ドルを座礁資産とすることは大きな損害だが、世界金融資産総額317兆ドルとの比較認識を持つ
    ・段階的脱却ではさらに影響は小さい。リーマンショック16兆ドル損失との比較認識も有効
    ・クリーンエネルギー変革の別の成長をもたらす

    ・再生可能エネルギーを中心とするエネルギーシステムの諸課題を解決する方策は、資源制約を含め、一定の目処。今後5〜10年の技術開発で射程
    ・一方で炭素除去技術等はこれまで数十年の技術開発を経ても一部を除き商用規模での展開が困難。残り数十年で展開できるか未定。一部の回収技術、吸収源対策等の限定的役割
    ・気候関連地球工学技術も未確立
    「気候危機対策にプランBはない」レイモンド・ピエールハンバート(2019)
    ・再エネ100%も現実的に困難。再エネ中心に炭素回収、原子力を組み込んで現実化

    ◯気候金融
    ・ジャストトランジッションの推進
    ①炭素税(払い戻し付):炭素1トン当たり20ドル(2200円)から、ガソリン価格5%上昇に相当
    ②軍事予算からの資金移転:世界6%を割り当てるとすると1000億ドル(11兆円)
    ③グリーン債による資金調達(中央銀行主導)
    ④化石燃料助成金廃止、うち25%クリーンエネルギー投資割当


  • ◯グリーンニューディール構造の柱
    1. GHG削減は最低でも30年45%減、50年実質ゼロ(IPCC)
    2. 省エネ基準の格段の向上、再エネ供給量の格段の増加の投資
    3. 化石燃料産業労働者、その他社会的弱者を雇用喪失や経済的困窮から守りながらグリーン経済へ移行
    4. 気候安定化と共に労働者や貧困層の雇用機会拡大や生活水準の引き上げと同時に実現させる

    ◯気候変動の評価
    ・ポーリン: 気候科学者ではないため、IPCCの研究を評価できないが、IPCCは1988年にUN傘下で創設され、独自に研究を行うのではなく、関連文献の評価を行う情報センターとして機能。報告書の執筆と評価に数千人が関与、能力の高い人たちが所属している。

    ◯化石燃料の価値
    ・地中の未燃の化石燃料のうち、諸企業の保有量は3兆ドル、しかし19年の世界金融資産総額(equity+debt)は317兆ドルであり1%にも満たない。かつ30年かけて焼却するとすると年間0.03%ほとしかない。リーマンショックによる資産価値喪失は16兆ドルもあった。

    ◯グリーンニューディール実現のためには
    ・チョムスキー:利益追求型である限り人類に希望はない
    ・高めに見積もって、世界GDPの2.5%を、世界規模で投資支出に当てれば良い
    1. 既存インフラの劇的な小ネネ基準の向上
    2. グリーンエネルギー源の劇的拡大
    ・現実的には24年から、50年までの27年間で平均4.5兆ドル、トータル120兆ドルの支出。民間・公共で支出を折半

    https://www.oxfordhandbooks.com/view/10.1093/oxfordhb/9780198862420.001.0001/oxfordhb-9780198862420-e-16

    ・ポーリン: 原子力は廃棄物や事故リスク、軍事転用といった問題が大きくネガティブ、再エネ投資の継続で実現可能という立場。トランプ政権下のエネルギー省ですら、原子力発電コストは太陽光や陸上風力より30%高いとしている。
    ・チョムスキー: 上記デメリットを理解したうえで、最初からその使用を否定するのは短絡的との立場。

    https://www.eia.gov/outlooks/aeo/pdf/electricity_generation.pdf

    ◯気候変動の責任
    ・1980年まではアメリカと西欧諸国で累積の7割を排出、現在は中国が世界一だが、一人当たりでみるとアメリカの16.2トンがその2倍を行く。

    ◯産業政策
    ・炭素税は価格シグナルを発揮して化石燃料を割高にし、炭素上限は排出量にキャップを設けられる点でメリットだが、低所得者層の生計を圧迫するため還元が必要。
    ・電力会社に対する再エネ利用割合基準(RPS)は規制を厳格に監督しなければ失敗する、複雑な取引条件を利用することで回避できてしまうからだ。

