この闇と光 (角川文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 40
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感想・レビュー・書評

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  • この話は、アニメ化も映画化も不可能な美しいものをひたすら想像させてくれます。
    ただ、ずっと不安にもなります。
    表現力に圧倒されます。
    ラストは私個人的には寂しいというかもっとツッコんで書いてほしいと思ってしまい、ああ私も俗物だなと自己嫌悪に陥りました。
    ネタバレは一切したくない話です。
    結局、夢中で読み終わりました。

  • なんとも独特の世界観から始まり、途中で、えーっ⁉️て驚き、最後、え?あれ?どっちがどう?って感じな結末でした。
    本書がミステリーかで意見が別れるみたいですが、作者はきっとこういう世界を描きたかったのかな、と思いました。面白かったです。

  • 舞台が海外なのか時代背景も不明な中でストーリーが進むもどこかで転換する事は予想できた。
    全てのストーリー背景が分かった時に一瞬ゾクッとしたが、その後の展開は今ひとつ引きつけられる感じがなかった。
    何故主人公が誘拐され、何十年も経ってから急に解放されたのか。その辺りの展開に深みがなかったので終盤にかけてあまり盛り上がる事ができなかった。
    『ほんため』で紹介され期待値が高かっただけに正直残念な展開であった。

  • 森の奥の邸宅で軟禁状態で暮らす「盲目の王女」である主人公は敵国の意地悪な「使用人の女」と「兵士」に睨まれ外に出ることは叶わぬものの優しい父王である「おとうさま」にドレスと物語と知識と愛を惜しみなく与えられ甘く幸せな日々を送る…が、しかし。

    衝撃の展開があるぞ、すごいどんでん返しがあるぞ、との触れ込みだったので身構えて慎重に読み進めたので真相は9割くらい当たり。兵士の存在だけは読みきれませんでした。

    ミステリとしてはその誤認トリックとホワイダニット物でしょうか。中盤で主人公は唐突に闇から開放されて光を得たものの思い描いていた美しい世界とは全く違う凡庸さと醜さに幻滅し、終章で「おとうさま」と再会しその深い闇に再び取り込まれるような形で幕引き。おそらくそこまでが計算の内なのでしょう。

    なるほどこれがメリーバッドエンドってやつですか。

  • 変化に放り投げられる主人公の心の変遷がテーマの作品かなと思うがそれにしても悶々とする終わり方。
    事前に前半と後半で話が一変することを知っていたので前半の描写を飛ばし気味に読んでいたこともあって後半の主人公の心情に乗っかり切ることが出来なかったのは失敗だった。

  • 変な本!って感じ
    話のギミックは確かに面白くはあるけど、ギミックよりも主人公の心の動きの方が本当に書きたかったことだと思う
    そういう意味では作者はやりたいことを1冊に詰め込んだんだな〜という感じがとてもする

  • この作品は何も調べずに読むことをオススメします。ネットで検索しちゃったら結末分かっちゃうかもしれませんので、本を手に入れたら真っ先にパソコンの電源を引っこ抜いて、電気は消・・・・・・さないで一気にお読み下さい。情報シャットダウンしての読了をオススメしたい。

  • 予備知識なく読んで、「ヤラれた!」感を楽しんで欲しい、と言う紹介を見て購入。

    とりあえずどんでん返し的な何かがあるんだろう、くらいに読み始める。

    読み始めたら読み切れ!がモットーなのだけども、序盤、前半はつらい。

    想像力が微妙な、若い人向けに書かれた西洋ファンタジーなのか?でもところどころ現代のものが紛れ込んでる。英語圏と現代で戦争してる王国で、西洋的メルヘンなピクニックが可能で、それを楽しむ国って?夏目漱石が翻訳されて、音声で出回ってるような時代?何なの?の不可解のオンパレード…という意味で。

    どんでん返しがあるという前提を知らなきゃ絶対読まないであろう書き方の前半。トーンが掴めん。

    …その種明かしの後半。

    そこは面白かった。思う以上に、二転三転の返しがあった。

    美しいものだけに囲まれて生きることって、可能なのかしら?

    清濁併せ呑む度量がないと、人を見下すか、脳内お花畑な人間にしかならない。さもなくば、その不具合を補うだけの突き抜け方をしなくては、きっとこの世では生き残れない。

    そしてその主義を貫いて子を育てるなら、最期まで面倒見ろよ?さもなくば、悲劇にしかならんだろ?

