失われた時を求めて 1~第一篇「スワン家のほうへI」~ (光文社古典新訳文庫) [Kindle]
- 光文社 (2010年9月20日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (376ページ)
感想・レビュー・書評
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作者のプルースト愛が凄まじい…。今まで翻訳された本を全部読んだ上でこれは違うんじゃないか、となって、日本語としての響きや漢字の雰囲気まで考えに考えて翻訳しつつ、更には先達は辞書の引きが甘い!という主旨のことを言っていて熱量と愛がすごい…。そしてものすごく勉強している人なんだなという印象
初めの方に、この本はこう言うところがしんどいともうけど、ただ世界に浸るように、とかいてあったのがとても良かった。あの文章がなかったらこんなに素直に読めなかった。
読んでいて、よくもプルーストは幼い頃のこんな繊細な気持ちを覚えていたなとか、表現できるな、とか思ったけれど、後書きで、自分の失われた時を思い出すことができる、と書かれていて、感覚間違えてないんだ!となった。
そもそも、感じ方に間違いなんてことが読むことにおいてあるのかとも思うけど。
なんのこっちゃ、となる部分もあるから繰り返し読みたい。かなりノスタルジィに浸れる本だった。
映画の翻訳に関して、昨今では取り沙汰されるけど、本の日本語訳だって、実際かなり意味合いが変わっていることがあるのだな…。というよりも、言葉というのはその言葉を話す人々の文化を背負っているわけだから、そこから別の言葉に、別の文化に変えるとなると意味や受け取り方が見る人によって変わってしまうのは仕方のないことなんだろあ…。
翻訳が話している言葉と、原文と、違うのは映画だけではないし、原文ママで見聞きしたとして受け取り方は人によって変わってしまうのは仕方ないことなんだろう…。
熱が冷めないうちに次の本を読みたいし、長期休暇の間に全6冊を通しで一気読みしたい気持ちすらある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
入院をきっかけに読む。Amazonプライムで無料で読めて嬉しい。翻訳は読みやすいと感じた。
これを機に20年以上前に挫折したこの作品の通読を再度始めてみたい。
有名なマドレーヌもそうだけど、鐘楼のシーンは特に美しい。訳者解説にある様にこの作品はストーリーの展開云々よりもまず、文章を感じていくんだ、と考えた方が読み進められる。