ゲンロンβ33 [Kindle]

  • 株式会社ゲンロン
0.00
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 9
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (110ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 東浩紀がTwitterで今回はいつもと違うスタイルで書いた新境地だと言っていて、値段も思想書とは思えぬ安さだったので迷わずポチった。

    思想を交えて紀行文を書けるのいいなと思った。

  • ポストモダンの哲学は「主体」「国家」「責任」を疑ったが、世の中変えられなかった、政治につかえなかった。それはかつては思弁的な問題だった。
    しかし今では国家や国民が単一でないことはあたりまえの現実として露呈し始めている。一般意志が刻一刻変化する不安定な時代に、なにかを「信じる」ことを見出せるのか。
    情報を与えることと、ひとになにかを信じさせることは違う。情報は意見を変えない。そう東浩紀は指摘する。
    個人の「エビデンス」が大量に残るようになった。それで一見ほんとうの過去が検証できるかに思えるが、さまざまな解釈がある以上過去はひとつに確定しない。過去の再解釈への欲望。これはアイデンティティ、主体が確定しないという問題でもある。
    この状況の打破のために、プラトンの対話篇を考える。ひととひとの会話にある剰余=誤配。ふまじめさ、笑い。
    國分功一郎は「ジャスティス(正義)/コレクトネス(正当性)」(デリダ)を提示する。コレクトネスは瞬間的に判断可能だが、ジャスティスはいつ実現されるかわからない。だから信じる必要がある。「信じる」とは現在の時間の外に出ることだ。
    SNSが世界を覆った現代では、瞬間的なリアクションが求められる、コレクトネスが求められる。
    時間を超えた主体や正義をどう立ち上げるか。


全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』など。

「2023年 『ゲンロン15』 で使われていた紹介文から引用しています。」

東浩紀の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×