- Amazon.co.jp ・電子書籍 (169ページ)
感想・レビュー・書評
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近代において一時は世界の覇権を握ったイギリスとその後について知れる本。
砂糖の世界史を読んだあとだと若干落差があった。砂糖の世界史の方がおすすめ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
バブル衰退期に書かれた、イギリスの栄枯盛衰を歴史学の観点からひも解いた著作。すごく面白くてためになった。歴史学とは単に過去を振り返ることでなく未来をめざす学問であった。かつてイギリスが帝国となった背景には、実は産業革命というよりも、ジェントルマンたちによる教養や趣味といった文化(飲茶!砂糖!学問!)が花開き、そしてそのことが外へ向かう原動力となり、結果として大国となった。その文化的水準の高さのおかげで世界の覇権をアメリカに譲った今なお国際社会で一目置かれる存在なわけですな。現在では、すべての国がイギリスと同じ会談を経て先進化していくはずだという一国史観や発達段階論は役に立たない。世界は一つであり、「イギリスが工業化したためにインドは原綿生産地として工業化しにくくなった」というように役割が決まってしまうということなのだ。かつて、労働と祝祭、遊びには明確な区別がなかったという。今やわれわれはレジャー産業のために働く日々だ。労働とレジャーが再融合され労働が嫌悪の対象でなくなるとき時短は必要がなくなる!と著者はいう。20世紀、アジアの停滞はもはや永久に抜けないものとされていた。それが日本が高度経済成長を見せると、封建制度こそが発展の礎とみなされるようになった。それが今やアジア諸国の伸びしろはめざましい。けれど結局それはアジアがヨーロッパの物差しではかる基準に適応しただけのことであって、ものさし自体見直す必要のある時期に来ているのではないだろうか。さもなければ地球は増え続ける人口を支えることができないだろう。資源云いもあるけれど、ロンドンの人口過剰がアメリカなど開拓地への渡航を促したように/余った人口を戦争に投入したように…もう行く先は宇宙しかないですね、、(;´・ω・)オランダの牢獄気になります。