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感想・レビュー・書評
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戦国の陣形が巷で言われているように画一的なものではないということを主張した本。
書かれていることはひどく全うだが、よくよく考えたら当たり前のことであるようにも思う。
関ケ原に関する考察はちょっと興味深かった。
それにしても、年月はどんどん過ぎていくのに文献研究が進んで新たな考察が生まれるものなんだなぁ。。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本史の陣形というより戦術の解説。
面白いが、大筋では言っていることは当たり前だが、細部は眉唾な感じ。
信玄の陣形とか、上杉の兵種別編成とかどこまで本当か?
川中島の戦いも霧の中の偶発戦説のほうが説得力があるし、関ヶ原の戦いはそこまで違えば、なぜ今の通説が伝わってきたのかと思う。
小説にしたほうがいい内容だが、読んで面白かったので星3つ。 -
意欲的な本。著者は日本中世史において研究者が不在のため、通説がまかり通っている軍事の部分に焦点をあて、実際の戦国時代における戦争の実態を、一次史料を元に説明しようと試みており、非常に興味深い。
ただ、致命的に知識が足りていない様子。一番まずいと感じたのは陣形がどうこうという題名の本で、武経七書の一つ『李衛公問対』の著者を李衛などと書いていること。これは腰が砕ける。また、李衛(正しくは衛公李靖だが)自身が書いた兵法書だと思っているフシがある辺りや、成立年代の取り方などにも慎重さを欠いている。軍事史を述べるのに、現代語訳本も刊行されている本に関する基礎知識が曖昧なのでは、この著者が引くその他の史料に関する検討も、果たして妥当なのか見当がつかなくなる。よく単著を出せたと感心する。 -
魚鱗! そんなものはない!
魚鱗と鶴翼で激突したと言う武田信玄と上杉謙信、諸葛孔明が考案したと言う八陣は実際にはいかなるものだったのか。軍団、武士、大名、それぞれの時代の軍隊の統制と集団戦法を再検討し、後世の創作推察を取り除いて、戦国における大規模戦闘を問い直す一作。個人的には室町の合戦の軍団が「一揆」と称されていたことが目から鱗でした。 -
戦国時代の陣形として鶴翼、魚鱗などがよく知られているが、実はこれらは江戸時代以降に作られた創作であったとは・・・
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戦国時代を扱ったドラマやゲームでは必須の陣形という概念。日本の戦争史を紐解いていくと、国内での戦いではあくまで概念としてあったのみで実際に使われた形跡がないということがわかります。様々な思惑を持った主人たちに率いられた部隊を、一つにまとめて運用するなど、どうやっても不可能。陣形や戦略は不可能。あったのは戦術。それは非常に有効で大きな影響を与えるものでした。中国からの輸入はたくさんありますが(条坊制しかり)そうそう当てはまらないものなのだなと面白く感じながら読ませていただきました。