    ◯財源
    1. 炭素税: 75%国民還元、25%グリーンエネルギー投資。24年には20ドル/炭素トンと低い税率から始める。ここから世界全体で6250億ドル、ガロンあたり4ドルのガソリンは20セント(22円)値上がりする。
    2. 世界各国特にアメリカの軍事予算からの資金移転。18年世界軍事支出は1.8兆ドル、米国はその40%。この6%を気候安全保障に割り当て、1000億ドル捻出
    3. グリーン債融資制度、アメリカ連邦準備制度と欧州中央銀行が立ち上げる。双方1500億ドル、長期かつゼロ金利での発行で、合計3000億ドル
    4. 既存の化石燃料助成金の全面廃止、25%をクリーンエネルギー投資へ。消費者向け化石燃料直接助成金の15年世界総額は3兆ドル、世界GDP0.4%、この25%で7500億ドル

    ◯脱成長
    ・問題意識や価値観には共感しつつ、リーマン級、GDPの10%減が起きても排出量は10%しか減らずや目標達成に程遠い、雇用創出を生む。必要なのはGDPの縮小ではなく、省エネ再エネへの投資だ。
    ・96年から15年まで成長率0.7%の日本は実質脱成長だが、それでもCO2排出量は世界トップレベルから変わらず、一人当たり8.8.tでわずかにしか減少していない。
    ・理由は単純に化石燃料依存度が高いから

    ◯欧州グリーンディールの評価
    ・目標は良いが予算が少ない、GDPの0.5%という水準、少なくとも4倍は必要

    IEA世界エネルギー展望2019最近発表 

  • 原題:Climate Crisis and the Global Green New Deal: The Political Economy of Saving the Planet
    著者:Noam Chomsky
    著者:Robert Pollin
    Contribution:C.J. Polychroniou

    ・出版社
    https://nasu-satoyamasya.com/

    ・記念ウェビナー。
    https://chomskypollingreennewdeal.peatix.com/

  • これ程の困難に実際に立ち向かっている人々への尊敬と同時に、これを読んで「よ〜し頑張るぞ」と思える人の精神力は相当に凄いと思った。

  •      -2023.02.19読了

    気候危機と、その対策理論としての「グローバル・グリーンニューディール」構想を、94歳になるという言語哲学者ノーム・チョムスキーと、世界最大の再エネ投資計画をオバマ政権下で監督したというロバート・ポーリンが、侃々諤々、詳細に語り尽くす。
    デマに過ぎない気候変動懐疑論に加え、脱成長・脱資本主義イデオロギーも、経済学の炭素税主義も、EUの2050年CO2ゼロの約束(に基づくGDP1%の投資)も、データで覆される。
    CO2ゼロへの移行に必要な投資は、労働力の公正な移行支援を含め米欧GDPの2%。先の大戦での米国戦費がGDPの43%なのを思えば安いもの。
    何が阻むのか。「壊滅的未来を知って頬被りする強者」と「雇用喪失に怯える弱者」による民主政の引き回しだ。だが壁を突破する道はある。本書の科学的で現実的な具体的戦略がそれだ、

  • 背ラベル:519.1-チ

  • チョムスキーとポーリンの二人は、IPCC削減目標を達成し、なおかつその過程で十分な雇用機会を提供するような構想がグリーンニューディールであると主張する。脱成長がよく言われているが、経済成長率を落としたとて、二酸化炭素排出量はわずかしか減らないことを、データから導いている。また、今回のコロナウイルスは、脱成長がもたらす結果の良い例になったという。たしかに経済は脱成長したし、排出量も減った。だが、雇用は失われたのだ。

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001201980

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著者プロフィール

ノーム・チョムスキー(著) 1928年生。言語学者、批評家、活動家。アリゾナ大学言語学栄誉教授。『統辞構造論』(1957年)において言語学に「チョムスキー革命」をもたらし、その後も生成文法研究の発展を牽引し続けた。エドワード・ハーマンとの共著『マニュファクチャリング・コンセント』(1988年)では自由民主主義社会における思想統制のメカニズムを分析した。またベトナム反戦運動では中心的な役割を担い、それ以降も各地の独立メディアと協力して様々な草の根運動に協力し続けてきた。主に自国アメリカの国内外での強権主義に対して、アナーキズム思想と大量の歴史的資料に基づいて重厚な批判を展開している。存命中の学者としては世界で最も多く引用されている。ウェブサイト:https://chomsky.info/

「2021年 『気候危機とグローバル・グリーンニューディール』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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