敗者のゲーム〈原著第6版〉 (日本経済新聞出版) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • ・自身の資産、負債の目標を認識し、何が自分にとって成功かを確認する。
    ・優秀な機関投資家が多い中(それでも半数以上のファンドマネージャーはベンチマークに勝てない)で個人に勝ち目はなく、インデックスファンドこそが勝つためのもっとも簡単な方法だ。
    ・年に一度は運用目的、運用実績を検討し、修正する。

    上値を追うのではなく、市場が暴落したときに長期スタンスで投資することがローリスクハイリターンに繋がるという自身の感覚は、著者の鉄則から大きくずれていないようだ。

  • 市場環境の変化とか過去のデータを持ってきて、いかにアクティブ運用(個別に銘柄を選択すること)が難しくてコスパが悪いかを説明して、長期的に株式でインデックス投資することが個人投資家には良いと説いている。

    まあ銘柄を選択することも楽しいしそれで学べることもあると思うけど。何はともあれそもそもの投資する目的とかリスク許容度を自分で考えて、そこからベストな方法を決めるべきですね。それを考える上でとても興味深い内容だった。

  • - シンプルな教えだが、それだけに説得力がある。
    - ***
    - 本章で述べてきたように、「市場に勝つ」ことを目指して「敗者のゲーム」に参加すれば、負けはほぼ見えている。だからといって、悲観することはない。勝つ方法はある。長期投資の明確な目標設定に集中し、その目的を実現するために合理的かつ現実的な投資政策を選択したうえで、その政策を、自己規律を持って、忍耐強く、しっかり貫いていくことである。  これが、本書で伝えたいことのすべてである。
    - 過去109年間(3万9812日) で、ベスト 10 日を逃しただけで、この間の利益の3分の2を失うという(余談だが、 10 年間で最悪の 90 日を避けることができれば、 42・78 ドルの利益になる)。  長期的に見て投資家が失敗する原因の一つは、激しい下げ相場に遭遇してパニックに陥り、上記のような最大の上げ相場に参加する機会を自ら放棄してしまうことだ。
    - 投資家は長期の運用基本方針を策定したら文書ではっきり表現し、確認しておくべきである。最大の理由は、その場しのぎの方針変更からポートフォリオを守るためだ。短期的な市場危機により、方針への信頼が揺らぎそうな時、長期方針を貫き通すためである。
    - 住宅は金融的な意味で優良な投資対象とは言えない。しかし、家族の幸福のための投資としては意味がある。
    -  さて、年に一度、特定の日を(誕生日でも、元日でも)、あなたの「運用を考える日」として決め、1時間ぐらい静かに考えて、次のような質問に対する答えを文書で整理することをお勧めする(最初の計画策定の際は数時間を要するだろうが、その後は前年書いたものを見直すだけであり、1、2時間もあれば十分だろう。その「特定の日」の1週間ぐらい前に読み返しておけば、この1、2時間はもっと節約できるだろう)。これらの質問は、自分自身の目的を確認し、明文化するうえで役に立つと思う。
    - 引退後の生活を送るうえで、年金、社会保険以外に、どれぐらいの収入が必要か?
    - 引退後の生活期間を何年とおくか?(要するに、あと何年生きるかということ。医者と相談して両親、祖父母の寿命と平均余命とを勘案して、遺伝的に見た見通しを立てる。それに、あなた自身の健康意識、現代医学の発展等を考慮して適宜修正する)
    - どの程度の支出水準であれば、十分やっていけるか、また何とかやれそうか? ■引退後の生活の準備として、どの程度の資産を用意すれば十分か?
    - 自分自身と配偶者の医療・介護費用を、インフレ調整後ですべてカバーするには、どれだけ保険に加入すればよいか?
    - 家族の一人ひとり、その他特別な人に対する遺産として、どの程度を考えるべきか?
    - 社会への寄付を考えるとすれば、どの程度の資産が必要か?

