クラインの壷 (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 前回読んだ井上夢人さんの作品に感銘を受けたので、こちらも読んでみました。面白かったです。89年に書いたとは思えない内容。当時読んだ人達にとっても凄い作品だったと思うけど、現在のほうがよりリアリティがあるのがまた凄い。かなり好きなテイストでもあるのでどんどん他の作品も読みたくなりました。

  • 岡嶋二人・井上夢人氏共に読書歴なし、本作が初読み。
    前情報ゼロにつき、てっきりミステリと思って読み始め、かつWikipediaにもミステリとあったものの、宙ぶらりんのラストも含めこれは謎解きが主眼のミステリではなく、ハードボイルドタッチのサスペンスか、強いて言えば虚構が現実を侵蝕するアンチミステリの手触り。
    仮想現実ものの最初期作品であり、記述に散見される古臭さやゲーム設定の緩さは如何ともしがたいが、コンビ解消は既定路線にあったと思われ、井上氏のほぼ単独作とのこと。
    気合入りまくりの描写はそれゆえか。

  • めっっちゃ面白かった。ところどころにヒントも散りばめられていて、主人公と一緒に真相を推理して、一緒に施設の秘密を暴こうとしている気分になるほどの臨場感があった。
    現在はフルダイブVRもありえない事じゃないと思えるほど科学技術が進歩しているので、なおのことそう荒唐無稽ではないと思えるお話だった。
    一つだけ気になるのが百瀬はどうなってしまって、なぜK2の中から声をかけることが出来たのか(読み落としているかも)。いや、百瀬自体もK2の産物だったのか。それなら最初に上杉がプロトタイプを経験した時以降、上杉はちゃんと現実に戻っていたのか。「はじめのところから始めて、終わりにきたらやめる」とはいっても、そもそも"はじめのところ"も"終わり"も定かでは無い。自分が現実をちゃんと生きているのかわからない、誰ひとり現実にいる人物だと信じられないというのは恐ろしいなと思った。
    ハンプティダンプティは『一度壊れると容易には元に戻らないものを指し示すための比喩』らしいが、上杉はK2に入った段階でもう戻ることは出来なかったのかもしれないと思った。

  • 積読していた本。現実なのかゲームの世界なのか読んでいると分からなくなってきます。その感覚がゾワッともするし面白かったです!

  • 89年初版。PHSも普及していない時代に、VRを描けたことに驚く。

  • 今では仮想現実を題材とするSF作品は珍しくなくなったが、この本は1989年に刊行されたとは思えないほど鮮烈で色褪せることのない名作だと思う。

    終わり方が好き。
    思考の迷路に迷い込みたい人は是非。

  • ゲームの魅力に取り憑かれた2人は毎日バーチャルの世界に潜り続ける‥。
    心の中で「もうやめておけばいいのに」と何度もつぶやいてしまった。最初から最後まで怖かった。恐怖というより‥気味が悪いという感じ。

  • 一気に読まされた。と思うくらい中に入り込んだ。

  • 主人公の上杉彰彦がゲームブック大賞の為に書き下ろし、落選した『ブレインシンドローム』。それが最新ゲーム機クライン2のシナリオに採用されます。その後、上杉は公募採用された高石梨紗とともにテストゲームをスタート。その世界は見るもの、聞くもの、すべてが現実のように感じられます。そのクオリティに驚愕する二人。ゲームを進めるうちに強烈な不快感を覚え「戻れなくなる前に引き返せ」という謎の声がきこえるのでした。その後、梨紗が謎の失踪。理沙の友人七美とクライン2の秘密をあばこうと動き出す上杉だったが…。まず、驚くのは1993年に書かれた作品であるということ。当時、読んだ人たちはどんな風に感じたのでしょうか?現実とゲームの世界が交錯する様子は読者も一緒にゲームの世界に導いてくれます。ミステリーとしての完成度が非常に高い作品。ミステリー好きは必読です。

  • 映画の「トータルリコール」や「マトリックス」なんかに通じるところがあると思う。

    シミュレーション仮説なんかと同じ思想だと思う。

    名作と言って良いと思う。

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著者プロフィール

岡嶋 二人(おかじま・ふたり)
徳山諄一(とくやま・じゅんいち 1943年生まれ)と井上泉(いのうえ・いずみ 1950年生まれ。現在は井上夢人)の共作ペンネーム。
1982年『焦茶色のパステル』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。86年『チョコレートゲーム』で日本推理作家協会賞を受賞。89年『99%の誘拐』で吉川英治文学新人賞を受賞。同年『クラインの壺』が刊行された際、共作を解消する。井上夢人氏の著作に『魔法使いの弟子たち(上・下)』『ラバー・ソウル』などがある。

「2021年 『そして扉が閉ざされた  新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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