迷路館の殺人〈新装改訂版〉 「館」シリーズ (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 今回の舞台は、家の中が迷路になっている「迷路館」である。

    この家の持ち主、老人のミステリ作家の家で還暦祝いが開かれ、弟子の作家達、編集者や評論家たちが集められる。

    そんな中、招集した当の本人は自殺。事前に用意されていた、迷路館をモチーフとした推理小説を書き、1番評価の高かった者に相続させる「競作」が始まる中、弟子作家達が各々が書いた小説と同じ方法で殺される‥

    この本は、「小説の中に小説がある」構造となっている。「迷路館で起きた殺人事件の一連を、生き残りの“ある人物”が小説としたもの」を、私たち読者は読む。(ややこしい)

    この小説の作者は誰か、また、この小説を書いた意図は何か、が重要な意味を持っている。
    そしてこの作者の「書き方」に騙された。

    2022年10月24日

  • 館シリーズを読み進めるとトリックは大体つかめてくるが作中に逆転が多々あって
    とても真犯人ついて驚かされた。

  • 密室物のミステリーって巻頭に館の見取り図がついてることが多いと思います。
    この作品もそうです。
    が。
    見取り図を見てめちゃくちゃ笑いました。こんなに笑ったのは初めて。
    ぜひ見てください。
    館シリーズはそもそも、密室殺人といえど実は変態建築家によって建てられた忍者屋敷が舞台で実は密室じゃないんだ!ってとこが見どころだと思うのですが、さすがにこんな家はすごいなと思いました。推理合戦も二転・三転する感じでページを繰る手が止まりませんでした。

  • 今回は前作水車館と違っていかにもな【館】の登場
    その名も迷路館

    見取り図を眺めているだけでもわくわくするのにそこで事件が起こっちゃって、作中作で、叙述…げふんげふん

    とにかく盛りだくさん!
    文句なしに面白いで〜す

  • 久々に館シリーズを読みましたが、やはり面白かったです。自分の推理が初めて正解に近かったので嬉しかった。

  • 何回目か忘れた再読。
    十角館の殺人が実写映画化されるという事で、館シリーズ再読中。

  •  館シリーズの3作目。評価が高かったので、十角館のあとにこれを手に取ってみたが、順番に読んだ方が良かったかもしれない。というのも、知らなくても問題なく読めるが、館シリーズの1作目と2作目の舞台となっている十角館や水車館の話も出てきて、ちょっとニヤリとする場面があったからだ。水車館を読んでいたら、もっとニヤリとできたのかもしれない。
     話を戻して、本作は十角館にも登場した島田のもとに小説が届けられるといったところからスタートする。いわゆる作中作が内容のほとんどを占めている。その作中作である小説を読む中で、さらに作中作が出てくる。いわば、作中作中作とも表現できるものだろうか。
     そんなこともあり、私たちが読む小説と、小説中の登場人物がつくる小説と、さらにその小説内の登場人物がつくる小説と、なんだかとても不思議な雰囲気に包まれる。プロローグ、エピソード、あとがきなどが何度も何度も出てくるのは新鮮な面白い感覚であった。
     今回も見事にひっかかったわけだが、最後に何度もどんでん返しが畳みかけてくるところは、これを味わうためにミステリ小説を読んでるんだと非常に良い気分になった。十角館のような一行で一気にひっくり返される衝撃的なものも好きだが、本作のようなたたみかけられる真相や、真相と思いきや混乱したところに、腑に落ちる説明でスッキリする感覚も大好物である。
     読了時間は2時間40分ほど。今回は電子書籍で読んだため、何度も登場人物や館の見取り図を見返した際に時間を多く取られていたが、文庫版でしおりや付箋でもはさんでいれば、もう少しスムーズに読み終えられるかもしれない。

  •  十角館の殺人、水車館の殺人に続いて、館シリーズ3作目の迷路館の殺人。
     
     3作目ともなると、探偵役の島田のキャラや設定も固まってきてるし、愛着も湧く。さらに、このシリーズは「中村青司という風変わりな建築家が建てた奇妙な館で殺人が起こり、島田が巻き込まれる」というお決まりの構図(新本格と言われる所以か)があるので、今度はどんな館だろうか……と読む時のワクワク感が止まらない。

     今回はギリシャ神話でも有名な「ミノタウロスの迷宮」に見立てた迷路がある館での殺人事件。ギリシャ神話ならギリ知ってるって話を見立ててるので展開が予想しやすかった。
     本格ミステリならではの「HOW」どうやって殺人を行ったのかという部分は、結構簡単にわかる。(毎回舞台となる館には隠し通路や隠し部屋がある)本作の謎レベルが低かったのか、霧越邸殺人事件やAnother、シリーズ前作などを読んで、なんとなく綾辻行人の傾向と対策がわかってきたのか、予想が当たると嬉しいので、これもサクサク読める理由のひとつ。
     人物の読み違えについても、2つあったが男性の方はなんとなく予想できてた。先に読んでた「ずうのめ人形」でも同じようなのあったしね。(綾辻さんが先だけど)

     ただ、「why」なぜ?の部分はサイコパスすぎてちょっと理解に苦しんだ。理解できないからサイコパスなんだろうけど、読みながら「さすがにそれはしないでしょ〜」と思ってた内容が殺人の理由だったから、少し残念に思ってしまった。

    でも現時点では本作が館シリーズでは1番面白く、参加しながら読めたと感じた。
    続編も楽しみ

  • 迷路館ということで、方向音痴の自分はどうなるか不安だったが大丈夫だった。
    大先生の遺言に従い、迷路館を舞台とした小説を後継者達は後継者として書くことになるが…というシナリオ
    作中作ということを使ったトリックもあり、何段階かの仕掛けがあり面白かった
    名前、性別など…叙述トリックの王道を行きながらも裏切りが随所に散りばめられていた。

  • 1988年刊行のシリーズ3作目
    充分に古典の範疇なので好みの問題だが
    ベニヤ板造りの館のだがそれだからこそ良いのださが
    ミステリに浸かっている度合で
    何周目の途上にあるか次第とも言える
    パソコンでなくワープロを知っている
    使ったことがある層がどんどん上へ漂っていくこのごろ

著者プロフィール

1960年京都市生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。87年、大学院在学中に『十角館の殺人』でデビュー、新本格ミステリ・ムーヴメントの契機となる。92年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2009年発表の『Another』は本格ミステリとホラーを融合した傑作として絶賛を浴び、TVアニメーション、実写映画のW映像化も好評を博した。他に『Another エピソードS』『霧越邸殺人事件』『深泥丘奇談』など著書多数。18年度、第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2023年 『Another 2001(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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