ねむい [Kindle]

  • 2012年9月14日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 名高い傑作。
    なぜか神西訳でチェーホフを読む事はあまりないのだが、確かにいいなぁ。名訳として愛されるだけのことはある。「いつやまるのかわからない。」とか。「やまる」って私の母は使うが、他であまり聞かない。

    まず内容以前に小説的に衝撃であるという事がわかるか否か、というところ。
    初期なのでオチが消失する前段階。オチはあるが、モラルが消失している。効果としては似ていて、読者は中で行われている事を判断する基準を失ったまま、放り出される。その不安と困惑。そこに安吾の云う「ふるさと」が立ち現れる。

    初めて読んだ時は放心状態になったが、何度読んでもやっぱり放心状態になる。黒人霊歌の歌詞を読むと、奴隷的状況にある人がどういう場所を求めるのかはっきりわかるのだけれども、ここにある安らぎもやはりそういうものなのだ。そう、これはやすらぎの文学なのかもしれない。
    やはり読めば読むほど浮かんでくるのはワーリカの聖性であるが、ではそれは何なのか、現世に対してそれはどういう意味を持っているのか、というと何とも答えようがない。

    (大江健三郎と沼野充義が本作について議論した、という雑誌記事があるらしく、検索したら出て来た。ふむふむ。沼野はワーリカを「残酷な天使」とあらわした。ブニュエルの映画タイトルみたいだね。)

  • 電車の中であまりにも眠くて「ねむい」と検索したら引っ掛かったので読んでみたらすごかった。ワーリカの辛い境遇に比べたら私なんて。。と思って読み進めて…最後はびっくりまさかの展開。。目が醒めましたΣ(゚Д゚)ほんとにやっちゃったのかどうなのか??チェーホフ初読みでしたけど面白かったのでまた読みたいです。

  • 「ねむい」とだけ書かれた表紙が面白いなあ、とふざけた気持ちで読み始めたところ、あまりにも重いストーリーに度肝を抜かれる。
    睡眠不足はなんとも恐ろしい…

  • 最後のオチが凄い。

    睡眠欲、というか睡眠プレッシャーというか、私も相当強いので気持ちわかる。。。

    少なくとも脊椎動物においては覚醒⇒ノンレム睡眠⇒レム睡眠なんだけど、この"眠気"というのは脳波を見ていてもかなりあからさまにでてくるんですよね。特に寝不足の場合。ワーリカ、ぶっちゃけ眠る時間なくないか??これはかなりつらいよね・・・同情。脳波やばそう・・・。


    まどろみから眠りへの描写が印象深い:
    "燈明がまたたく。みどり色の光の輪と影が、また動きだして、ワーリカの半びらきの、じっとすわった眼へ 這いこむと、はんぶん寝入った脳みそのなかで、もやもやした幻に組みあがる。"

  • 年端の行かない少女が蟹工船の船底でこき使はれるが如くの仕打ちを受け、子守り迄させられ、寝てゐる寸暇も無し。そんなエゲツナイおはなしデス。
    ワーリカに罪は非ず。靴屋夫婦の自業自得也。
    當時の露西亜の刑法典がどうだつたかは知らぬが、我が邦國の刑法では13歳の子供はこれを罰せず。
    ワーリカ、よくやつた。頑張つたな ワーリカ。
    ワーリカ、ナイスファイト!

  • 短いけどテーマは重たく、心にずっしりくる作品です。

  • 「ー」

    ページ数が少ないのですぐ読める。
    女の子は、とても眠い。そして、その眠りを妨げるものがなにか悟る。その時、彼女がとった行動とは。

  • 仕事と受験勉強に明け暮れて、ぜんぜん物語というものに癒されていなかったので、解放されたいま、ようやく読書しよう!!と
    わくわくして、てきとうに選んだのがこれ。
    「児童文学に癒される」という私のもくろみから全く外れたものを選んでしまった!Σ(T□T)
    青空文庫で児童文学に分類されてたんだけど、社会問題を取り上げた厳しい作品。

    ロシアの当時の時代背景とか詳しくは知らないけど、子供達も過酷な状況で生きなければならなかったのはわかる。
    「ロシアといえば、人形劇。ロシアといえば、マルシャーク」というような楽しむ気持ちで選んだのが間違いでしたね。

    しかし、私の求めていたような内容ではなかったが、読んでよかった。

    奴隷のように扱われているロシアの子の話が、
    なぜかしら日本の現代の介護の世界で起きる事件や、幼児虐待の問題を思い出させる。
    社会に強く訴えかけるストーリーだった。

    皆、ヘトヘトなのです。そして、ねむい。

  • 「ねむい」って題名は訳者がつけたのだろうが、「眠気」とか「眠い」ではなく「ねむい」なのに意味があるのだろう。
    とても短い話だったが、いや最後!!!
    こういうのは、今読むと正直分からないところもあるけど、最初にこういう結末を思いついた人だ、という点で傑作なのだと思う。

  • 時代状況が知りたい

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著者プロフィール

アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ(1860~1904)
1860年、南ロシアの町タガンローグで雑貨商の三男として生まれる。
1879年にモスクワ大学医学部に入学し、勉学のかたわら一家を養うためにユーモア小説を書く。
1888年に中篇小説『曠野』を書いたころから本格的な文学作品を書きはじめる。
1890年にサハリン島の流刑地の実情を調査し、その見聞を『サハリン島』にまとめる。『犬を連れた奥さん』『六号室』など短篇・中篇の名手であるが、1890年代末以降、スタニスラフスキー率いるモスクワ芸術座と繋がりをもち、『かもめ』『桜の園』など演劇界に革新をもたらした四大劇を発表する。持病の結核のため1904年、44歳の若さで亡くなるが、人間の無気力、矛盾、俗物性などを描き出す彼の作品はいまも世界じゅうで読まれ上演されている。

「2020年 『[新訳] 桜の園』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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