- Amazon.co.jp ・電子書籍 (242ページ)
感想・レビュー・書評
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恋を拗らせちゃって…って言ったら身も蓋もないけど。
虚しさというか荒涼とした気分のこの読後感。
タイトルとのギャップが余計に切ない。 -
「グレート・ギャッツビー」(フィッツジェラルド : 小川高義 訳)を読んだ。
たぶん40年ぶり。(あの時の翻訳は誰だったかな?)
あの当時も今回もそれほど感銘を受けないのだよ。
しかもどういうわけか、ラストは火事で家もろともに焼死するという偽記憶なありさま。
私はサリンジャーの方が好き。 -
(以下は、バズ・ラーマン監督の『華麗なるギャツビー』のレビューでもある)
先日、光文社古典新訳文庫版の『グレート・ギャツビー』を読んだので、あらためて鑑賞(村上春樹訳のレイモンド・チャンドラーの訳者あとがきを読んで、久しぶりに読んでみようと思い立ち、Amazonで検索したら、なんと、村上春樹訳の『グレート・ギャツビー』はKindle化されてなかった! 中公さん、販売機会ロスです。なんとかしてください!)。
過去は取り戻せない。リセットもできない。だが、金さえあればそれができると信じた男の見果てぬ夢。汚れた金できれいな夢を買おうとした男のファンタジー。
惜しむらくはデイジーに、ギャツビーをそこまで狂わせ、執着させるほどの魅力があるとは思えない(これはキャリー・マリガンのせいというよりは原作の問題。あっちにふらふら、こっちにふらふらするだけの「か弱い≒主体性のない」女性という設定自体、いまとなってはどうなんだろ?)点で、そこに疑問を持ってしまった人にとっては、ギャツビーという男は永遠に謎のまま残り続ける。
だが、恋愛なんて、はたから見れば、たいてい理屈に合わないことだらけで、そんなくだらない(でもそれがなくては人生に潤いが欠けてしまう)ことに、こんなにもイノセントにのめり込めるギャツビーは、やっぱりある種の「憧れ」であり、「常人には手の届かない世界の住人」であって、だからこそ、ギャツビーが精一杯背伸びをしまくって築きあげた帝国が「砂上の楼閣」にすぎないことが、観客にも透けて見えるしかけになっている。
ところが、ふと冷静になって考えてみると、名家の出の大金持ちトム・ブキャナンも、出自を偽り、別人に扮して、バブルで浮かれたニューヨークと寝たあやしげな新興成金ジェイ・ギャツビーも、どちらもデイジーを、あるいは世の中を、自分の思い通りにコントロールできると思い込んでる点で似たりよったりの存在だ。そこには大きな「勘違い」があるし、ゆがんだ「願望」が込められていて、デイジーが自分の意思を表明したとたん、あるいは、自分ではコントロールできない事件が出来した瞬間、もろくも崩れ去る運命にある。膨らみすぎた「バブル」は「泡」と消えるのが定めだから。
そこまで計算してたならフィッツジェラルドはまごうことなき天才だし、そこまで計算してなかったとしたら、それが生まれた奇跡を素直に喜びたい。
この物語に、語り手にして傍観者のニック・キャラウェイの存在が不可欠なのは、ここに描かれているのは、(わたしたちがふだん目にする)現実ではないから、なのかもしれない。すべては「虚構」であり、「絵空事」であって、うすうすそうではないかと疑いつつも、その「夢物語」に浸るには、同じ夢を見ている人のフィルターが不可欠ということなのではないか。ギャツビーの一人称で語られていたら、強欲すぎてきっと肩入れできないだろうし、冷静な第三者(あるいは神の視線)で語られてしまうと、たぶん魔法が解けて、金持ち同士の殺伐としたいさかいにしか見えなかっただろう。
アメリカがアメリカンドリームの国だったのは、名家といっても数世代しかさかのぼれない新興国だったからで、一代で財をなした新興成金も、エスタブリッシュメントの富裕層も、もとをたどればみんな移民で、実はそこには大差はない(「ウエストサイドストーリー」で、アメリカ生まれのポーランド系アメリカ人が「アメリカ人(≒既得権者)」を名乗り、移民してきたばかりのプエルトリコ系アメリカ人が「移民」扱いされるのと似た構図)。だからこそ、貴族社会、身分社会から出発したヨーロッパにありがちな、成金を揶揄する風潮がアメリカでは希薄で、むしろ、アメリカンドリームを実現した人たちを賞賛し、彼らに続けと盛りあげる風潮がモチベーションとなり、アメリカをイノベーション大国にしたのだと思う。
だが、1925年に刊行された本書において、すでに新興成金が消え去る運命にあり、エスタブリッシュメントはしぶとく生き残る物語が展開され、それが長らく支持されてきたのは、どう考えればいいのだろう? アメリカンドリームは、やっぱり、おおかたのアメリカ人にとって「ドリーム」にすぎないから? それが「一夜の夢」であっても、やっぱり、その中に身を置いてみたいから? それが崩れ去る運命にあることを知ってもなお、そこに「一抹の寂しさ」を追い求めてしまうのが人間だから? はかないからこそ有り難く、尊いから? 強者よりも弱者に拍手を送りたくなる判官贔屓のような心持ちがアメリカ人にもあるから?
ジャズエイジの乱痴気騒ぎを現代に蘇らせた「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の狂った喧騒を見ても、そこには人間の欲望を惹きつけてやまない何かがある。欲望をかき集めればバブルになる。バブルが弾けたあとに残るのが、誰ひとり弔問客のいない静かな葬式だったとしても。
追記:
余談だが、そろそろ「グレイト・ギャツビー」表記にしたらどうだろう? 「グレート」と書いていて気になった。NHKの1999年のこんな記事を見つけたが、2022年時点では、ここに出てくる例でも「デイゲーム」「エイジ」「ネイビー」「レイククラシッド」あたりは、完全に「イ」表記のほうが自然になっているのでは?
→「メーク」? 「メイク」? https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/term/027.html -
Amazon unlimitedに入ってたので読んでみた。
アメリカ文学の名作と言われてるらしい。確かに良かった。
翻訳も読みやすくて良かった。
難点は、電子書籍の章割りはしっかりして欲しかった。 -
古きアメリカ、ニューヨーク。あまり話に感じ入るところなく…
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耳にしたことのある土地がでてきて、楽しみながら、味わうようにして読んだ。
また数年後に読んで、どのような意見をもつか自分自身にも期待。 -
2019.10.21 読了
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詩情豊かな成り上がり小説。いかにもアメリカ的な粗っぽさがまた味となっている。