私の男 (文春文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 花はもともと歪んでいたのか震災が歪ませたのか淳悟が歪ませたのか
    花も含めて周りはみんな程度の違いはあれど歪んでいるように見える
    お父さんの「生きろ」が呪いとなっていなければもっと違った結果になったのだろうか
    親子という関係である限り共感も理解もできないけど、このどろどろと境目がないふたりの関係は(もちろん血のつながり部分は除くなら)羨ましいと思ってしまう

  • 私の男を読んだ感想「たしかにそいつはお前の男だ〜〜〜〜!!!!!」

    構成やストーリー、キャラクターなど好きなところはたくさんある。あるのだが…正直リアルな知り合いには勧めにくい。多分刺さらない人には全く刺さらない、というか事故が起きる。
    私は好きだが、批判的な感想を書く人の気持ちもわかる。

    なんと言うか本当にもうどうしようもない。
    あの時ああしとけばよかったとかいう分岐点があるにはあるけど、どうしようもない。一度ジェットコースターの座席に乗ったら進んで行くしかないのと同じように。ここまでのあれならもうそうなるしかないんだよな、と諦めざるを得ない。

    現在から過去に遡る構成となっているため、読めば読むほどどうしようもなさに襲われる。
    全体的に曇天。どこまで行ってもあの冬の暗い海と空がじっとりと付き纏う。

    ちなみに家族に私の男が宅配されて届いたところをみられているので、もし今後読みたいと言われたら他の本をそっと差し出そうと思っている。

  • 『私の男』/どこか遠い別世界の話だと思っていたようなこと(近親相姦とか虐待とか)があまりに近い距離に描かれていて、始めから終わりまで非常にしんどかったものの、なぜか止められず一気読み。書くのはどれだけしんどかったんだろう。考えただけでも気が遠くなります。

  • この上なくタブーな題材を見事な文章、構成で描き物語に完全に引き込む、宗教画のような雰囲気さえ漂わせる品のある作品。
    どの登場人物も善と悪で分けることのできない多面性があり、読み手が多少なりとも共感できる部分、愛着の持てる部分を持たせている事が特にすごい。
    作者がどこまでも客観的というか、冷静に作品を構築していると感じた。

  • 花は奥尻島の津波で家族を奪われひとり残された。そして親戚だという腐野淳悟青年に引き取られていった。ちょうど花が9歳。小学四年生のときだった。そして今日は花の結婚式。これから養父から離れて新たな家族を作るのだ。結婚式からだんだんと時代を巻き戻して花や淳悟の人生が分かってくる。花と淳悟の二人だけの生活も。

  • なんと言うか、かなりアンモラルな内容。

    震災で孤児となった9歳の少女を一人の男が引き取って、家族として暮らすと言う話なのですが、
    これは恋愛小説に分類していいと私は思います。
    何とも独特の雰囲気を持つ小説ですが、私は嫌いではないです。
    好き嫌いが別れそうではありますが。

    先にも進めない、後にも戻れない。
    妙な淋しさが残る小説です。

  • 現実社会が容認しない父娘関係。

著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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