  • 個人投資家はプロに勝つ必要はない。マーケットにする勝たなくても投資に成功することはできる。この一文こそが本質。巷の話以上のことが詰まってると思います。

  • 本書の要旨を極荒っぽくまとめるならば、『個別株投資(投信)はやめときなさい、負けるから』ということです。加えて『故に投資するならインデックス投資(市場平均)への投資がベスト』という結論です。

    なんなれば機関投資家(要はプロ)が市場参加者の95%をも占める昨今、世界のベスト&ブライテストが鎬を削る世界で(しかも彼らの多くが残業をも厭わない熱心なプレーヤー)、素人が勝てる見込みは極めて少ないということです。もちろんラッキーパンチはあり得ますが継続して勝ち続けることは不可能でしょう。機関投資家自身すら、割合の95%を占めるに至った自らに挑戦しても勝てないのです。自分自身に勝つべく挑戦している姿を筆者は揶揄して表現しています。

    となれば、市場平均に連動するインデックス投資こそが手数料も安く、リーズナブルな投資という事になります。

    もちろん、ウォーレン・バフェットはどうだとか言う人はあるでしょう。筆者もそうしたいわゆる『カリスマ投資家』を否定はしません。ただバフェットも不死身ではないし後継者が同じような『カリスマ』である可能性低かろうと思います。同様に他のカリスマを探すにしてもその手間たるや膨大。時間という貴重なリソースを割いてもそれでも見つかるかどうかはわかりません。そうした機会コストを考えればインデックス投資が最良との結論です。

    あれ筆者はヴァンガードに居た方でしょ?したらめっちゃポジショントーク(自社商品の売り込み)なんじゃない?という無粋は突っ込みはやめときます。
    「いや~絶対もうかりますよ、たぶん」などと支離滅裂なドブ板営業をしていた自らの証券マン時代を鑑みれば、筆者の主張は極々まともであると心から思います。

    その他幾つか興味を引くトピックがありました。
    例えば「過去の新聞を読め」というもの。1987年ブラックマンデー、2000年ITバブル、2008年リーマンショック等々(大恐慌以前にさかのぼっています)、崩壊前のバブルのユーフォリアは非常に似通っているそうです。

    それ以外に年一回の運用状況の見直しのススメ、債券(および債券ファンド)はインフレを回避できない、持株会は買うべきでない等々、よく言われる話ではありますが面白く読めました。

    ・・・
    投資に関する非常に面白い本でした。
    ヴァンガードのボーグル氏や本書のエリス氏の著作が相応に売れているにも関わらず、それでもなおレッド・オーシャンたる株式市場に飛び込む猛者が多く居るのはちょっと不思議なことです。人が不合理という事なのか、さもなくばマーケットというロマンに時間と金をつぎ込んでいるのか。よくわかりません・・・。ただ一種のゲーム?として個別株投資は面白いと個人的には感じており、わからなくはありません。

    本作、米国での経験をもとに書かれており、どれくらい日本の証券市場に当てはまるのかはわかりませんが、考え方については非常に有用でためになると思いました。

  • ★これから投資を始めたい人、既に投資をしている人にも読んでほしい本書

    機関投資家でない限りは本書の警告や理念はどなたにも通じるものがあります。
    自称投資家と自信を持った時こそ本書を読み直して気を引き締めていきたいものです。
    暴落はいつ起きるのかは誰にもわからない…

    ・平均への回帰を忘れるな!
    ・統計的な確率を無視するな!
    ・勝ちがずっと続くとは思うな!
    ・自分の当初の判断にこだわるな!それを正当する材料を探すな!!
    ・半ば思いつきで選んだデータを過信するな!
    ・自分の判断力を過信するな!!
    ・新しい情報に過剰反応するな!
    ・自分は他の投資家よりも多く知っていると過信するな!
    素人というの忘れずに投資に挑め!!

  • 市場平均への投資が株式の長期投資において最善であることを述べた内容。一時的に市場平均を大きく上回る個別株はたしかに存在するし、そういった形で大儲けした人は非常に目立ちやすいが、実際のところ数十年という長いスパンで見て利益を上げ続けることができる株を見つけるのは確率的、また組合せ爆発的な意味で不可能である。投資は本来的に自分のニーズを満たせるだけの資本増加を達成できればいいという本来の目的に立ち返り、自分の状況をよく整理してどれくらい資本が必要か洗い出した上で、それを達成しつつリスクを最小化できる選択をとるべきと述べる。株だけでなく資産形成を考える上での必読書と思う。

  • 投資本のベストcellar 米国だけで100万部売れているバイブル本。
    内容はオーソドックスなもの
    1、インデックスファンドを上回るリターンのアクテイブファンドは2割も無い。
     長期でレビューするとインデックスファンドの独り勝ち。市場平均で良しとすべし。
    2、バンガードと、TIAA-CREEFは非営利ベースの仕事をしている。
    何を買うべきかというHOW TO本では無いが、証券市場と証券投資の本質を整理した本。
    ファンドマネージャーへの言葉はきついが、優秀さは理解している。機関投資家向けの内容。

