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感想・レビュー・書評
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ーーー屍者復活の技術が全欧に普及した十九世紀末、医学生ワトソンは大英帝国の諜報員となり、アフガニスタンに潜入。
その奥地で彼を待ち受けていた屍者の国の王カラマーゾフより渾身の依頼を受け、「ヴィクターの手記」と最初の屍者ザ・ワンを追い求めて世界を駆ける
なんとか映画公開に間に合った。
伊藤計劃の未完の絶筆を、円城塔が引き継いだ作品。
文章の随所に伊藤計劃への敬意があるように感じられた(もっとも円城塔は否定しているが)
『虐殺器官』『ハーモニー』に連なる作品として遜色のない出来になっていると思う。
「自らを構成する魂・意識の源について考える自我」について考察しているキャラクターが語る文章という眩暈がしそうな構造も登場するが、それもまた心地よい。
可能なことはいずれ起こるし、想像できることは実現される。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
生と死との境界、意思に対しての疑い。
哲学的な問いが多くおもしろい。 -
単行本版との違いは円城先生のあとがきがあるかないか、だけです。しかしながら、それはこの作品の構造を理解するうえで本当に大きな違いです。
あとがきを含めたこの版を読むことで、単行本版では位置づけに違和感があった最後のフライデーの独白の意味合いについて、理解をすることができたかと思います。 -
伊藤計劃の遺稿を円城塔が完成させた小説。
古いSFや文学作品の登場人物がわんさか登場してリーグ・オブ・レジェンドみたいだった。
「カラマーゾフの兄弟」のアリョーシャや「未来のイヴ」のハダリーまで出てきてネタ元を探すだけでも楽しい。