小児症であるカミーユ・ヴェルーヴェン警部を主人公としたクライムサスペンス&ヒューマンドラマの三部作。
作者さん自身が、湧き上がる映像を文字に起こしているとだけあって、文字を通して、その場面場面が映像として伝わってくる。
まるで映画を観ている感覚。
そして、予想通りの展開だなと油断していると、ヒネリを効かせて、突然横殴りしてくる面白さ。
番外編も日本で出版して欲しいです。
第一部「悲しみのイレーヌ」
作中に『ブラックダリア』や『アメリカン・サイコ』など、そういったジャンルのものが多用されていて、グロ度も三部作中随一。
ネタバレ感100%の邦題(作家ご本人さんからタイトルに登場人物名をというリクエストだったらしい)で、確定された悲劇を予感しながら読み進めることになるのが、これまたもどかしく悲しくはらはらした。
そして、個人的にはこの作品のヒネリが一番好みだったかも。
第二部「その女 アレックス」
第一部と比較すると、グロ度はぐっと下がったが、悲惨さと凄惨さは変わらず。
今回もヒネリが効いていて、アレックスを巡る展開がスリリングで面白く、切ない。
映画化決定とか。凄く楽しみ。
第三部「傷だらけのカミーユ」
三部作の中では一番ヒネリが緩かったなぁという印象。
横殴りを感じられなかったというか。
というのも、今作はミステリーやサスペンスよりも、タイトルに名前があるように、カミーユ警部自身へのフォーカスが強くされていて、ヒューマンドラマの比重が大きかったからかもしれない。
ヒーローでも何でもない、生身の人間であるカミーユ警部がそこにいる。
翻弄され、打ちのめされた傷だらけのカミーユが。
もうこの作者さんはドSなのかというほど、彼を苛め抜いている。