  • 個人投資家が市場に勝つのは難しいと何度も説くこの本を読み終わると、株取引アプリ「ロビンフッド」のニュースが流れた。
    アメリカのメディアは「個人がウォールストリートを打ち負かした」などと株式市場をめぐる異例の状況を伝えていますって。
    マネーゲームって身近なものになってきてるんだな。

  • 「ウォール街のランダム・ウォーカー」を読んだついでにおすすめされていたので読んでみた。

    投資においては負けないこと(=敗者にならないこと)が重要と言っている本。
    そしてゲームを引き分け以上に持ち込むのであれば、市場平均を追うインデックス投資が最適であると言っている。歴史的に見て市場平均はプラスの利益を生んでいることから、長期的に見れば儲かる。

  •  現代における、投資の在り方を著者「チャールズ・エリス」が教えてくれる。個人投資家が一番気にしなければならないのは、将来をどうしたいか?というところ。本書は投資の基本的考え方を教えてくれるが、具体的なものはそれほど教えてくれていないので注意。

     「敗者のゲーム」とは、失敗しないことで勝利を得る戦いかたのこと。テニスに例えると、自分のスーパープレーで勝つのが「勝者のゲーム」、相手のミスで勝つのが「敗者のゲーム」。
     現代の投資市場は、運用機関の数が多く、能力も高く、質の高いサービスを提供するので、市場はとても優秀である。なので優秀な市場に勝つのはそもそも難しい。そして勝ち続けるのは至難の技。なのでミスをしないこと=「敗者のゲーム」が大事。

     インデックス・ファンドに長期投資することで勝利を得られる。インデックス・ファンドとは、市場の平均を目指し運用する投資信託のこと。インデックス投資は過去10年間、投資全体の80%以上の成績を上げている。
     アクティブ・ファンドはずっと勝ち続けることはできない。なによりコストがかかり、利益が出てもコスト分損をする。短期的にものすごい利益を上げるかもしれないが、ものごとは平均への回帰が起こり結局コスト分損をすることになる。利益を上げるファンドを事前に見つけることは不可能で、できたとしても乗り換えにコストが発生し損する場合が多い。

     多くの個人投資家は株価が上がりきった所で購入し、下がりきったと所で売却する。投資の原理と逆のことをしている。こうならないために、ずっと持ち続けた方が利益が出る。理想的なトッププロを集めてドリームチームを作って運用しても、それは結局インデックス運用と同じこと。市場平均に勝つことがどれほど重要なのか?

     インデックス運用のメリット
     ・相対的に高いリターン
      長期的に見て、アクティブより成績が良い
     ・低コスト
      運用報酬、管理費用がアクティブより安い
     ・便利
      預けっぱなしでO.K
     ・精神的に優しい
      判断と選択をする必要がなく、市場に任せるだ

     ・重要なことに集中できる
      運用目的や方針といったことや、自分の時間に
    集中できる

     自分が一番勉強になったことは、投資をしてなにを成したいのか?も考えておく必要があること。人生の終盤で投資に成功していたとき、自分はどうするのか?今から考えておく。
     代表的な運用の目的は
     ・引退後の生活資金 ・愛するものへの遺産 
    ・社会へのお返し がある。

    ・引退後の生活資金
    (年金+α)×生きる年数=リタイア後に必要となる額
     年金+α:自分が送りたい生活水準の額(年単位)
     α×生きる年数:作りたい資産(投資や貯蓄)
    ・愛する者への遺産額を決める
     子供にはやりたいことができる額を残せば良い
    ・残りは慈善団体へ寄付する(社会へのお返し)
     自分の作った価値を使って、社会に貢献する

     自分は、もしできるならFIRE(Financial Independence and Retire Early:経済的独立かつ早期リタイア)をしたいと思っている。資産ができたら、マレーシアなど物価が安い所へ移住し、投資の配当で生活することを夢見ている。そこで、自分のやりたいことをやりたいままに行い、余生を過ごせた良いなと。そして、資産が残ったら慈善団体に全額寄付しようと思った。

  • ゆな

  • ウォール街のランダムウォーカーには劣る

  • なぜプロの投資家がインデックス投資に負けるのかを解説した本。これを読むと、株式のインデックス投資を淡々と買うしかないなと思わされる。債権はインフレを考慮するとダメ。

