ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 心地よかったけど覚えてない

  • 私の読んだのは電子書籍でなく2013年3月30日第1刷発行の本である。
    息子が、勧めてくれた本で、この本の著者 原田マハ氏があり、美術館鑑賞で、毎度、絵画のポスターカードを本の表紙になった作品と同じ物を送ってくれる。

    今回は、以前のモネの睡蓮が、淡く描かれている表紙に、図書館で目に止めて、未読だったので、手に取った次第である。

    やはり、感性の鋭い著者であるかラ、最初から読みやすい。
    最初から、老婆が、語る話に ついつい、のめり込んでしまい話の続きが読みたくて、本を離せない。

    4話からなるのに、画家の秀でた作品のあれこれとした紹介などなくて、どんなふうに生涯を過ごしたのか?という点に光を当てて、マチィス。ピカソ、ドガ、セザンヌ、ゴッホ、モネ、と、殆どの人が知っている画家があ登場している。

    それが、親しみ深く、物語を第三者から見て描いている。
    どれも、吸い寄せられるように、魅力的な文章で、語り手を良く構想されている。

    今度、この画家たちの絵画を見る時に、又違った見方が、出来そうな話であった。

    作者が、以前勤務していた I商社は、我が父も参与で居たが、皆優秀な人材が、多く、この本一つに、どれだけの文献を読まれたのだろうと、察しせざるを得ない。
    ニューヨーク美術館も勤務されて、キュレーターとして、活躍されただけでなく、このように、わかり易く、親しみ深く、カルチャーライターの著者の凄さに、ほれぼれとしてしまう。

    美術の秋・・・ちょっと、知識が増え、美術館へと、足を延ばしたい気持ちにさせてくれた本であった。

  • アートに纏わる四つの短編小説からなる一冊。どれも、アートに造詣の深い原田マハさんらしい内容で、無学な私でも聞いたことのある実在の有名画家たちに纏わるストーリーだった。おそらく内容も実際の史実に基づくものをベースに書かれているのではと思う。読み進めながら、スマホで検索してこの絵見たことあるなぁなんて思いながら、その時代を生きた画家たちの生活、情景を思い浮かべられて面白かった。特に、表題にもなっているジヴェルニーの食卓が心に残る。クロードモネの晩年を、過去を振り返りながら、生々しく描かれていて、印象に残った。食卓という題名にもあるように、今にも美味しい匂いがしてきそうなご馳走のメニューを読むのは楽しかった。
    アートについて、歴史を辿りながら順を追って学びたいと思うようになった一冊だった。


  • 綺麗だったな
    個人的にはとっても好きな小説

    丁寧な暮らしというかやっぱり外国らしい暮らし憧れる

    フランスに住みたいな

  •  本作で原田氏の作品は二作目。相変わらず美しく、内容も美術に関するもの。西洋近代美術に興味がある方はその背景を学ぶ上でも非常に参考になると思います。

    ・・・

     本作は4作の短編からなっています。それぞれが画家についての話ではあるもの、あくまで周囲の人物や事象により本人を浮かび上がらせる形をとっています。

    うつくしい墓・・・マティス。彼のもとで家政婦を務めた老女による、巨匠の思い出。南仏の陽光の風景が目に浮かぶ素敵な作品(行ったことないけど)。ピカソなどの周辺人物との人間関係も描かれる。

    エトワール・・・ドガ。米国人画家のメアリー・カサットからの視点による。貧しい女性、貧しい画家、それぞれが年齢や性別にかかわらず必死に生き抜くための様を描く。

    タンギー爺さん・・・セザンヌ。画材屋兼画商のタンギー爺さんの娘から、セザンヌへ宛てた一連の書簡により作品を構成。印象派を懸命に応援したタンギー爺さんと当時の印象派の低すぎる社会的地位が印象的。

