Sapiens: A Brief History of Humankind (English Edition) [Kindle]

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  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (580ページ)
  • / ISBN・EAN: 9780062316103

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  • ・150人を超えると、個人的な結びつきやゴシップだけで安定した集団を維持するのは困難になる。それ以上の組織を安定的に存続させるには、フィクションが必要である。

    ・人間は、生物学的には、狩猟採集民族のままである(農耕社会から現在までの時間は、狩猟採集社会の時間に比べて非常に短い)

    ・ハンムラビ法典(エリート・平民・奴隷は異なる価値を持つ)も、アメリカ独立宣言(人間は皆平等である)も、どちらも客観的な根拠は無い。どちらも人間の想像上のルールに過ぎないが、大人数での秩序の維持に役立つ。なので、これらの想像上のルールを、不変の真理であるかのように見せるため、多くの努力が行われている。

    ・「海外旅行に行くのが理想的な休日の過ごし方である」というのも、その人の心からの理想というよりは、その人が生まれた時代と場所におけるルールの中で作られた理想である。

    ・資本主義社会も、差別的な身分制度社会と変わらない。金持ちと貧乏を分けるのは、本人の努力や才能ではなく、生まれた家庭環境だからである。資本主義社会も一つの共同幻想に過ぎない。

    ・幸せとお金には正の相関があるが、上限がある。貧乏人にとっては、お金が増えることは幸せにつながるが、お金持ちにとってはあまり幸せにはつながらない。
    幸せと健康にも正の相関があるが、健康状態が悪化せず(進行性の病気ではなく)、痛みを伴わない場合は、その病気のコンディションに適応する。よって、発病前と発病後では、幸せ度合いに大きな変化はない。
    家族(結婚)とコミュニティは、幸せと強い正の相関を持つ。
    しかし大切なのは、期待値の設定である。客観的には同じものであっても、期待よりも上だと幸せを感じることができ、期待よりも下だと幸せを感じることができない。

    ・仏教は、人が「良い気分」を求め「悪い気分」を排除しようとし続ける限り、苦しみは去ることがないと説く。なぜならば、良い気分のときには、良い気分が無くなってしまうことを恐れ、悪い気分のときは、そこから逃れたいと苦しむことになるからである。気分をありのままに受けとることができると、苦しむことがなくなる。

  • Great stories.

  • -2017.2.5
    農業改革が必ずしも人を幸せにしなかつた、労働時間は伸び、食料はかつての多様性を失つた、といふ例に見られるやうに、「進歩」が必ずしも幸福を意味しない、といふ議論は興味深かつた。最近の技術進歩と人間疎外の状況を見れば、言ふまでもないことではあらうが、それが近代に始まつたものではなく、言はば人類史の一貫した傾向だと言はれてゐる気がした。
    家畜の量と野生動物の量の比較で、改めて人間が生物界の様子を大きく変へてゐることを知らされた。家畜が虐待されてゐるといふのも、薄々感じてゐた事ではあるが、具体的に描かれると、印象は強い。
    現代の人類は、獲得した力の使ひ方を知らない魔法使ひの弟子か。
    しかし、将来を左右するのは人間自身なのだ。
    全体的に、著者は現在の文明や人間中心主義に批判的な意見の持主だと感じた。

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