- Amazon.co.jp ・電子書籍 (517ページ)
感想・レビュー・書評
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ブルーは たった14歳で殺人を犯してしまうのですが
周りの無責任な大人に反して
とても純な心を持つ 健気さがあります
ですから 罪を憎んでも
ブルーを憎めない
それは ブルーを追うことになる
2代の刑事にも伝わっています
戸籍がなければ 存在しない・・・
紙切れ一枚が大事なのか
目の前の人間は一体何なのか
考えさせられる 小説でした詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
平成30年間の文化・風俗を俯瞰しながら、児童虐待、子供の貧困、無戸籍児、モンスターペアレント、外国人の低賃金労働など、格差社会の生んだ闇をテーマとした作品。それだけに基調が重く、前半部分は結構読み進めるのがしんどかったけど、後半加速してくる。無戸籍児であるブルーへ語りかける文の語り手がずっと分からなかったけれど、最後に繋がった時に視点の在り処が分かって霧が晴れる。平成を生きたブルーが残したものが、令和の先にも生きづいていることで、その生に意味を与えている点が救い。
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固有名詞付きで平成を書き上げているのが何よりの特徴と言える。貧困等のテーマと共に時代が自分の記憶として紡がれる感覚は新しいものだった。
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もっと長編で読みたかった。
登場人物一人一人で一冊になるのでは? -
無戸籍児として生まれた少年・青(ブルー)の平成元年から終わりまでの半生を、複数の視点人物から語り起こすクライムノベル。
援助交際や貧困ビジネス、不法就労者など、平成のトピックになった社会問題を交えて綴られるが、特にSNSを介した児童ポルノの描写がキツかった。ネット隠語やオプションなど、実際そうやって出回ってるんだろうなと思わせるリアルさがある。
青は殺人者だが、彼がいたこと救われた人間も少なからず存在する。そして彼の人生は悲惨だが、ただ悲惨なだけの物語で終わらせたくない。英語のブルーは憂鬱も表すが、青の人生には確かに美しい瞬間も存在したのだから。
たとえばどこまでも青く透き通る運命の湖の写真、たとえばベランダから見上げた花火。
後にそれが本人を苦しめる罰となっても、彼が愛し、彼を愛する人間との安らぎの時間があったなら、私はそれを否定したくない。彼の物語を「ひどい」の一言で片付けてしまうのは哀しすぎるから。
ブルーは確かに人殺しだが、終盤ある人物へあてた魂の謝罪には涙がこみ上げてきた。
母親でも誰でもなく、あの人物へ真っ先に詫びたことこそ、彼が本来は純粋な人物であり、真から贖罪の気持ちを持っていた事実を示してやるせない。
親と子。斥力と引力。ちゃんと手放すということ。
成人した子供の無心を拒みきれず金を渡し続ける老親もいれば、故郷の子供を想い虐待を見過ごすのを是としなかったベトナム人女性もいる。
親子のかたちは様々だが、子どもを束縛し利用する親の醜悪さや矮小さが描かれる中、ちゃんと手放す勇気を持てたことはもっと評価されていいはずだ。
作中たびたび流行歌の歌詞が挿入されるのだが、白けるか否かは好みによるところ。 -
平成が始まった日に生まれ平成が終わる日に逝った、ブルーと呼ばれた男をめぐる物語。平成という時代の様々な事象を織り込みながら、息も吐かせぬ速度で紡がれる物語は、果てしなく哀しい。ジャンルの壁を軽々と飛び越え、平和でありながら実はとてつもなく歪んでいた社会の実像を読者に突きつける。描かれる社会風俗は下手をすれば単なる懐古趣味で終わってしまいそうだが、この作者の力量は巧みに物語と融合させ空気感すら思い出させる。すごい小説だ。