    ジヴェルニーの食卓・・・モネ。継娘のブランシュの視点より。自然の美しさ、政治家クレマンソーとの友情、モネを巡る人間ドラマなど。オランジェリー美術館誕生の小噺も。

    ・・・

     突然ですが、美術の価値・存在意義って何でしょうか。
     まあ美しいものを作り出すってことでしょうか。とすると、では美の定義とは? これまた人により色々違いますね。
     とどのつまりは皆が美しいというものが美しい。これは民主主義的に首肯せざるをえない。他方で、個々人がとらえる美というのも確かにあります。

     作品では、このような美の新たな地平を切り開いた画家たちの人生の一部が鮮やかに描かれています。自分の信念がある一方、その信念を曲げて、あるいは折り合いをつけて、自分の美ではなく大衆の欲する美を想像し、生活の糧を得なければいけない現実もあります。そのような自他の相克が時に痛々しいほど描かれているのが心に残りました(『エトワール』)。
     これはサラリーマンにも通づるところがあると感じました。
     やりたくない仕事、だけどやらねば食えない。でも、サラリーマンはある意味楽ですね。仕事=自己実現とは決してならないのは多く初諸先輩方がおっしゃられる通りです(『おかれた場所で咲きなさい』という本が過去に流行ったのを覚えていますか)。でも、画家のように、自らの美、これこそが真実で正義であるのに、自分を曲げて社会に迎合するというのは相当度に精神に影響がありそうです。

    ・・・

     面白かったです。フランスの風景描写も美しく、そして折に触れて出てくる美術作品をgoogleで確認しながら見るとさらに面白い。
     フランスに興味がある方、美術に興味がある方にはかなりお勧めです。またフランスへの旅行を計画されている方にも、お勧めです。行くべきところ見るべきところの予習としても使えるかもしれませんね。

  • フーテンのマハを読んでいたら紹介されていた。主人公がモネなどの有名な画家と一緒に暮らしたつもりでその人柄や生活ぶりを描く手法で構成される。前半は退屈だったが、絵画に興味がある人にとってはモネのスイセンがどういった経緯で描かれた絵だったのかを知る貴重なプチネタになる。

  • 世界観がとても素敵。美しい。

  • ☆☆☆2021年1月☆☆☆


    原田マハの短編集。
    「うつくしい墓」・・・マティス
    「エトワール」・・・ドガ
    「タンギー爺さん」・・・セザンヌ
    「ジヴェルニーの食卓」・・・モネ

    美術史に残る巨匠たちの姿を、その周辺にいた女性の目線で語る。マティス邸に仕えた家政婦の目線で。あるいはモネの義理の娘の目線で。それぞれの画家の姿がありありと見えるようで、一気に読んでしまった。


    特に印象深かったのは「エトワール」
    『十四歳の小さな踊り子』という彫像のモデルになったメアリーとドガの関係性が興味深かった。
    「彼女たち(踊り子たち)は、私たちなんだ。このシステムは、私たちが属している美術の世界とよく似ているんだ。芸術家と、パトロン…」
    ここに、この世界の厳しさ、冷たさを見た。
    美術界だけでなく、社会の大きな問題にもメスを入れるようはドガの鋭い切込み。


    「タンギー爺さん」
    主人公であるはずのセザンヌは一度も出てこない。
    画材店の店主であるタンギー爺さんの娘からドセザンヌにあてた手紙の内容だけでセザンヌが浮かび上がってくるような仕組みだ。
    タンギー爺さんは『たゆたえども沈まず』にも登場した。
    無償の愛で売れない画家をサポートした、このような人物がいてこそ、印象派が世に出ることが出来たのだろう。

  • マティス、ゴヤ、セザンヌ、モネに関する4つの短編集。
    原田氏の本を読むと、世界的な絵画の巨匠の生活や感情が身近に感じられ、彼らも同じ人間であること再認識させられる。彼らや周りの人々の人生を散文的にではなく物語として知ることで、絵の教養の全くない自分でも、今までとは違った目で作品を楽しむことができるようになる。

  • 楽園のカンヴァスに続けて一気に読了。原田マハさんの読後感は常に“愛"って信じて良いのなら、これからも迷わず手に取りたい。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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