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感想・レビュー・書評
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灰色のイギリスから太陽輝くギリシアのコルフ島で5年間を過ごしたダレル一家の物語、コルフ島三部作の二作目。
一作目「虫とけものと家族たち」には書ききれなかったドタバタ騒動を書き加えたもの。
冒頭の作者まえがきからして楽しい。
作者ジェラルド(ジェリー)に対して他の家族、母、長兄ラリー(作家のロレンス・ダレル)、次兄レズリー、姉マーゴは不満続出。末っ子ジェリーが書いた本のせいで自分たちは近所や親戚からは好奇の目で見られるし、見知らぬ読者からは完全に変人扱いされるし!
そこでジェリーは一番いい解決方法として、その続編を書くことにした…というもの。
というわけで地中海の島での騒動がまた語られる。
語り手のジェラルド・ダレルは子供の頃から無類の動物好きで、成長してからは私設動物園を作ることになる。そんなジェラルド(ジェリー少年)が送った動物たちとの日々は輝きに満ちている。
生まれたばかりのハリネズミの赤ちゃんにミルクをやり、タツノオトシゴの赤ちゃんが雄のお腹から出てくる瞬間を目撃し(タツノオトシゴはメスが産んだ卵は、雄の卵嚢に収められて成熟した姿で雄のお腹から出てくる)、サソリがヒバリの雛を捕食する様子を見て、海亀の死骸をのこぎりを使って解体し、うなぎの幼魚たちの大群が川から海を目指す様子を見つける。さらにはたまたま知り合いの女性の出産を目撃することにもなる(分娩中近所や親戚の人たちが覗き込みに来るらしい。。)
出てくる人たちもみんな楽しい。
近隣の農民や漁師たちはジェリー少年を動物好きの男の子と認識しているから珍しいものがかかれば取っておいてくれるし、コルフ島に滞在している欧米人たちは(彼らはおそらく経済的に余裕があるので)いつも大騒動を巻き起こす。
そしてその幸福と騒動を表す文書がとても良い。
本書の最後は、家族と友人たちと動物たちと、楽しい楽しい一日を過ごして、あまりの楽しさに甘い悲しみを覚えるという描写で、この場面は読みながら泣けてくるくらいの幸福感を味わった。そしてジェリー少年は「これからもずっとこんな風に楽しいんだ」と思うのだが、その明るい日々は戦争の開始によって終わる。
彼らがその後どうなったかは、このシリーズのあとがきや、ジェラルド・ダレルと長兄ロレンス・ダレルの著書により紹介されている。
戦争が終わりコルフ島はダレル兄弟の著書により有名観光地になったり現在では高級リゾート地になったり、そしてジェリー少年の動物好きは変わらずに、イギリスのジャージー島に動物園を作ることになった。
ジェラルド・ダレル コルフ島1作目「虫とけものと家族たち」
https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4122059704#comment
ジェラルド・ダレルがジャージー島に作った動物園の話「動物の館」
https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/B000JA4KCU
ロレンス・ダレルの書いたコルフ島生活「予兆の島」
ジェリー少年のものとは全くトーンが違っている(笑)
https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/B000J7QBG6#comment詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ある夏、変わり者ぞろいのダレル一家は明るい日の光を求めてイギリスから、ギリシアのコルフ島にやってきた。
末っ子のジェラルド(通称ジェリー)は生き物が大好きで、豊かな自然、珍しい動物たちに夢中になり、捕まえてはこっそり家に持ち帰るがそのたびに騒動と珍事件を巻き起こす。
森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』にこの作品が出てきます。
それで存在を知り、2014年に中公文庫が「虫とけものと家族たち」の復刻版を出版したので読んでみたら面白かった。
続編である「鳥とけものと親類たち」の復刻をずーーーーーっと待っていたけど、音沙汰ないので図書館で借りました。
やっぱり面白い。 -
図書館で。
イギリスのユーモア文学、という括りがあるのかどうかは知りませんがそう言う感じ。面白かった。特にウミガメの解体とか。正気の沙汰では無い(笑)
とは言えいい年しても仕事しないで家に若者がプラプラしてるって不健康だよなぁなんて思いました。主人公はまだ10代だから当然ですが成人しても仕事をする訳でもなく家の財産を宛にして何をしてるんだかわからない兄が二人居て、姉は家のことをしているんだかどうだかわかりませんがなんとも、といった感じ。
小人閑居して不善を為す、ってトコなのかなぁ。不善ってほどでもないけど。
それにしてもギリシャは素敵だなぁ。一度行ってみたい。ギリシャ料理、美味しかったなぁ…とアメリカにあったギリシャ料理を思いだしました。
どうでもいいけどこの表紙はちょっと無くないですか?子供の落書きみたいだ。