- Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
- / ISBN・EAN: 9784910976013
作品紹介・あらすじ
「あなた」と「きみ」をめぐる、5つの“てのひら”の小説たち(パームストーリーズ)ちいさなハードカバーの単行本でお届けする掌篇アンソロジーあなたが私に寄越してくれたさまざまな物が、もしその時に手に入らなかったとしたらと考えると、ちょっと恐ろしいなという気がしてくる。−−津村記久子「六階を見習って」なんであれば出来事とも呼べないかもしれないくらいのもの、きわめてうっすらとした出来事のようなものからでさえ、忘れがたい印象をふいに得る、ということはきみにももちろん時々起こる。−−岡田利規「一月、生暖かい月曜日の午後のこと」此の度は機会を与えてくれてありがとう。本当に感謝している。(…)そんな僕がつい、本当に、と書いてしまったのはマジで貴殿に感謝しているからだ。−−町田康「言ひ譯」あなたは引っ越してきたばかりの街を一人で歩いている。真っ直ぐな道の果てに寺院と思しき白い塀が見える。−−又吉直樹「行列」茂呂来さん、茂呂来さん、聞こえますか。(…)きっとそちらはいま、おくつろぎタイムですよね。−−大崎清夏「眼鏡のバレリーナのために」
感想・レビュー・書評
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津村記久子さん目当てで手に取った。
「あなた」というお題から「六階を見習って」という作品が生まれるのは面白いなと思った。
主人公の考えてることが、「確かにあるある!」って思えることで、共感してしまった。
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palmbooksの新刊、待ってました!!
本のタイトルをテーマに5人それぞれの物語を紡ぐ。
不思議な世界観をもった個性ある面々。
本の大きさ、装丁から昔の詩集を連想する。
誰かに贈りたくなる本でもある。 -
掌サイズの(見た目も量も)一冊。
変わった作家さんのラインナップだなぁと思って、購入。
又吉直樹「行列」
驚いたり、怖がったり、感情の変化を楽しむ時間の使い方がある。
遊園地なんか、そんなものばかりだ。
何かが身につくわけでも、財産が増えるわけでもなく、ただ感情を「思い出」に変えていく場所なんじゃないかと思う。
憤懣やる方ない怒りをぶつける自分と、防犯カメラに映った、感情の変化に我を忘れる自分の対比。
映されることって、なんであんなに恥ずかしいんだろう。
ジェットコースターで降りる瞬間を、勝手に撮影されたあの写真を、私は直視したことがない。
大崎清夏「眼鏡のバレリーナのために」
初めて読んだ。
詩人の方のようだが、とても良かった。
長年暮らした恋人との別れ。
そのことによって気づき始めた、隣人の「音」。
想像をした隣人の姿は、実際に目にすると、怖さを覚える出立ちでもあった。
女性が男性の服装をしていたって、なんにも感じないのに。
男性が女性の、それもアイコニックな服装をしていると、どうしてハッとしてしまうんだろう。
目に刺激的過ぎるのか。
それなら、どうして女性にはそう感じないんだろう、その方がある意味怖いのかもしれない。
もちろん、その人の好きを否定するつもりはない。
そんなことで、自分の心がざわめかない日を望んでいる。 -
個別にも好きな作家さんばかりの作品を、一冊で読めるなんて、とてもぜいたくなアンソロジー。装丁もすばらしい。てのひらにすっぽり収まる宝もののような本。
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てのひらサイズでハードカバー、箔押しという、いかにも大切な本らしくステキな装幀。このサイズ、あちこちで絶賛されているので言いにくいのだけれど、私にはちょっと読みにくかった。どうしてかな。単に慣れないだけのような気もするが、1ページあたりの情報量が半端なせいかもしれない。
津村紀久子『六階を見習って』がよかった。 -
まさにてのひらサイズの本。車内とかで何読んでるんだろう、って感じに見える?かな。あなた、って日本語ではこうした書き言葉でしかなかなかつかわれないことばだけど、わたしとつながっているあなたという存在をあらためて、それぞれ5話楽しめる本。好きな作家さんがこんなにも集結!っていうのもわたしにとっては奇跡本。
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5人の作家さんの短編小説集。
装丁が素敵で手のひらサイズなのも可愛い。的なのりで購入。
わたしとあなたの物語。精神の旅。
浮遊感味わえる。 -
手のひらにのる小さなサイズのアンソロジー本。テーマはタイトルになっている「あなた」だけれど、作品によってそれは「あなた」ではなく「きみ」だったり「貴殿」だったり様々。二人称のこともあれば、一人称目線のこともある。
個人的にはやっぱり 津村記久子「六階を見習って」が面白かった。駅前のショッピングモールの六階にある生活雑貨売り場が閉鎖されるにあたり、その六階の売り場にいかにお世話になったか、助けられたかを思い、語り手は感謝の言葉を綴る。この対象の「あなた」は人間ですらないけれど、ああでもその気持ち、わかるわかる、と思う。
町田康は、どうやら物書きと思しき語り手が、担当編集者に作品が書けない言い訳をうだうだ述べ続けているのかと思いきや、終盤で軽いどんでん返しあり。
又吉さんの「行列」もシニカルで面白かった。なんの列かはわからないけれど古民家みたいなところに行列している人々、暇つぶしにその列に並んでみた「あなた」は…。二人称の小説はシミュレーションゲームのような味わいがあり、独特の距離感。途中までは不思議系かと思いきや、オチは結構真っ黒い。
※収録
「六階を見習って」津村記久子
「一月、生暖かい月曜日の午後のこと」岡田利規
「言ひ譯」町田康
「行列」又吉直樹
「眼鏡のバレリーナのために」大崎清夏 -
津村さん好きだから借りてみた。
案の定、ゆるっとした話だったけど、
特段、その後読みたいって気にならず、
2章目まで。