    …ということなのだろうか。

    色んな情報を得られ、色んな生き方のできる現代において、過去の「美しいもののイメージの断片」をつなぎ合わせて、「自分にとっての美しさ」を規定する選択があって良いと思うけれども、「新しい美しさの価値」を規定する選択だって、あっていい。ただその両方の牌が既に、埋まってしまっている場合、我々は何を持って美しいものを、決めていけるんだろう?新たな価値を、考える必要を、少し思った。

  • 途中でどんでん返しがあるんだけど
    私は本を目次から読む癖があるので
    なんとなく途中で気づいてしまった
    悔やまれる

  • アクロバティック一人二役。

  • この本に関してはレビューをあまり見ないで読んでほしい

    二章目からがらっと話がかわり、手が止まらなくなりました。
    耽美な世界だけで育てられた人間がこれから俗世で生きていかなければいけないという絶望

    どうやって犯人に辿り着いたのか、本当の動機は?などモヤモヤが残る終わり方ではあるけれど、そこが曖昧なままであることがさらに独特な世界観の読後感を生み出していると思う。

    このかたの他の作品も読んでみたいなあと思う。

  • それまで形作られ自分のすべてだと思われた世界がガラッと一変する時の快感。小さな箱庭で歪な愛が織りなす光と音と感触のみの曖昧な世界が本当に美しかった。
    ラストがとても好きだ。これまで読んできた「レイア 一」「レイア 二」は主人公の体験談であること、その原稿を「父」=「原口孝夫」=「D」に添削してもらうこと、つまり物語上に描かれる「父」の姿は「レイア」視点のものであり、「父」の思惑については想像でしかなく真実は闇の中である。自分が経験した物語を「神」に献上する、「神」は真実を一切語らず、物語について「あなたには文才がある」と評するだけだ。蒸し返す夏の逆光の中で笑う彼はまさに光と闇の神、アブラクサスであり、物語の真相は「父」…神のみぞ知るのである。

  • 読書垢で知り一気に読了。盲目の王女を巡る激動の物語。同じ立場の者として共感、納得するところもたくさん。思えば今は技術の進歩で全盲でもこうして電子図書で読書ができSNSで発信もできている。王女が現在に生きていたら運命はどう変わっていただろうか。

  • レビューは未定。

    評価は4.5つ星です✩

  • ホンタメでイヤミスとのこと。イヤミスでした。納得感ない!読後のもやっと感よ!

    ・国王の父親にレイア姫と名付けられ、お城の2階で盲目の少女が孤独だが楽しく暮らす。お城には死ねばいいとか言ってくるお手伝いさんもいるが、犬も居て仲良くくらす。

    ・終盤は全てが反転。父親が暴動の対応に出る中、お手伝いさんに車に乗せられ、どこかに放置されると、両親と名乗る人たちに連れられ病院にいき、目が見えるようになる。

    ・実は少女は三歳の頃に誘拐されており、9年ぶりに返還された。おまけに少女じゃなくて少年だった。

    ・何故そんな誘拐をしたのか、少年は調べ、有名作家が犯人だと確信して、その物語を書く(それがこの本)それで作家に送り付けるも、作家の家に招待され、盲目時代と全く同じ間取りなのに、作家は知らないと言う。

    ・結局謎だらけ。うーん…。最後の大オチがありそうとの事だったので、盲目✖️少女で、実は男という想定はしたが、そうした所で綺麗に落ちないなぁと思っていたが、まぁそのとおりあんまり綺麗に落ちてない感が強い。(あっと驚くかもしれないがそれだけかなと…必要性あるか?みたいな。生理の描写があり、あーちがったかとは思ったが夢精かぁ…んなびっくりする量出るか?wとか)

  • 「そうきたか、一本取られた」が、率直な感想。
    謎が解けてみれば、確かに作中のあちこちで示唆されていたことに気付き、思わず手を打ってしまう。そんな作品。

    三点リーダが多用されるため少々読みづらく、また登場キャラクターに魅力を感じないので星3にしているが、ミステリー好きな方にはお薦めできる。

  • 気になってた、やっと読めた~あらすじが割とネタバレなので、「テレヴィ」とか出てきた時点で大体分かった。自分は悪いことした人は罰があって当然だと考えるタイプなので、終わり方がどうしてもしっくりこなかった。ダフネはまだ分かるけど、兵士の存在はなぜ必要だったのか…?

    ☆勝手にイメソン
    Feeling Good(マイケル・ブーブレ)

  • 超どんでん返しを期待してしまっていた、、
    「神の意思はランダム」

  • 読み終わってなぜかムカついてしまったのだ。このムカつきは「やられた!」という気分のムカつきだと思う、多分。

  • 耽美な世界観で、どんでん返しがある、というのだけ聞いていたので注意しながら読んでみたら、途中の違和感から真相は想像できた。

    敵国に捕らえられ軟禁生活を送りながらも父王からの愛を惜しみなく与えられて育った盲目の王女レイア。ある日その生活が一変し全てを失ってしまうが…


    盲目の闇の世界から突如解放されて現実の世界を知る主人公だが、見えなかった頃の世界の美しさと現実の醜さ、凡俗さとのギャップがすごい。

    映像化は絶対できない作品だよなぁ…こういう文章ならではの仕掛けは大好き。

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著者プロフィール

1948年生まれ。版画家。日仏現代美術展でビブリオティック・デ・ザール賞受賞。『時のアラベスク』で横溝正史賞を受賞しデビュー。著書に『この闇と光』、『一八八八 切り裂きジャック』(角川文庫)など。

「2019年 『最後の楽園 服部まゆみ全短編集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

服部まゆみの作品

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