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感想・レビュー・書評
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舶来の翻訳モノでした。無知無教養って恥ずかしいです。
時代を反映しております故、漢文みたいに感じました。
嘗ての読書人とはこちらが想像以上に高い教養を具備して
おられたのだろうと改めて思い知らされます。
自身不慣れも御座いますが、基本的にアホウなもので。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ともかく長い、かつなかなかレトロな文体というか感じも各種難しく、
読み応えありというか。でも読み切った時のやり切った感もなかなかに。
話自体は昔読んだ怪人二十面相と少年探偵団的な、冒険活劇みたいなやつ。いろいろと現代的にはあり得ないというか、やっちゃいけないっぽい設定も多くて、そういや昔の小説、江戸川乱歩みたいなのはこんな感じだったよなぁ、と懐かしい。
クモだらけの家とかなかなか今の小説にはなさそうだし。整形技術が発達した今では、うさん臭い事限りなしな怪しい整形医とか。そういうのが全て、この時代なら許されるよなぁ、と思うわけで。まさに大団円、というラストも、ハリウッドでインディージョーンズシリーズで映画化すれば良いくらい。
しかし舞台がイギリス?らしいのに、ことごとく日本人が出てくるという展開が謎。昔の王様が何故か日本人に遺産を譲るという設定は胸が熱くなる、というか源義経がチンギスハンくらいにトンデモで、まぁ全てにおいてこの時代なら、アリかな。 -
基はアリス・マリエル・ウィリアムソンの小説『灰色の女』で、黒岩涙香が着想を得て再構成した探偵小説黎明期の作品。
海外で飛行機乗るのに一冊も文庫本を持っていなかったから慌てて青空文庫が読めるアプリをダウンロードしたのだった。
引き込まれる字体。倫敦を舞台にして怪しげな登場人物たちが古い幽霊塔に隠された秘密を追って一大スペクタクルを繰り広げる。
探偵小説のような、はたまた冒険活劇のような・・・基は新聞連載小説だから1話1話でうまく緩急つけて区切ってあってとても読みやすい。
主人公・丸部道九郎のストイックさが好き。
ってかこの作品が新聞で連載されてたのって1899年だよ?w 本当に凄い。今読んでも全く違和感なくその魅力が色あせないのは正に古典ならでは。 -
翻案小説。
舞台がイギリスなのに日本人が普通に日本名で登場してくるあたり、舶来語にナイスな漢字を当てはめているあたり。なんとも時代。
内容はロマンスあり、冒険あり、サスペンスありで盛沢山。とても面白い。
大衆娯楽小説ってこうでなきゃ! -
青空文庫にて。
莫大な財宝を隠し持つという噂の時計塔。
そこで殺人事件が起き、その事件の裁判が終わった後は時計塔の本来の持ち主である丸部の人間が塔を買い戻す。
そこへ松谷秀子という絶世の美人が現れる…。
財宝の謎にはあまりページを割かれておらず、松谷秀子という美女の謎を中心に物語が進んでいく。
謎めいた秀子が隠し持つ固い決意がブレないので好感度が高く、設定の所々にツッコミは必須ながらも読後は満足です。
語り手の、美形かつ単細胞の肉体派・道ちゃんが愛妻・秀子の尻に敷かれて幸せに過ごしてそうなラストはとても良かった。 -
明治期、我が国はまだまだ創作探偵小説が少なく、海外の翻案が主だった中、多くの翻案小説を残した黒岩涙香。その一つが、A Woman in Grey(Williamson)の翻案である本作「
幽霊塔」である。
幽霊塔と呼ばれる屋敷を買いとるつもりの丸部朝雄のため、屋敷の検分に来た甥の道九郎は、そこで松谷秀子という怪美人に出会う。秀子は幽霊塔にある時計の秘密について詳しく知る者である様子だが、犯罪などとは縁のない善人なのか、道九郎に対して何らかの企みを抱く悪人なのか。
探偵小説というジャンルが確立されかかっている時代において、幽霊塔の秘密を暴く冒険的側面と、犯罪小説的な側面とがよく融合しており、ただワクワクさせてくれるだけではなく、随所に散らばる謎もきっちり回収されており、国内の探偵小説黎明期を代表する作者の代表的翻案小説であるといえる。 -
おもしろすぎ。元の新聞連載で読んでた人たちは、毎日どれだけ楽しみだったことか。こうやって一気に読めるのも幸せだけど、そういうわくわくも体験してみたかったな。
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アリス・マリエル・ウィリアムソンの小説『灰色の女』を黒岩涙香が翻訳したものですが、翻訳ものだということを忘れてしまうほど、何とも云えぬいい雰囲気を醸し出しています。
江戸川乱歩や西條八十がこれを元にリライトしたというのも納得。
ン十年ぶりに江戸川乱歩の『時計塔の秘密』が読みたくなりました。