合本 竜馬がゆく(一)~(八)【文春e-Books】 [Kindle]

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  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • 殿堂入り

  • 著者は 坂本龍馬を 国家を成立させた英雄と 見ている。この本から 英雄の条件は 男性的な大局視点と 女性的なキメ細やかな心情にあると 思った

    この本に 坂本龍馬のみでなく、幕末明治の有名人を 数多く登場させたのは 、坂本龍馬だけの動きで 歴史を考えるより、他との関係性から 歴史の大局を判断して 欲しいから だと思った

    6巻以後 面白さ加速。司馬遼太郎さんの文章の巧さにより、坂本龍馬はもちろん 長州や西郷隆盛、岩崎弥太郎 も好きになる

  • 文庫本も持ってるけれど、合本が安くなってたので買い
    新潮文庫のシリーズも安くなればなあ

  • 幕末から明治へ、日本の変革を坂本竜馬という稀代の英雄を中心として描いた、あまりに有名な長編小説。多くの志士たちと共に読者としてその時代を生きた時、竜馬の偉大さと同時に、彼がこの時代に生み落とされた理由を知りました。

  • 2015/7/4読了。
    国民的な小説と知りつつ今まで何となく敬遠して未読だった。
    本書をまるでノンフィクションか自己啓発書のように思って読んでいる人が世にあふれているように見える。歴史に材を取った小説がそういう読み方をされるのは珍しいことではないけれど、本書の場合は特にそういう読み方をした人の雰囲気についていけない感じがするので、敬遠していたのだ。たとえば試みに「議員」「竜馬がゆく」の2語でグーグル検索してみると、愛読書に本書を挙げる地方議会の議員のホームページやらブログやらが大量にヒットする。
    司馬遼太郎は特にそういう力量に優れた作家で、僕自身も多分に漏れず、十代半ばの多感な頃にこの作家の『燃えよ剣』や『新選組血風録』を自己啓発書的に読んでしまい、その後の人格形成を少しばかり誤ったところがあるので、誰を描くにせよ読者をしてそういう読み方へまんまと引き込む筆のうまさがこの作家にはあると警戒していた面もある。
    そんな先入観を持ちつつ読んでみたわけだが、幕末小説としてはやはり抜群に面白い作品で、引き込まれて一気呵成に読んだ。いや面白かった。さすがは司馬遼太郎。物語の背景となる状況の流れが平易な文章で整理されており、歴史を生き生きと演出して見せてくれる。架空・実在を問わず登場人物たちのキャラが立っている。主人公がチートな能力を持つヒーローで、ツンデレ娘を含む女たちが向こうから寄ってきてモテまくるというどこかでよく見る要素もある。読みやすくて面白くてためになる、昭和の大衆文学の傑作だ。
    昭和の、というキーワードを出してみて改めて気づいたが、途中から、特に薩長同盟が成って以降の討幕の陰謀が始まる辺りから、登場人物たちが幕末の志士というより昭和の政治家や財界人やモーレツ社員のイメージで見えてきて困った。そういう意味では、本書は「幕末を描いた作品」ではなく「昭和に書かれた作品」としての政治小説・企業小説の臭いが濃くなる。その時分に「仕事」に関わっていた人々やこれから関わろうとしていた人々が理想として思い浮かべる仕事のあり方にマッチしたのも、ベストセラーになった理由のひとつだろう。最近で言えば、さしずめスティーブ・ジョブズの伝記などがこれに近い読み方をされたのではないだろうか。

    さて、以下は余談。
    本書の坂本竜馬のような革命家が仮に現代に実在しているとしたら、彼(彼女かもしれないが)はどんな人だろう、と夢想してみる。
    彼はおそらく、わが社わが町わが党わが国といった限られたコミュニティの目先の利益には必ずしも最適とはならない原理に基づいて行動しているはずだ。本書の坂本竜馬と共通するのは、たぶんそういう本質の部分だけだろう。
    その原理や行動は、幕末とは異なる現代の状況に対するものだから、本書の坂本竜馬が本書の背景である幕末の状況下で行ったものを現代から振り返るのとは、まったく違う印象を僕らに与えるものだろう。本書の坂本竜馬の思考回路に現代の状況の諸要素を入力したらどうなるか、と考えなければならない。
    いや、そもそも入力の仕方をどうするか。幕末竜馬の「日本」に相当する要素として代入すべき現代の概念は何か。たぶんそのまま同じ「日本」ではないだろう。「幕府」に代入すべきは何か。ぱっと思いつくのは「政府」や「自民党」だが、それでいいのだろうか。たぶん違う。「藩」や「封建制」に代入すべきは何か。これも僕ら百姓町人が本書を読んですぐに思いつくものではあるまい。それらを守るのか葬るのかの判断も本書と同じとは限らない。入力すべき項目の数も現代のほうが多いかもしれない。となると、出てくる答えとしての行動原理も、本書の竜馬とはまったく違うものになるはずで、たぶん僕らの目には法螺か危険思想に見えるだろう。革命家だから当たり前なのだが。
    つまり、現代の坂本竜馬は、本書の坂本竜馬と同じことはしていない。本書の坂本竜馬を彷彿とさせたりもしない。「現代の坂本龍馬」などと言われたりもしていないし、言われたいとも思っていない。彼を見つけようと思ったら、本書の坂本竜馬に印象が似ている人や、尊敬する人は坂本龍馬ですなどと言ってるような人は、候補から外したほうがいい。
    はたして彼(彼女かもしれないが)は今どこで何をしているのだろうか。
    ……などと考えてしまった。あれだけ警戒していたのに、またしても司馬遼太郎の術中におちいってしまったらしい。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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