セックスボランティア(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 知的・身体障碍者にも性欲はある。
    性欲はなくても子どもが欲しい人もいる。
    そうでなくてもセックスを通じて人のぬくもり、自分が生きている感覚を味わいたい人もいる。

    体が動かない。
    どうマスターベーションする。
    家族か介助者に手伝ってもらうのか。
    介助者だったらその手の団体か。
    支払いの有無は。
    助成金で支払うのか障碍者年金か。
    売春と変わらないのではないか。
    彼らの同性愛はどうか。

    著者がこの世界を知らない人と同じ目線に立って当事者にインタビューを行っている。
    「じゃあ、著者自身はどうなのさ」と思う読者の疑問に答えるように、著者の葛藤も随所に記されている。

    是非、いろいろな人に読んでもらいたい。



    むかーしむかし、ホームヘルパー2級を受講した。
    少しかじっただけで思った。

    「障碍者、介護の現場を安易に語れない」



    性の先進国オランダでのインタビュー内容を読んで、オランダは安楽死もすすんでいて、前にその関係を調べたことを思い出した。

    そして思いはフランクルに。

    我が家のフランクル本を探すと、テレビの横に平積みされていた。
    なぜか上には、中村天風がどっさり、頭山満の本も。
    下にはファーブル昆虫記やらドーキンスの利己的な遺伝子。「人と組織はなぜ変われないのか」「7つの習慣」がある。

    うーむ。整理せねばならぬ。

  • 米原万里の推薦本である。障がい者の男性の性について、自分で説明している本は読んだことがある。これは、男性、女性の両方の性についてであり、オランダの状況も書いている。やっと障碍者の去勢手術の憲法違反の判決が出たばかりなので、なかなかこれが受け止められることはまだしばらく時間がかかりそうである。
     しかし、障碍者についての卒論を書こうとしている学生にとっては避けて通れない話であろう。

  • その深読みを誘うタイトルから、背表紙をみただけだったりでは手に取らなかったであろう。それが奇しくもこの手に収まった理由は自分にとって珍しいジャンルであった書評集、米原万里氏による「打ちのめされるようなすごい本」がきっかけ。騙されたつもりで手にとった。

    読みきった後に米原氏のコメントを読み返してみた。

    「いつのまにか自身の性について考えさせられる。」

    それそれ、全くもって同意。騙される側の幸運というものがあるのならこういうのをいうのであろう。

    この書籍の筆者に対する評価だけでなく米原氏の的確な表現に対する評価も再度急上昇。ということはやはりこの書評集の索引を片手に本屋巡りをせねばならないということだ。これはもうペースを上げるしかないのか…。

  • (身体的·知的)障害者の性について実態を知るための良書。感動ポルノのような手つきや筆致は全くないので読みやすい。
    たしかに、障害者の性生活や性問題について考えた事がなかった、なので、ある意味そういった事実を取り扱う商売や団体の存在に私はとても安堵したのだった。そして、「対等に」「なんてことないように」「普通に」暮らしの一部、生活費獲得の為の当然の手段としてそれらに携わる人々が眩しくて仕方ない。優しさとは、相手を普通に、特別でなく取り扱うことこそ基本的な然るべき態度なのである……言うは易いが、それを軽業師のように成し遂げる人々がコレクションのように登場する。

  • 障害者と性について書いた本.

    知らない世界がつまっていた.

    世界の広さ,多様性を感じるにはいい本だと思う

  • 何だかんだ言って「障害者と性」を語る上で外せない名著だろう。

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著者プロフィール

河合 香織(かわい・かおり):1974年生まれ。ノンフィクション作家。2004年、障害者の性と愛の問題を取り上げた『セックスボランティア』が話題を呼ぶ。09年、『ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち』で小学館ノンフィクション大賞、19年に『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』で大宅壮一賞および新潮ドキュメント賞をW受賞。ほか著書に『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』『帰りたくない 少女沖縄連れ去り事件』(『誘拐逃避行――少女沖縄「連れ去り」事件』改題)、『絶望に効くブックカフェ』がある。

「2023年 『母は死ねない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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