現代フランス文学13人集〈第2〉トロピスム,迷路のなかで,瀕死の王 (1965年)

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感想・レビュー・書評

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  • ナタリー・サロート『トロピスム』
    登場人物が三人称で語られることにより個々の人物というよりは自分たち、この街のどこかにいる人たちが執拗に皮肉に描写されているように思える、不思議な感覚になった。

    アラン・ロブ=グリエ『迷路のなかで』
    描写が非常に細かいが、少しずつずれが生じていき、絵画のなかの説明なのか物語内の出来事として描かれているのか曖昧になり揺さぶられていくのがすごかった。まるで意識が混濁していくような感覚になる。

    ウジェーヌ・イヨネスコ『瀕死の王』
    滑稽なほど大げさに、迫りくる王の死が描かれているが、王が逃れられない死に周囲から誘導されていく様が、現代の国や世界が環境破壊とか諸々の問題によってこのまま何もしなければ終末に向かっていく未来図と重なった。

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著者プロフィール

ナタリー・サロート(Nathalie Sarraute 1900‐99)
フランスの女性作家。モスクワ近くイヴァノヴォの、裕福で教養あるユダヤ人家庭に生まれる。子供時代、離婚した両親のもとを行き来し、パリで再婚した父のもとで育つ。大学で法律や英語などを学び、自身も弁護士として働くかたわら、文学創作に着手する。1939年、『トロピスム』を出版。第二次世界大戦中はユダヤ人として辛い体験をするが、戦後はヌーヴォー・ロマンの旗手として活躍し、人間の心理以前の無意識の作用、言葉になる以前の感情など、微妙な心の動きを探求、表現した。

「2020年 『子供時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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