- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4988105026018
感想・レビュー・書評
-
映画として良くできている(ハリウッド的に)と思うのですが、個人的には良かった部分と、引っかかった部分がある映画でした。
■良かったところ
・配役がぴったり、特に主役3人がドはまり。
ショーン・ペン ミシェル・ファイファー ダコタ・ファニング
・ショーン・ペンの演技がよい。
・なぜかビートルズの曲が軸となっており、全編でビートルズの音楽が流れており、ビートルズファンとしては観ていて気持ちいい。
・過去映画へのわかりやすいオマージュ。クレイマークレイマーなどに、にやりとさせられる。
■ひっかかったところ
どうしても子育て経験者としては、一人で子どもを育て上げる大変さが想像するだけでとんでもなく大変なはずなので、この映画にリアリティを感じられず、入りこめなかったです。
また障碍のある主人公について、天使のような表現(カラマーゾフ兄弟のアリョーシャ的)をしていますが、障碍者側の目線で見た場合、障碍者だからといって天使的なピュアさだけをステレオタイプに押し付けられても困るだろうな、人間的な明るい・暗い部分があるはずなので、そこを全て受け止めるような部分も欲しかったなと、これは限られた映画の時間で表現するのは難しいし、メインストーリーからすると省かざるを得なかったのだと思いますが。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
知的障害(7歳程度の知能)を持つ父親がシンブルファザーとして1人の子どもを慈しむ。
子どもが彼と同等の7歳を超えたとき、彼に自分の子どもを養育し続けることが可能なのか。
仕立てとしては少しばかり強引な展開ではあるが、通常の生活にも困難を極める1人の父親が子どもを大切に想う一点でストーリーが展開する。
2001年米国映画。主演は若きショーン・ペン。健気で「よく出来た」7歳娘ルーシーをダコタ・ファニングが演じる。
拙い言葉を一言一言紡ぐ父親サムと父親を流暢に諭すような口調の子役の掛け合いが面白い。
ショーン・ペンの圧倒的な演技にも全く動じない子役は安達祐実ちゃんや芦田愛菜ちゃんを彷彿とさせる。
障害があっても愛情がどうのというベタな感動ポルノ作品で終わらないのは、登場人物たちの丁々発止の言葉のやり取りの面白さ。
テキストは理解できても、抽象度が上がりコンテクストとなると混乱してしまい、オウム返しの会話が続いた果てに、双方落としどころを見つけたり、誤解のままクスッと笑わせたり、障害を決して悲惨な「可哀想な状態」にとどめていないところかな。
出来た娘と、子どものままの父親という構図、今でいう「若年介護」や親子逆転になってしまうという無粋な現実は置いておいて。言葉のキャッチボールを愉しめる作品。
中盤から登場する裁判で養育権を取り戻すため依頼した弁護士リタ役ミシェル・ファイファーが良かったな。
アメリカの成功した負けなしの弁護士でありながら、妻として母として、人間としての自分に自信を失うあまり、憤る様。汚い言葉満載笑。
ビートルズの名曲がモチーフとして使用され、アメリカのお馴染みのストアやレストラン、そして私の大好きな『クレイマークレイマー』も展開のなかで上手に組み込まれている。
携帯電話ノキアの呼び出し音や、うちの子どもたちが履いていたピカピカ光るサンダルも懐かしい(フットロッカーで売っていたやつ)。
親であること、子を慈しむこと。
愛情、知能、経済力という養育のバロメーターは必ずしも数値化できないから難しいな。
その前に親が1人の人間として自尊心を持つことが実は大切かもしれない。自分が自分であることは肝心かなめなのだな。
いくつかの賞を受賞したというショーン・ペンの演技。鬼才。彼のイデオロギーの反捕鯨関係がこの時期もちらりと笑。彼が内に抱えるエネルギーの凄さが演技に現れた作品だと感じた。 -
娘役ルーシーを演じるダコタ・ファニングが素晴らしすぎる。
すでに知的障害者の父サムが社会からどのように見られているのかを感じ、それを受け入れようとしている。
いつものパンケーキがないと店員に喚く父を見るあの目。
父が読めない単語を自分も読めないフリ。
父の知能を自分がもうすぐ越えてしまうことを理解している。
周りが子供のため、という理由で親と子を引き離そうとするシーンでは泣いてしまった。
最終的にはこの父娘は一緒に暮らすべきだと周りが認め、週末にサッカーを興じるシーンで映画は終わる。(このシーンもよかった…泣)
ミシェル・ファイファー演じる美しい弁護士もよかった。
高い知能を持ち、社会的地位も手に入れていれている、そして息子を充分に愛している。
にも関わらず、息子に上手く接することができない、愛情表現をすることができない。
この弁護士リタが「子供の愛し方がわからないの!」と涙ながらにサムに訴えるシーンも泣けた…。
本当にいい映画だが、一つ問題というか…
長年引きこもっていたお隣りのおばあさんは…?
彼女のもつ問題は解決していないけど…。 -
以前,末娘の下宿から来た荷物にこのタイトルの本が入っていて,自宅の本棚に並べてあげたことがあるなあ…と思いながら,見始めた。娘のことだから,小さな子が出てきたり,人権的な話が出てくるのかな…と。
で,やっぱり思った通り,知的障害・自閉症っぽい父親に育てられる一人娘の話だった。
この少女は,障害を持つ父親に育てられた方が幸せなのか,それとも,裕福な家庭へ養子に行ったほうが幸せなのか。
裁判中に発っせられる,冷たい言葉と,父親の周りの大人たちの暖かい言葉とのコントラストが鮮やかで,原作も読んでみたくなった。
アイ・アム・サム。だれでもない,僕は,僕だ!
