ルワンダ中央銀行総裁日記 [増補版] (中公新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 是非、全国民に読んでもらいたい。

    異世界転生ものだと思って読めば、意外にすらすら読める。
    「朝起きたら、発展途上国の中央銀行の総裁になっていた件。~日銀で得た知識で、国にはびこる寄生企業を駆逐して、国を発展させた~」みたいな感じ。
    勧善懲悪もので、読んでいて気分も爽快である。

    そして、この国が日本であったら、と想像してほしい。
    国民が賢くないと、他国から搾取されるだけの国になってしまう。
    今、日本は平和ボケの真っ盛りで、この本のルワンダのように他国から静かに侵略されている。

    国民が賢くなければ国を守ることはできない。
    国を守れない国民は、他国から搾取されるだけの奴隷になる。

    危機感を持って本書を読んでほしい。

  • 6年間のすごい仕事がまさに「日記」で丁寧に書かれている。著者はフランス語と英語で途上国の中央銀行総裁として様々な課題に取り組み、経験と知識と真面目な態度で素晴らしい成果をもたらした。大統領はじめとするルワンダ人の信頼、部下や関係者への厳しい目、ユーモア。会計の知識がない私はほとんど理解できないまま読んだと思うが、バス公社のエピソードなどはわかりやすかった。目に見えてルワンダ人の生活が良くなり、事業は黒字化し、日産は20台程度の小さな商売なのに技術者や修理などルワンダのために協力した。蔵相の更迭に関する記述も著者らしく、冷静に前任蔵相の優秀さを描写しながら更迭に至るまで、後任の問題点を挙げる。税金の補助で寮生活を送るエリート学生には「卒業後、官界に入れば課長職(俸給11700フラン)が保証されているのに反抗することが民主主義だとは」と手厳しく批判する。銀行業のスペシャリストであっても、ルワンダのミクロ経済のことは知る由もなく外国人商人やルワンダ商人の話を丁寧に聞き、素人のように素朴な納得を得ていく。職員の能力が低い赴任当初は自分で帳簿をチェックする。IMFの超エリートもこんなに実直に仕事をするんだと初心に帰らされる。著者は家族を呼び寄せたが、写真を見ると子どもたちは小学生〜中学生といったところ。ベルギー人向け外国学校で最初は苦労したが、だんだん成績上位になったとのこと。山崎豊子は不毛地帯で海外赴任するサラリーマンの家族を不幸に書いたが、著者も幼少期から海外で育って世界で活躍する人となった。大変であることは間違いないが、海外で学ぶことは意義のあることだと思う。
    特筆すべきは数十年後のルワンダ内戦で著者が中央公論に寄稿した文章。先進国は無責任な武器供与をやめろと書いている。今のウクライナ戦争に大いに教訓になるのではないか。

  • ルワンダにとって1965年に日本銀行から真面目な、
    まさに銀行員という感じの服部氏を総裁に迎えられたことは奇跡といってよい。
    植民地宗主国の搾取に慣らされたルワンダを、
    使命感の塊の服部氏の赴任がその後のルワンダの発展の礎を築いた。
    痛快。
    日本人を誇れる一書である。

  • ルワンダの中央銀行総裁として赴任した筆者が一国の経済を立て直していく話。金融関連の仕事でなければ分かりづらい専門的部分もあるが、そこは斜め読みしても十分面白い。

    私は今インドネシアで仕事をしているが、筆者の捉えた現地人による外国人への眼差し、応対について、私も同じようなことを感じている。例えば外国人へのコンプレックスであったり、自信の有無等。また中央銀行が市井の銀行へどのような思いで指導、コントロールしているのかについても興味深い視点であった。

  • ルワンダで6年間中央銀行の総裁を務めた記録。
    まるで明治の元勲の奮闘を見る思い。ただ、経済の説明部分はさっぱり。
    なお、初版は1972。

  • ルワンダの中央銀行に赴任した日本人の手記。
    銀行に関係のない人でも、マネジメントに関心のある人は必読。

    しばらく前に話題になって買っていたが、積読状態であった。タイトル的に重い話かと想像したが、意外とどんどん読み進めていくことができた。

  • こりゃ面白かった!1960年代のルワンダ中央銀行に赴任しルワンダを再建された方のお話。この著者である服部さんがルワンダという国づくりをしたと言っても過言ではない。自分では絶対に体験できないことを追体験できる本、これぞ本の醍醐味だなーと改めて感じました。

  • ルワンダ中央銀行の総裁として、ルワンダの経済再建を題材としたドキュメンタリーを書いた本。自分としては初めて読むタイプの本だった。

    最もよかったのは、金融、経済という視点で1つの国をどのように捉えて、どのようにことを進めていくかということを著者の間近から眺め見ることができた点だった。国の中央銀行が何をしているとか、外貨準備、預金準備とはどういう意味を持つのかとか、輸入、輸出とは国にとって国民にとってどういう意味を持つのか、作用するのか、ということを断片的にも知れたことがとてもよかった。

  • 他国に派遣される技術者が、全て著者のような人だったらな…と、自戒を込めて考えさせられた本。

    「ルワンダの事はルワンダ人に聞く」という姿勢を最後まで貫いていた氏の姿に、敬服させられっぱなしである。

  • アフリカのルワンダという国の立て直しのために、通貨改革(平価切下)を行うことになり、その実務を行う外国人として、そこの中央銀行総裁として赴任された著者。その最初からルワンダを去るまでの物語です。大所高所から指示するのではなく、ルワンダの人々とコミュニケーションを取り、何が本当に必要なのかについて、考え悩み実行されています。銀行業務等ほとんど知らない現地の人々(外国人顧問含む)の中にあり、著者の経験は一日の長があり、大統領の信頼という大きな権限も手伝い、思う存分に改革を進めていく姿は、英雄をみるようでした。実際は美化されているところもあるかと思いますが、ルワンダの成功のために行われた改革は現実で、学ぶべきことが多いと思います。著者の奮闘記と合わせて、実際の改革内容と、バランスよく、楽しんで読むことが出来ました。

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