    投資家がインデックス投資に負けるのは、プロの投資家が増えすぎたせいだ。売買を行う90%以上がプロの機関投資家であるため、誰もが合理的でほぼ適切な判断を下す。だから最善手を打ち続けても大きく勝つのは困難である。しかしミスを犯せば大負けはたやすく起きる。勝敗は勝者ではなく敗者の行動で決まる。これが「敗者のゲーム」である。

    アクティブ運用でも中にはミスを犯さないことで、市場に勝ち続ける人もいるだろう。しかし俺は違う。プロの機関投資家の判断の総和である市場に勝てる気がしない。なので取るべき戦略は、株式のインデックス投資を淡々と買う一択なのである。

  • イェール大学のロジャー・イボットソン教授の研究によると、投資リターンの 90%以上は資産配分からもたらされ、銘柄選択やマーケット・タイミングの効果は副次的なもの

    これに従って10数年インデックス投資を続けています。おかげさまで現状はかなりの含み益を抱えています。今の所何かに使う予定はありませんが、何かあった時を見越して、利益確定させて税金取られることのないよう、バイアンドホールドを続けていきたいと思います。

    ずっと気になっていた信託報酬高による投信の切り替え要否は自分の中でようやく解決しました。少数第一位くらいの信託報酬の差であれば切り替えずに持ち続けた方が得をする、という結論です。よって、バイアンドホールドの正当性がより強化されたと思います。

  • インデックス投資家の「バイブル」といわれている本書。 やはりインデックス投資家によく読まれているマルキールの『 ウォール街のランダム・ウォーカー 』と比較すると、理論面およびデータや出典の扱いなどでやや雑な部分はありますが、全般的に投資の姿勢や行動規範に関する記述が大半を占めるので、そういう意味でもバイブルあるいは福音書といったところでしょうか。マルキール読んだのは20年くらい前なので、詳細についての記憶が不確かですが。ただ、思っていたよりインデックス推しの部分が控えめであり、資産運用にあたって最初に目的とリスク許容度を明確にし、ポートフォリオを決めた後はブレることなく愚直に計画通り進めることの重要性を強調しています。他にも個人的には、100-年齢だけEquityなどのリスク資産になどと一般的に言われるけれど、信託や寄付をも視野に入れ世代を越えたもっと長期的な視点で考えるべき点(もっと積極的に寄付や慈善を検討しよう)、また運用と意思決定との立場を峻別し運用機関任せにしないこと(勤務先で年金委員となっていて実際には大手コンサルを活用しているが、社内は私以外に発言者がいないのでチェックポイントとして参考になった)、などこれまであまり意識していなかった点について指摘がとても示唆深く、色々と考える機会になりました。インデックス投資だけでなく長期投資を志向している個人投資家や企業年金の運用を管理する立場の方には参考になる所は多いと思います。

  • 投資の入門書として素晴らしい一冊。
    プロの専門家を揃えた機関投資家が90%を占めるマーケットで個人投資家が市場平均の成長率以上の成果をあげる難しさ、アクティブ運用による売買手数料や管理費用、税金を考慮するとむしろ著しく成績が悪くなる証券会社が隠す事実を論理的、且つ実証的に羅列してありわかりやすかった。
    個人投資家にとって重要なのは、市場に勝とうとすることではなく長期的な投資目的を明確に定めて、短期の市場の上下に一喜一憂することなく投資方針を自律的に貫くこと。老後を見据えた超長期で投資する場合は債権よりも株式を推奨しており、その中でもインデックスファンドを強く推奨している。

    この本を読んで401Kのポートフォリオを組み替えました。笑

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著者プロフィール

1937年生まれ。イェール大学卒業後、ハーバード・ビジネス・スクールで最優秀のMBA、ニューヨーク大学でPh.D.取得。ロックフェラー基金、ドナルドソン・ラフキン・ジェンレットを経て、1972年グリニッジ・アソシエイツを設立。以後、30年にわたり代表パートナーとして、投資顧問会社や投資銀行などの経営・マーケティング戦略に関する調査、コンサルティングに腕を振るう。2001年6月代表パートナーを退任。現在、ホワイトヘッド財団理事長。この間、イェール大学財団基金投資委員会委員長、米国公認証券アナリスト協会会長、バンガード取締役などを歴任。『キャピタル』『チャールズ・エリスが選ぶ大投資家の名言』『イノベーターは死なず』『ゴールドマン・サックス(上・下)』『投資の大原則』(共著)など多数の著作がある。

「2022年 『敗者のゲーム[原著第8版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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