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感想・レビュー・書評
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芥川「桃太郎」に不満を覚え、太宰「お伽草紙」をダウンロードする。既読だと思いきや、カチカチ山を除く3編は記憶に無い。白兎サド・狸マゾと世評の高いカチカチ山だけ、選集に入っていたと見える。
4編それぞれ、地域が特定されている。奇妙なオブセッション(こだわり)だ。
「舌切雀」冒頭、「桃太郎」を書かない理由が縷々述べ立てられる。本当のところ、大政翼賛するのが意に染まなかったのだろう。「桃太郎の海鷲」「桃太郎 海の神兵」など、鬼を鬼畜米英に見立てた国策アニメが制作された時勢である。
「舌切雀」お照さんが可憐だ。太宰ギャルズ、殿堂入り。
個人的なことだが、和鋏を見ると反射的に「舌切雀」を連想する。本作のお婆さんはハサミを使わない。それはそれで怖いやり口だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
太宰治みたいな大物もこんな、本当は怖い昔話、みたいなの書くんやなぁ、と親近感を覚えないでもない。
どの話にも、作者の好みなのか、いちいちひねくれ者がでてきて、これが結構嫌いではない。カチカチ山の狸とか、作者も言ってるように、実にどうしようもないただのおっさんというか、ウサギとの関係も含めて笑えるんだけども、当然狸は本物の話の通りにひどい目に合うわけで、切ない。百年前からおっさんがこんな目にあっていたなんてなぁ。 -
太宰の好きな作品の一つ。
防空壕で絵本片手に子供のためにアレンジした昔話を聞かせるという設定がまず良い。太宰特有の「メタ」な語り口も良い。桃太郎をアレンジするはずだったけどやめた理由、浦島太郎の亀に対する弁解。
みんなが知っているお話をこんな風に味付けできるというのは、やはり稀有な才能だったのだと思う。好き。 -
空襲が始まると、5歳の娘を抱きかかえ防空壕へ入る。むずがる子供をなだめるために、絵本を読み聞かせる。
ムカシ ムカシノ オ話ヨ
瘤取りじいさん
浦島太郎
カチカチ山
舌切雀
子供に読み聞かせるお話とは別のお話が、心の中に湧き上がってくる。
これがブラックユーモア満載。
芥川龍之介の『猿蟹合戦』もブラック満載だったけど、これも、なかなかのもんですよ。
お伽噺は、読み方によっては怖~いお話なのです。 -
おとぎ話のパロディ。
瘤取り、浦島さん、かちかち山、舌切り雀。
単純に面白かった。
桃太郎を省いた理由(言い訳)がまた面白い。
「走れメロス」と「津軽」しか読んだことがない私には、
太宰治のイメージが大きく変わった。 -
電車の中などスキマ時間に少しずつ読んだ。思わず吹き出してしまうようなところもあり、楽しめた。
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「ラブライブ!サンシャイン!!」の第4話で国木田花丸が読んでたから…というしょうもない契機で手にとったものの、そりゃあまあ面白いですよね。軽妙な語り口と抜群のユーモアセンスに夢中になりました。「瘤取りじいさん」「浦島太郎」「カチカチ山」「舌切雀」を収録。土地勘もあったことも手伝って「カチカチ山」が一番好きです。
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太宰らしくてとてもいい
きちんと感想をまとめられたらいいけど保留 -
太宰治の面白さがぎゅっとつまった作品だと思う。カチカチ山は今の世の中にも見られる話になっていて面白かった。