濹東綺譚 [Kindle]

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  • 2012年9月14日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 昭和初期に墨田川東岸にあった私娼街(玉の井)を舞台に、小説家(大江匡)と世を忍ぶ日陰に棲む女(お雪)との出会いと別れを、季節の移り変わりとともに、やるせなく移ろいやすい心情を描いた耽美派・永井荷風(1879-1959)の代表作のひとつです。雑誌<文藝春秋>に女性遍歴を叩かれて以来、窮屈な思いで遊郭に通う大江の心境が吐露され、作中で語られる未完の小説『失踪』の主人公(種田順平)が、大江の分身として登場して苦悩する、二重構造の面白さを感じる物語でした。(昭和12年朝日新聞連載)

  • 西洋化反対派の永井荷風が投影されてる作品らしくラジオはうるさいといってたり、浅草とか下町風のところを歩いたりしている。
    今読んでみると最新のラジオもレトロですけどって思うけど、当時の近代化は凄まじかったんだろうな。
    でも50歳くらいのおじさんが好きになるっていうのもワタシにはわからないのよね。年上キラーなんだろうけど、そんなにその匡ってひとはいいのかな?なんか悶々としたところが知的に見えるとか??

    文豪を読むシリーズなかなか面白いけどちょっと長い話は疲れるな。

  • 綺譚繋がり。
    昭和初めのルポルタージュを読んでいるような気持ちになった。

    濹東綺譚も二笑亭綺譚も装画は木村荘八の手による。

  • ふと荷風の「濹東綺譚」が読みたくなって、青空文庫で読む。ずいぶん昔に読んで、「女郎に恋する話」くらいの記憶しかなかったのだが、今読むと大正から昭和初期、徐々に洋風化していく風俗がよく描かれており、ヒロインのお雪も以前に読んだときよりずっと魅力的だ。お雪との出会いや邂逅の場面も楽しさともの哀しさが同居して素晴しいのだが、加えて当時の風俗を精緻に描写したことで、21世紀にも読み継がれる傑作になった。

  • 多分大昔に読んだんだろうな、覚えてないけど。
    短い小説ですが技巧的と言いますか、仕掛けが面白く読書の中で空間の往き来を感じることができます。
    ただ、若干古き良き何とか、、、といった感も否定はできず、万人受けするものでは必ずしもないのかなと思う次第。

  • 小説家が、ご近所の喧騒から逃げ出す東京の町歩き。それでも有名作家になってしまって、いつ面倒な人々に出会うかもしれず、表通りを避けて裏通りを歩く。そんな中で出会った粋なオネエサンとの短い交流を描いている。
    この小説家は永井荷風自身なのか?とも思えてくる。

    学生時代に一度読んだことがあるが、ちっとも面白いと思えなかった。
    今読むと、なかなか粋な作品だなぁ。と思う。

  • 実際に読んだのは昭和二十五年の六興社版

  • 感傷的で勝手な、わりと鼻持ちならないおじさんの語り。最初からそう思っていればそういうものですかねえくらいのスタンスでおもしろく聞ける。自分以外の人間を、近しい距離にあってすらまるで風物のように見ていて、無責任な分だけその視点からの女性の描かれ方は魅力的。

  • 美しい文章。入れ子構造。好みの小説でした。

  • 「濹東綺譚」(永井荷風)を読んだ。悲しいことに、この名作の素晴らしさを伝える術を私は持ち合わせていない。とにかく何度読んでもうち震える自分がいるのである。

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著者プロフィール

東京生れ。高商付属外国語学校清語科中退。広津柳浪・福地源一郎に弟子入りし、ゾラに心酔して『地獄の花』などを著す。1903年より08年まで外遊。帰国して『あめりか物語』『ふらんす物語』(発禁)を発表し、文名を高める。1910年、慶應義塾文学科教授となり「三田文学」を創刊。その一方、花柳界に通いつめ、『腕くらべ』『つゆのあとさき』『濹東綺譚』などを著す。1952年、文化勲章受章。1917年から没年までの日記『断腸亭日乗』がある。

「2020年 『美しい日本語 荷風 Ⅲ 心の自由をまもる言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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