面白南極料理人(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 本書は1996年11月に日本を後にし97年1月から南極ドーム基地で1年間過ごした海上保安官である料理人の体験記。
    ドーム基地というのは有名な昭和基地から更に内陸に1000㎞離れた標高3800m、平均気温-57度という過酷な場所にある日本の基地。
    著者にとっては2度目の南極で8人の仲間と1年を過ごす!

    本当に色々過酷で驚くことばかりでした!
    そして25年以上前のことなので今では色々とやばそうな事が度々書いてある(笑)
    著者は料理人として行っているので当然日本で食料を用意することから始まるのですが、これが大変。1年分それも何もかも凍ってしまう食料品を多種多様用意するなんて考えただけで・・

    南極基地で何を食べていたかというと・・それが結構豪華!
    でもこれはこんな過酷で閉塞的な場所で1年も過ごすのだから食事という楽しみがないと精神的に参ってしまうからだと思います。
    なので食卓には高級和牛や伊勢エビやアワビまで並びます。
    外でジンギスカンBBQしたりも!
    献立がどれも美味しそうで読んでいるとお腹が減ります

  • 南極で料理人として働いていた方。
    映画化もされています。
    めっちゃ面白かった。知らない世界を知れた。
    しかし美味しそうなものを食べてるなぁ。。。
    https://ameblo.jp/harayou1223/entry-11375041125.html

  • 生物が生存しない南極ドーム基地で観測隊の食を賄う仕事を任せられた著者の実話を綴った物語です。
    過酷な状況の中で、食が人を笑顔にします。
    読んだ後はほっこりした気持ちになり、誰かと食卓を囲みたくなる本です。

  • ここは日本からはるか遠く,南極大陸.さらにかの有名な昭和基地から内陸へ離れること1000 km.標高3800 m,富士山よりも高いところに位置するドームふじ観測拠点,通称ドーム基地.平均気温-54℃,生物はおろかウイルスさえも存在することのできない地のはて.映画化,ドラマ化もされた本書は第38 次南極観測隊ドーム基地越冬隊に参加することになった料理人と8 人の男たちの生活を描いたエッセイである.日本は1956 年から60 年以上南極観測を続けており,物語の舞台であるドームふじ基地は1995 年,氷床深層掘削の拠点として開設された.掘削はドリルを使って行われ,氷床深部では約300 気圧の高圧になっているため,掘削孔に氷と同じ比重の液体を充填するなどの工夫が行われている.掘削の様子は映画にも描かれているため,気になる人は映画も見るべし.深さ3035 m までの氷床コア採取に成功後は通年滞在を中止しているが,その採取されたアイスコアは72 万年もの南極の記録を遡ることができるものである.南極観測隊には気象,雪氷,大気の専門家のほか,医師や機械,通信,調理の担当者も参加し,すべてのことを自分たちで行わなければならない.基地の外にあるのは一面の雪のみ.究極の自粛生活をおくる隊員たちは一年後無事日本に帰れるのか! (地球惑星科学コース 4年)

  • アニメ『宇宙よりも遠い場所』の参考に購読。

    まず驚いたのが著者がドームふじで越冬した38次隊の9人のうちの1人だということ。

    もっとびっくりしたのが、行きに同行したのがカメラマン不肖・宮嶋氏ということ。著者が越冬中に書かれた『不肖・宮嶋 南極観測隊二同行ス』をデタラメだと叩きまくっている。

    雪上車で往復2000kmの旅における不肖・宮嶋氏について他者から言及した本が出ていたとは。

    西村氏によると38次隊の面々から「訴えてやる!」と不評の嵐だという。ここはぜひ裁判に打って出て法廷でウ○コが途中で凍ったという発言が本当になされたか否か争って欲しかったが、そこまでせず淡々と端から見た不肖氏を語る著者はさすがに紳士である。

    不肖本は宮嶋氏が書き綴ったデータ原稿を元に勝谷誠彦氏が記事を書き上げた合作であるので(当該本のあとがき参照)、この本がデタラメであれば責任の半分以上は勝谷氏にある。なかでも本当にまずいのは中国人隊員を工作員扱いしたところで、そこがコンプライアンス上NGなのか、不肖本は絶版かつ電子書籍が出ていない。

    文章は大幅に脚色されていたとしても、宮嶋氏が撮影した写真は間違いなく事実であり、写真集として出版したらよりもい便乗である程度売れるかもしれない(地平線の上で一周する太陽、放り投げたお湯が空中で煙になるシーンなど、よりもいで出た写真に近いイメージあり)。

    一方、文章担当の勝谷氏は昨年、酒の飲み過ぎで内臓が破綻して亡くなった。アルコール依存症の人が治療しないで酒を飲み続けるとどういう死に方をするのかを身をもって示し広めたことで氏の死に方も意味があったかもしれない。これで不肖本の罪もいくらか赦されたであろうか。

    本書の話に戻ろう。

    南極観測隊は全国から選び抜かれた健康で南極観測に資する能力を持ち、かつ、長期間閉鎖的な人間関係でも協調して働ける人材が集まる。ドームふじの越冬隊であればそれこそ1億2千万の日本人から選び抜かれた9人である。

