グラスホッパー (角川文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 「殺し屋」シリーズの一作目がキンドル・アンリミテッドで読めることに気づいた。「AX」が頭に少し残っているうちに読むことにする。

    押し屋vs自殺屋「鯨」vsナイフ使い「蝉」。
    三つ巴、最後まで生き残るのは?っていうストーリーだけど、メチャクチャ面白いじゃないですか!
    手に汗握る展開。ページを繰るスピードも上がります。

    鯨の初登場場面でノックアウトされる。
    恐ろしく残虐なのにユーモアもあり、ほどほどに知的でクールだ。「殺し屋」シリーズの真骨頂とも言える部分なのではないか、と思った。

    個人的には、鯨、好きだな。
    ドストエフスキーの「罪と罰」を繰り返し読んでいる。僕はまだ最後まで読めていないから、それだけで尊敬する。

    ー これだけ個体と個体が接近して、生活する動物は珍しいね。人間というのは哺乳類じゃなくて、むしろ虫に近いんだよ。

    主人公の鈴木が、学生の頃教授から聞いた言葉。
    ウィズ・コロナの生活の最中、含蓄がある言葉として胸に響く。

    ー 「同じ場所に置かれた物は腐る』って言葉知らねえのかよ。同じ奴がずっと政権を握ってたら、腐るに決まってんだ。どうせ、誰がなっても一緒なら、それこそ、定期的に入れ替えねえとやべえだろうが。

    蝉に上司の岩西が言うセリフ。
    なんかねぇ。タイムリーに響きますよね。

    伊坂さん、バッキバキな感じ。
    登場人物の軽快な会話が、たまに欝陶しく感じるくらいに、キレキレの小説です(笑)

    シリーズ2作目の「マリアビートル」を即購入してしまいました。

    ホントにどうでもいいけど、小説に登場するロック・ミュージシャン、ジャック・クリスピンの名言(笑)「死んでるみたいに生きたくない」は、まんま渡辺美里の初期のシングル(小室哲哉作曲だけどまだそれほど売れてなくて鼻につかない頃の曲で名曲!)のタイトルで、僕はそちらの方が頭の中で自動再生されてしまって困った(笑)
    映画版ではジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン(!)が「Don’t Wanna Live Like The Dead」という曲を書き下ろしている。こちらも結構カッコいい。

    • 大野弘紀さん
      映像と音楽
      言葉と小説

      それぞれの持ち味が融合するそれは
      まるで、セッションに、似ている。

      いつもその躍動を見る度に、心が躍...
      映像と音楽
      言葉と小説

      それぞれの持ち味が融合するそれは
      まるで、セッションに、似ている。

      いつもその躍動を見る度に、心が躍る。
      2020/06/21
    • たけさん
      まさしくセッションですね。
      そんな融合に遭遇すると、とてもハッピーになりますよね。
      まさしくセッションですね。
      そんな融合に遭遇すると、とてもハッピーになりますよね。
      2020/06/21
  • 殺し屋シリーズの第一作目。タイトルの通り、虫にちなんだニックネームの殺し屋が出てくる。始めはいろんな人たちの目線で話が進むため、これがどうからんでくるのかと考えながら読む。
    終盤に一気に進んでおもしろくなった。

  • 逆順にAX→マリアビートル→777ときて、最後になってしまった殺し屋シリーズ第1弾。もっともらしい〝ジャック・クリスピンの名言〟で繋がる蝉と岩西の絆とか、鯨が見る幻影とか、終わらせ方(特に最後の1行)とか…伊坂さんらしいセンスに溢れていて、文句なしの面白さだった。改めて順番通り読んでみたいと思うし、「777」が出てさらなる続編も期待してしまう本シリーズ。ぜひ成長した健太郎&孝次郎メインで…。

  • 面白かった。登場人物が交互に登場するため物語の全貌が掴みにくかったが物語が進むにつれどんどん引き込まれていく。なるほどこの形式は必要なことだったのだと気づく。登場人物が面白い。最後の一文で物語が締まったように感じた。

  • kindle unlimitedで見つけたので再読。
    例によって全く覚えていなかったので、
    「えっ!?この人死ぬの!?」と
    ハラハラドキドキ。
    殺し屋たちのクールで小粋なセリフが、
    これぞ伊坂節!な味で大好き。

  • スズメバチの2人は、黒と黄のジャンパーの2人だったのではないか。鈴木が最後まで見捨てなかったのは彼らではないが、鈴木は最後まで、妻と健太郎と孝太郎とすみれを見捨てなかった。「人として」何が正しいのか、サックスを持たない鈴木やスズメバチには大した問題ではないかもしれないが、ほっこりする瞬間にいる人たちを見捨てなかったのもまた、鈴木だった。善悪とか光りと影とか、そう言ったわかりやすいものは、傲慢が隠し味な気がする。神様がレシピを作っているんだから、一人間の知っている料理なんてたかが知れてる。だから、鈴木の妻と鈴木は、一対一の勝負をするのかも知れない。

  • 流れるように展開されるストーリー。マリアビートルから読んだ自分は、作品中の経過が分かる内容でいや、面白かった。なるほど、寺原や令嬢、スズメバチとはそういう意味だったのかと。鈴木じゃないが、自分もそう結構頑張ってるんじゃないかな?と思う作品でした。

  • Kindle unlimited で読了。
    登場人物のエピソードが、各個人の「印鑑」で始まる為、今、誰のエピソードか分かるので、読みやすかった。
    各個人のエピソードが物語が進むに従って、だんだん1点に集束されて行くのが、スピード感が有って良かった。
    飽きずに読めた。

  • それぞれがそれぞれの事情を抱えながら、この裏の社会にいることを感じつつ読み進めました。序盤はなんかよくある感じかなぁ?と思ったけど、後半になるにつれてどんどん読むのがやめられなくなっていく。ドキドキしながらも、描写によって急に重く暗く落ちていく気分になったり、そこからまた一気にハラハラしたり。気持ちの波を共に感じるようで、おもしろかったです。

    最後のもしかして、、?と思う余韻を残すような終わり方も、モヤモヤする感じじゃなくて、わたしは好きでした!

  • AXから読んで飛ばしちゃってた

    <好きな文>

    原因を追及したり、打開策を見つけようとしたり、くよくよ思い悩んだりするのは、絶対、人間特有のものだと思うよ

    「動物にね、『どうして生き残ったんですか』って訊ねてみてよ。絶対にこう答えるから。『たまたまこうなった』って」

    誰よりも自分をうまく欺せる者が、誰よりも楽しく暮らせるってわけです

著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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