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感想・レビュー・書評
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日本の有名な民話「さるかに合戦」の後日談
(芥川龍之介によるパロディー作品)
まず発想がとても面白い。
そして内容もとても良く出来ており、「正義」の解釈について考えさせられた。
仮に被害者に非があったとしても、法の下に悪いことをしていなければ、裁くことは出来ず、蟹のように復讐をしてしまえば蟹が悪となってしまうのです。
蟹の復讐は私憤によるものだからです。
この話の最後の一文
「君たちもたいていは蟹なんですよ。」
は芥川さん自身にもこのような経験があり、感情的な正義は法の前では所詮無力であるという事を示しているのかなあと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
お伽噺『猿蟹合戦』のパロディではありますが、《それからの猿たち》か《ほんとうは怖い猿蟹合戦》のサブタイトルをつけたくなる内容です。猿の敵討ちをした蟹たちは、警官に捕縛され裁判の結果、蟹は死刑、共犯者(臼・蜂・卵or牛糞)は無期徒刑という厳しいものでした。猿が死亡したと仮定しても「仇討禁止令(明治6年)」による法的制裁には抵抗感が残ります。このお裁きは余りに理不尽と思うのは、そもそも、被害者は蟹という観念が覆されてしまった結果なのでしょう。いつ蟹の立場になるやも知れぬ、警戒を怠らぬようにと・・・。
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数ある童話の中から、なぜ著者は猿蟹合戦を選んだのか?
多分、最後の
「君たちもたいてい蟹なんですよ。」って言いたかったから? -
童話「猿蟹合戦」のアフターストーリーが物凄く現実的に造られており、興味深かった。「面白い発想だなあ」と他人事のように読んでいたが、最後のひと言でハッとさせられた。
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猿蟹合戦の裏で人間界と同じような設定になっているのはとても斬新だった。ハッピーエンドで終わらせるわけにはいかないという芥川先生の鬼畜さがよく分かった。
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猿蟹合戦後に、蟹は死刑、他の仲間は無期になった。まあ敵討ちだし、柿の種と握り飯の交換だって書状交わしてないし、青い柿ぶつけたのだって、証言証拠しかないしさ。
そんな取りつく島もない話。
カニの息子の次男は「小説家になったので女を好きになることしかしない」みたいな自虐、好き。
で、最終的に「我々も蟹」という結論で終わるんだけど、どうやったって敗者だよ、我々みたいなもんは、ってことなのかなぁ? -
面白い!
新たな観点からのリメイクかと思ったら。。。後日談だ。なるほど、そうなるね〜、考えたことなんて無いよ。
結末は作者の意志により良くも悪くもなるね!
物事、ここが結末なんて思ったら大間違いかも。 -
着眼点おもしろ!
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最近読んでいる芥川の掌編、児童文学の中で圧倒的に面白かった。
「君たちもたいてい蟹なんですよ」!すごい!!
確か学生時代に読んだと思うが、ここまで印象的ではなかった。