養子先の家から毎晩抜け出すルーシーを見ていると,アルプスの少女ハイジの一場面を思い出した。夜になると夢遊病の様になり,アルプスを目指そうとするハイジの姿だ。
この映画,ビートルズ好きにもお薦めしたい。まず,このサムの部屋にはジョン・レノンのポスターが飾られている。映画には,ビートルズの曲が何曲も流れてくる。別の人がカバーしている曲なのだが,オリジナリティーを失わない程度の楽曲になっているのでイントロまでそっくり。いやー素敵な映画でした。
《NHKプレミアムシネマ》の解説を転載
ショーン・ペンが知的障害の父親を熱演、 ダコタ・ファニング演じる幼い娘との心のきずなを描く涙の感動作。
知的年齢が7歳の父親サムは、独りで娘ルーシーを育てている。 健やかに育ったルーシーは7歳になり、父の知的能力を追い越してしまう。 サムには、これ以上の子育ては無理だと判断され、父娘は離れ離れになるが…。
サラ・マクラクラン、シェリル・クロウら豪華アーティストがビートルズの名曲をカバーし、 深い余韻を残す。 -
障害児施設職員として働いていた時に借りて観ました。
知能が6歳のサムが父親として娘にこれ以上とない愛情を与え、障害を持つ友だちにも支えられて育てるところが何ともほっこりしました。その中で、障害が際立つ部分があったりと娘が施設に預けられてしまい、取り返す姿は、諦めず障害を乗り越えた愛情が見えました。
健常者と障害者の壁なんて無い、人として愛情を持つことの大切さを実感させてくれるステキな作品です。
こんな見方、考え方があるんだと、知的障害の個性的でステキな部分が沢山詰まっています。 -
160212観賞。
10年以上前にノベライズを読んで以来の初めての観賞でした。
むろん、名作です。
主人公サムは知能が7歳、英語も平易で率直な言葉がたくさん使われています。
日本人は、回りくどく語らず人を包み込む民族性ですが、サムはまっすくで、裏面のない、時に言ってほしくてたまらないことをちゃんと言ってくれます。
賢いルーシーも素敵だし、周囲の人々の氷が溶けるように和解していくのが、心底ほっとして思わず涙する映画でした。 -
制作年:2001年
監 督:ジェシー・ネルソン
主 演:ショーン・ペン、ミシェル・ファイファー、ダコタ・ファニング、ダイアン・ウィースト
時 間:133分
音 声:英:ドルビーデジタル5.1ch/DTS5.1ch、日:ドルビーステレオ、英(解説):ドルビーステレオ
スターバックスで働く7歳の知能しか持っていない中年男サムは、ホームレスの女性が出産した自分の娘、ルーシー・ダイアモンドと幸せに暮らしていた。
しかし7歳になったルーシーはサムの知的能力を追い抜いてしまい、サムは父親として養育能力がないという判断をソーシャル・ワーカーに下されてしまう。
ルーシーは施設で保護されることになり、サムは失意にくれる。
彼は法廷で闘う決意を固め、エリート弁護士のリタに依頼。
自分が社会奉仕の仕事もできることを見せつけるために弁護を引き受けたリタだったが、どう考えてもサムには不利な裁判。
彼の障害者の友人たちは裁判で普通の証言ができず、隣人アニーも外出恐怖症を乗り越え証言台に立つのだが、相手の弁護士にやり込められて落ち込んでしまう。
一方、サムとルーシーは親子の絆をますます深める。
サムは結局、条件付きで親権は認められたものの、ルーシーは里親のランディらと一緒に暮らすことに。
だがサムはその家の近所に引っ越して、ルーシーは毎日のように彼に会いにいく。
2人の愛情の深さに気づいた周囲は、ようやくその親子関係を認めるのだった。 -
ショーン・ペン演じるサムと同棲していた女性の間にルーシーという女の子が産まれるが、
その女性は産まれた子をサムに押し付けて失踪してしまい、サムは一人で子育てをすることに。
しかしサムは7歳程度の知能しかなく、
ルーシーはあっという間にサムの知能をこえてしまう。
サムはソーシャルワーカーに養育能力がないと判断され、ルーシーは施設に預けられてしまい、
サムはルーシーを取り返そうと奮闘する。
素晴らしい映画でした。
次お気に入りを訊かれたら、間違いなくこれを挙げると思う。
とにかく役者さん全員が素晴らしい。
ショーン・ペンは心の優しいまっすぐな精神遅滞者にしか見えないし
ダコタ・ファニングは本当にきらめいているし
ミシェル・ファイファーは本当に美しくて役にぴったりだし
脇役の人たちがみんな素敵だった。
とにかく開始15分頃から涙腺が崩壊してしまって
どっぷり映画の世界に入り込みました。
お気に入りのシーンは断然横断歩道のところ!
それと絵や光の具合も好き。
いいなあ、と思ったのは
きっと判事さんもSWさんも悪い人じゃないんだよね。
その瞬間瞬間でベストな状況を作れるように
職務的義務を果たしてるだけで
それがサムとルーシー側からすると
二人の親子の愛を邪魔しているように見えてしまう。
何が良いかは結果次第だったりするだろうし
完全なる悪、みたいな人たちがいないのも
素敵だなあって思いました。
障害の問題と
育児の問題と
愛の問題と
どれも一筋縄ではいかないテーマだけれど
温かなビートルズの音楽とともに
すっと心に染みわたるお話でした。
観た事がない人にはぜひぜひ観て欲しいなあ。 -
誰でもDNAから見れば親になれる。
でも、子どもから見て良い親になるにはとても大変で今の自分ではとても子どもももちろん伴侶を得られるとは思えない。