夏美のホタル (角川文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
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  • p148-150 抜粋
    「そもそも幸せってなんだ?」
    「幸せってさ、単純にさ、こういうことかも」
    不意に夏美は僕の手を握った。
    そして、ちょっと大きめに手を振りながら歩きだしたのだった。
    「たしかに、単純なのかもな」
    ふと、前の方からふんわりとした木綿の風が吹いてきて、2人の髪の毛をサラサラとなびかせた。
    「風が気持ちいいの幸せだしさ」
    夏美は前を向いたまま言う。

  • 夏の匂いと人の暖かさとを感じるあったかい物語。
    涙腺が緩みっぱなしになりました。
    読むと優しい気持ちになります。
    心が疲れたときに読んでほしい一冊。

  • 田舎の情景描写が秀逸で、自分もその場にいるような気持ちになった。

  • ふと立ち寄った房総半島の古びた雑貨店に暮らす母子と若者の交流を描く。本当に優しい人たち。若者によって年取った母子は彩りを取り戻し、若者は母子との出会いをきっかけに羽ばたいていく。生まれてきてくれてありがとう、という子どもへの想いを再び思い出した。

  • 写真家志望の大学生が、彼女とのバイクツーリング途中で訪れたよろず屋。そのよろず屋から人と人との交流が始まります。
    登場人物が魅力的なのはもちろん、それ以上にこの物語では「自然の描写」が際立っています。
    ただの「夜明け」ではなく「光の粒子をたっぷりはらんだすみれ色」の夜明け。
    目の前に光景が浮かびますよね。
    人々の交流、自然の圧倒的な描写を堪能したい方におすすめの作品です。

  • 物語は二人の若者が、年老いた母と息子の営む古びた雑貨屋「たけ屋」を訪れるところから始まる。人との出会い、そして別れが、故郷の美しい情景とともに描かれている。癒され、心温まる物語。
    個人的に『エミリの小さな包丁』に出てきた風鈴が、この小説の中にも出てきて嬉しかった。

    「時間とか、人の心とか、思い出とか……目には見えないけれど、でも確かに存在するものがある。ーーわたしたちは、自分の内側の『想い』という見えない力を頼りにして、この世の目に見えない大切なものたちと寄り添いながら生きていくしかないのだろう。」

  • 読んで良かったー。
    家族、生きる、幸せを気づかせてくれた本でした。

    今好きな人をもっと大切にしようと思えて、
    人生って短いことを考えさせられた。

  • 山や川のおいしいものの描写、四季折々の田舎の風景がまぶたの裏に浮かんでくる。
    いなくなってしまった命、また新たに宿る命。
    地蔵さんの言葉や生き様が2人の子に、
    生命のリレーは続いていくんだと感じた。

  • 山里での掛け替えないひとときがやさしく描かれてる。自然の描写が鮮明で、読みながら一緒にこの夏を楽しませてもらえた。出てくる誰もがあたたかくて、いいなぁ。
    親から子・世代の継承や人と人のつながりがテーマ。
    あとがきの最後まで大切に読んでほしい。

  • 何回も泣かされました

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著者プロフィール

1969年千葉県生まれ、早稲田大学卒業。2007年『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』『癒し屋キリコの約束』『きらきら眼鏡』『大事なことほど小声でささやく』等、映像化された作品多数。他の著書に『ヒカルの卵』『エミリの小さな包丁』『おいしくて泣くとき』『ぷくぷく』『本が紡いだ五つの奇跡』等がある。

「2023年 『ロールキャベツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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