イン・ザ・プール ドクター伊良部 (文春文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 悲劇と喜劇は紙一重って言葉のようなエピソードの数々に笑ってしまうわけだが、これが自分の身に降りかかった事だと考えると笑えない。なかでも"勃ちっぱなし"というエピソードはお股が疼くほど色々な意味で痛たたたぁ〜!で心中お察しします物語だった。極端に言えば変態の変態は変態。みんな違ってみんな良いんです。

  • 気味悪い表紙にそそられる背表紙の紹介でジャケット買いした一冊。著者の作品も読んだことがなかったので、軽口たたくような文体が面白かった。
    神経科の伊良部(とセクシー看護師)を中心に精神由来の?奇病を患う患者のお話。結果的にはみんな治っているし名医なのか。

    「一応、思ったことはなんでも実行に移すのがぼくの主義だから」

    まさにその通りで、患者の話に寄り添うというか興味のままに行動して、患者に呆れさせる・こいつよりましだと思わせることが治療になっているような気がした。患者側も心の声がみんな性格悪くて面白い。
    個人的には携帯依存症の「フレンズ」にひりひりした。iモードとか出てきて懐かしいのもよかった。現代にもこういう人ほんとにたくさんいると思うし、一人で生きられる強さ、適度な自尊心は子供じゃなくても必要だと思う。

    強迫神経症の彼にあったように、「考えすぎないようにしよう」ということ自体もう考えていて負のスパイラルだし、人のこころと身体って難しいんだろうなと思う。フィクションで面白おかしく描かれているけど、精神病ってほんとにこんな感じなのかもしれない。


    メモ
    ・エンドルフィン=苦しみから解き放つ装置=神の情け、死ぬ間際には気持ちいい
    ・深く考えないのも手
    ・性器が怒っている

  • 精神科医・伊良部が主人公の短編集。

    あっという間に読んでしまった。
    ユーモラスなのに患者さんたちの悩みは切実。

    最初は伊良部のキモさに引いた。
    マザコンで治療もめちゃくちゃで注射フェチ。
    その注射を打ってくれるセクシーで無愛想な看護師さんも変。
    患者さんは伊良部に振り回されてるうちに
    結局最後は元気になる。
    なんとなく不思議に良い話なのだ。

  • 精神科医・伊良部シリーズの第一作。
    軽いタッチの文体が心地よい。
    気楽に読むには最適な五編の短編集。
    最初は「ちょっと物足りないかも」と思ったりしたが、
    読み進めるうちに癖になっていく感じ。

    文庫が発売となったのが2006年なので、
    さすがに“時代”を感じる。
    「コンパニオン」はバブル臭が残る。
    「フレンズ」は、今で言えばLINEかな。
    「いてもたっても」は、共感する部分も多かった。

    2作目以降も読もうと思う。

  • めちゃ面白くて、どんどん読み進められる。登場人物が魅力的で、これぞ短編小説という感じ。

  • 神経科の医師・伊良部。名医かヤブ医者か馬鹿かアホか…謎のドクターに助けを求める患者たちの物語。

    患者のキャラの濃さと伊良部の度を越した神的なアホさ加減に、通勤電車でうっかり笑ってしまった_(:3 」∠)_

    スマホ中毒者や火の始末が気になる人などは、読んでいるうちにコッチまでソワソワさせられてしまい、危うく患者になりかけるような読書体験となった。

    勃ちっ放しとか…苦笑してしまいつつも、どこか共感できてしまうから面白い。

    適当な診察をしているように見えるのに、いつの間にか解決(?)している謎ストーリー。診察が無くても結局自己解決してるパターンばかりで、治療自体には伊良部があまり役立ってないことも面白い。知らぬ間に内面を支えていたのかな?

    短編集なので気軽に読めて、笑える手軽さが良かった。

  • ぶっ飛んでいて、くすっと笑ってしまう。この本、昔読んだことがあって2回目だけど、やっぱり面白い。ちょっとだけ現実味をおびているところが、飽きずに読み進められて、妙に惹かれる。

  • 精神科医・伊良部シリーズ第1弾
    久々に新刊(第4弾)が出たので復習。

    心身症で腹痛に襲われるサラリーマンや、携帯依存症の男子高校生、強迫神経症のフリーライター。そんな患者たちが伊良部の奇抜なアイディアで治癒していく・・・。

    伊良部って適当なんだけど名医なのかな・・・偶然かな。

    患者さん達は真面目な方が多い気がするので、適当な伊良部との診察を重ねる事で真面目にやるのがバカらしくなって肩の力が抜けるのかな?

    私の中の伊良部はガリガリガリクソンか、ドランクドラゴンの塚地さん。

  • 軽いテイストで、「世の中視点を変えれば如何様にも変わるよね」ということを教えてくれる本。
    これも最初に読んだのは大学生の時だったかな。当時結構好きでしたが、今読むと少し軽すぎるかな…看護師のマユミさんが好きです。

  • 登場人物が目に浮かぶような文章で、一気に読めた

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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