走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫) [Kindle]

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  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • 村上春樹の、走ること、小説を書くことについての考えがよく分かる。しかし、文章の、いわゆる「春樹臭」がものすごい。だから、村上春樹流の「シンプルな表現で語られるもったいぶった言い回し」が嫌な人にはお薦めできない。私もそれが鼻について、あまり楽しめなかった(それでも最後まで読んでしまったのだが……)。

  • 何度も読み返しているせいで手垢がつきすぎて黒ずんでしまった。
    まさに私にとって座右の書。
    走りたく無い気分が続いた時に読み返すと復活できる。

  • 日本を代表する小説家が30年以上をかけて続けていることは、小説を書くことだけではなく、音楽を聴くことやレコードを集めることだけでなく、ランニングをすることでもあった。

    村上さんのエッセイではよく音楽とお酒とランニングのことが語られるが、この本ではランニングについての深い思いが存分に語られている。

    そこには、ランニングという行動を通して「なにかを続ける理由」が丁寧に語られていて、僕がなにかを続ける理由も、この本の中に同じように語られている。

    僕が言葉に出来なかった思いを言葉にしてくれた、とても素敵な本だ。

  • 今自分がランニングしているので、入りやすい本だった。
    読み終わり、題名について「そういうことだったのか」と思ってしまった。

  • <感想>
    ランニングが習慣になってから、マラソン関連の書籍が気になるようになった。本書は村上春樹が自身の「走る」行為について書いた一冊である。走ることが著者の生活でどのような意味を持ち、どのような位置づけなのかを感じることができる。
    ランニングが趣味の人が読むと、長距離ランナーの心理プロセスや、身体が運動に馴染むまでの過程が感覚的に理解でると思う。
    「走るという行為」には人生のメタファーが詰まっている。若い頃は理解できなかったが、年を取ることで本書の価値が分かるようになった。

    <アンダーライン>
    ・Pain is inevitable. Suffering is optional.「痛みは避けがたいが、苦しみはオプショナル(こちら次第)」
    ・「いや、ちょっと油断するとすぐに体重が増えてしまって…」という悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれない。しかし、それは天から与えられた幸運なのだ
    ★そこでの重要なタスクは、「これくらい走るのが当たり前のことなんだよ」と身体に申し渡すことだ。
    ・「これだけの作業をこなさなくちゃいけないんだ」という記憶が、反復によって筋肉にインプットされていく
    ★★★走り続けるための理由はほんの少ししかないけれど、走るのをやめるための理由なら大型トラック一杯分あるからだ。僕らにできるのは、その「ほんの少しの理由」をひとつひとつ大事に磨き続けることだけだ。
    ★★★「僕は人間ではない。一個の純粋な機械だ。機械だから、何を感じる必要もない。前に進むだけだ」
    ★★★もし自分が血も肉もある生身の人間だと考えたりしたら、苦痛のために途中であるいは潰れていたかもしれない。自分という存在はたしかにっこにある。それに付随して自己という意識もある。しかし今のところそれらはいわば「便宜的な形式」みたいなものに過ぎないんだと考えようと努めた。
    ・疲弊していることが、いわば「常態」として僕の中に自然に受け入れられていった
    ・レースに参加することは、勝ち負けよりはむしろそういう共通項の有り様を確認するための儀式としての意味合いの方がより強いかもしれない。

  • 走ることについて語るときに僕の語ること
    (和書)2010年07月18日 14:41
    2007 文藝春秋 村上 春樹


    村上春樹さんが、ランニングを日課にしているのは何処かで読んだことがあって知っていましたが、その実態とはどんなものなのかということが書かれている。

    とても参考になった。

    最近ジョギングを開始して3週間あまりで、ヒザの古傷を痛めて休養中の我が身を省みても、励まされることが多かった。

    トライアスロンにも始めているというところは意外に思った。

  • 筆者の生きることに対する姿勢とか、小説の書き方とか、そういうものが走るということを通して伝わってくる本だった。これを読めば村上さんの人生哲学的みたいなところが結構わかるのでは?と感じた。本のあとがきでも、自分のメモワール的な小説であると書いていたが、本当にそんな感じ。
    好きなことをずっと続けるって素敵なことだな〜と思う。
    あと、ほんとうに文章が素敵!

  • 市民ランナー必読。著名な作家は実は月に250キロ以上走り毎年フルマラソンとトライアスロンに挑戦している。走るという行為について深く考察したエッセイ。

    走っている間に何を考えるか。自らが選んだ苦痛、逆にランナーズハイ的な所もあり、ランナーの思考はグルグルと回っていることだろう。どこか夢を見ているような。そんなことを感じさせる内容。

    筆者のアスリートとしての経歴は凄いの一言。あれだけ多くの著名な作品を書きながら走り続けている。そもそもの走るきっかけが作家としての体力維持だったという。作家であるためた走り続けるということなのだろう。

    市民ランナーの自分に大いに共感できる部分が多い。自己の肉体の限界を知るから謙虚になれる。

    筆者の文体の爽快さ、走ることもその要素の一つであろう。筆者の文を通すと苦しいこと多いランもトライアスロンもなぜか爽快感だけを感じるように思えてくる。負の部分が全く感じられない。

    だからこそ、本書を読むと元気が湧いてくる。
    寺山修司「書を捨てよ町に出よう」のタイトルのように、本書を読んで、すぐにでも走りたくなった。

  • 著者の文学作品はよくわからなかったけど人となりを知りたい、という方におすすめです。

    私自身、学生時代に「世界の終わり〜」「ねじまき〜」を読んでよく理解できず、今になって「羊をめぐる冒険」など共感をもって読むことができるようになりました。
    そのような中で作者を知ることで、作品にもちょっと身近になれると思います。
    ジョグ好きなら分かるところも多いですし。
    色んな方にオススメですよー。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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