    それが、本を読むとどのシーンも「このオッサンどもはw」というエピソードの連続。もちろん調理担当として出向いた著者も含む。

    古い言葉だけど「ダンプガイ」、「マイトガイ」など、独特の雰囲気を持った男達を表現する「○○ガイ」という言葉があった。南極越冬隊の面々は「南極ガイ」と表現したくなるような、独特のノリを持った人物の集まりだというのがこの本でも分かった。

    不肖・宮嶋本に真実があるとすれば、それは宮嶋氏が撮影した写真と、南極ガイの生態の「ノリ」であろう。個々のエピソードに捏造が多量に入っていたら台無しだがw

    その南極ガイの生き様は『宇宙よりも遠い場所』で存分に描かれているのでアニメはお薦めである。

    あと、この本にはたびたび、料理を要領よくやるコツが載っていて、読んでいて自分も料理をしてみたくなってきた。『ゆるキャン△』の影響で野外メシをたまにやるけど、台所でも、また、野外でも、本書を参考に何か作ってみたいと思う。

  • 海上保安官の調理師が南極で1年間越冬する。それも男9人のドームで。南極料理人の映画を見たので原作も読んでみたくなった。ちょうどキンドルで安かったのでダウンロードした。面白かった。でも、これだけあけすけに書いて大丈夫なのかな〜とちょっと心配に。だって、公務員なのにな。

  • 映画の原作にもなったが印象が異なる。

  • 南極大陸の内陸部、標高3810m地点に位置するドームふじ基地にて究極の単身赴任を送る第38次越冬隊。9名の隊員達の胃袋を預かる調理担当の海上保安官は何を思って厨房に立つのかーー

    本書では、南極越冬隊の調理担当である筆者が、基地で作った料理が面白おかしく紹介されている。
    そのメニューはというと、実に「普通」である。
    びっくりするほど「普通」である。
    紹介されている「ある日のメニュー」を見るとこうである。

    朝食——味噌汁、納豆(ネギ入り)、漬け物、佃煮、ふりかけ、わさび漬け、果物缶詰
    昼食——エビチャーハン、海藻サラダ、にらと卵の中華スープ
    夕食——ロブスターカツレツ&バターソース、シシャモ焼き(冷凍大根おろし)、野菜、コロッケ、冷凍ホウレンソウバター

    どこにでもある普通の食卓である。
    むしろロブスターのカツレツなんか出てきたりして、ちょっと豪華なくらい。
    「今日は忙しかったから」との理由で手抜きをしたというクリスマスイブ用のメニューを見ても——

    ・ローストチキン 
    ・ポテト リヨネーズ
    ・舌平目のムニエル
    ・伊勢エビのロースト
    (付け加えてオーストラリア製冷凍ケーキ)

    と、十分豪華な食材が並んでいる。
    南極だから特殊なご飯でも食べているのか、ひょっとしてペンギンの丸焼きでも出てくるのか、なんて期待していると、肩すかしを食らうほど「普通」の食事が続くのである。

    が、この「普通」の食事を作ることが、ものすごく大変なのだ。
    なにせ南極の中でも海岸線から1000km内地に入り、さらに富士山よりも高地に所在するドームふじ基地では、平均的な日本人の生活に根付く常識が一切通用しないのである。

    インフラはない、補給もない、雪があるだけで水はない、気圧は低いから炊飯器では米が炊けない、沸騰しても100℃にならないから麺もまともに茹でれない、ついでにペンギンもウイルスも病原体もなにもいない。

    そんな環境で「普通」のご飯を作ることに筆者は奔走している。
    出発前に「冷凍しても大丈夫なジャガイモ」や「とろとろ卵を再現できる冷凍親子丼の具」を探し歩いたり、基地内に種を持ち込んで野菜を栽培したり、完全な創意工夫で本来ならフライパンで米を炒め煮するパエリアを圧力鍋で再現したり。

    なぜそんなに「普通」にこだわるのか。
    「もやしもん」よろしくアザラシと海鳥を捕まえてキビヤック作りに調整しなかったのか(※両方ともいません)。

    それは極地だからこそだろう。
    南極というどう考えても「普通じゃない」環境で生活するからこそ、慣れ親しんだ「普通」の食事を作り、食べることが、隊員達には必要不可欠だったのだろう。

    それを頭においておくと、登場する「普通」のメニューが実に美味そうである。
    餃子やエビチャーハンやアジの開きが、とんでもないご馳走に見えてくる。

    よく考えたら、普段、ことあるごとにコンビニやインスタント食品やジャンクフードを食べている私たちのほうが、よっぽど「普通じゃない」食事をしている。(どれも必要なものだと思うけど)
    今日はちょっと自炊してみよう、たまにはちゃんとしたお店に行ってみよう、そんな気分になってくる、読んでいるうちにお腹がすいてくる1冊です。

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著者プロフィール

神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授

「2023年 『社会保障法研究 第17号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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