上級国民/下級国民(小学館新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 最初に無理ゲー社会を読んでしまったので、内容はかなりの部分重なっていて、どちらかを買うとしたら無理ゲー社会の方でよいと思う。書いている中身としては概ね了解できる。

  • ざっと以下な感じですねー。

    知識社会に適応できる人とできない人との間で分断が起きている。これは先進国全般で見られる現象である。分断は収入、価値観など多岐にわたる。
    特に厳しいのは、モテない男問題である。男は競争に勝った人のみ、モテる事ができる。

  • 3つの小論をまとめた本という感じ。それぞれが独立した論文なので、自分の関心の高低で響くところとそうでないところが明確にありました。

    まず1つめの破壊力が凄い。私は団塊ジュニアで就職氷河期の世代。友人に学校教員がいますが、同期がほとんどおらず、中間管理職的なポジションが全部のしかかってくると言っていたのを思い出しました。

    以下1つめのメモ。

    日本の雇用システムでは、一旦正社員として採用されると解雇が出来ず、運命共同体となり、一種の蛸壺化する。その中で経済危機が起こると、採用を止めるために若者の雇用が犠牲になる。日本が失われた20年で経済成長出来なかったのは、人件費を抑えるために海外進出し、生産性の高かった工場も閉鎖していくことで、国内の生産性が下がった上に、国内の非正規の若者が増えたり、サービス業への移行が起こったりした事で国内の市場が縮小した。2000年前後のパラサイトシングルやニートは「働かない若者」として問題視・批判されていたが、団塊の世代の既得権益を維持するための犠牲者だ。しかし社会的に関心を持たれず、手も差し伸べられずに自己責任とされ、一方で正規と非正規は差別される。学歴や性別で排除し中高年(社会の正規メンバー)の既得権を保護する。

    最近の働き方改革は、団塊の世代が完全に労働市場から撤退したことから可能になった。今後の20年は既得権のある老人を守る為に、医療や介護の改革は今後難しくなり、財政的に貧しさに耐える20年になるだろうと。自分も雇用する立場の人間だから、もっと若者に目を向けようと思います。

    2つめのモテ非モテの論考は、先日読んだ進化心理学の話で既に腑に落ちていましたが、アンダークラスの若者のコメントがちょっと衝撃的でした。専業主婦思考、ガテン系男性思考がアンダークラスの若い女性にあるのだと。また男性も学歴がないこともあり、失業率が高いのだと。

    3つめの論考である世界でのリベラル保守との分断の話については、じゃあどうするどうすべき?が見えなくてただモヤッとした。多分私と筆者の立場が違うからだと思うけど…。

  • ◆批判するのではなく事実を知り行動する事こそが重要!

    池袋の悲惨な事故の件から始まる著書。
    噂が噂を呼び・・・な状況ですが事実として上級国民特権はあるでしょう。
    人間なので「すべては平等」は夢物語にすぎませんが悲しい現実です。
    本書を読んで悲観して終わるのか、事実を知った事で行動を起こすのかはアナタ次第!

  • 本書では、知識社会化・リベラル化・グローバル化という3つのトレンドが、日本あるいは世界各国の社会にもたらした影響について論じている。刺激的なタイトルもそうだが、橘玲さんの著書らしく「身も蓋ない」内容だった。橘玲さんのブログによると、『無理ゲー社会』と『裏道を行け ディストピア世界をHACKする』と合わせて3部作らしいので、こちらも読んでみたいと思う。

  • ●格差が生まれ、固定化するメカニズムを「上級国民」「下級国民」という言葉を使用してうまく説明されている。
     学歴があってもなくても社会に参画でき、中流階級になっていた高度経済成長期と異なり、成熟期にあたっては学歴、育った環境が格差を生み、固定化するのはよく分かる。さらに自由を尊重する社会風潮も「自己責任」の概念を生み、格差分断に寄与している。
     これが先進国共通の傾向であることが興味深い。またこうした「下層」(これまでは中流であった)中からポピュリズムが生み出されていることもよく分かった。

  • とても面白い。

    P112 男と女では「モテ」の仕組が違う
    若い女性の「エロス資本」
    経済学では働いてお金を稼ぐことを「人的資本(ヒューマンキャピタル)」で説明します。「金融資本」を金融市場に投資して、株や・・・で利益を得ようとするのと同様に、私たちは人的資本を労働市場に投資して(働くことで)富を得ているのです。~若い女性は大きな「エロス資本(エロティック・キャピタル)」を持っており、それを資本市場でマネタイズしているのだと考えました。ところが性に対して抑圧的な西欧の文化はこのことを認めず、希少な「エロス」を男に対して無料で提供するよう女性に教養しまう。世の中には「エロス」以外の資本をほとんど持っていない若い女性が(かなりたくさん)いますが、売春などの風俗を非合法にして「エロス資本」の活用を禁じることは「搾取」以外のなにものでもなく、売春に反対する一部のフェミニストは「男性支配」を擁護しているのと同じ。

    P122 男の性淘汰では、「持てるもの」になることと、女性に「モテる」ことが一致します。「持たざるもの」は「モテない男」でもあるのです。
    私の考えでは「男同士の友情」が若いといにしか成立しないのは、集団を防衛し、ほかの集団をたたきつぶすための進化の適応です。

    P132 ビジネスで成功できない「持たざるもの=下級国民」は会社共同体から排除され、さらには性愛からも排除されてしまう

    P231誰もが働く必要がなくなれば、思春期の若者から壮年、あるいは高齢者まで、人生の興味・関心は性愛(男はセックス、女は恋愛)に集中するようになるに違いありません。リベラルな理想社会は誰が自己実現できる自由な社会でうすから、そこは究極の「自由恋愛」の世界になるでしょう。
     もはや誰も結婚せず、家庭をつくろうとも思わない「自由恋愛世界」では、一夫一婦のしばりは意味を失います。そうなれば、少数の魅力的な男が多数の魅力的な女を独占するようになります。なぜなら、それが「人間の本性」だから。これはまさに、インセル(非モテ)が恐れるディストピアそのものです。
    「経済格差」がなくなれば、その根底にある「性愛の格差」がよりはっきりと姿を現すことになるでしょう。それはおそらく、いまよりももっとグロテスクに「分断」された社会にちがいありません。

  • 少し前に話題になった本で、中古書店で安く売られていたので読んでみた。

    内容は人間社会の分断を分析したものであり、現在起こっている事件や言論の背景を垣間見れた気がしている。
    本書を読む上で、基礎的なデータの背景や知識を知らなかったので、議論の進展に果たしてその見方でよいのか疑問に思う箇所があった。データを作者の主観で判断されているような気がしたのだ。そのあたりは本書を参考に勉強してみてもう一度判断した方がいいのかもしれないと思っている。
    人類全員が明るい未来を描けるわけではない中で、社会をどのように変えていくのがいいのか考えていく必要があると思った。

  • 今後、格差社会がますます進行して、上級国民と下級国民に分かれることを説いた一冊。

    内容は多くがうなずけるものだった。

  • ■日本の労働者が生み出す1人当たりの利益は約879万円で、アメリカ(約1329万円)のたった66%しかなく、主要先進7ヵ国では1970年以降最下位。日本が貧乏な国になっている理由は、「他国に比べて生産性が低いから」で説明できてしまう。
    ■平成の日本の労働市場は、若者(とりわけ男性)の雇用を破壊することで中高年(団塊の世代)の雇用が守られた。
    ■一度人を雇ったら辞めさせられない、正社員だけが過剰に保護されることで労働市場の流動性がなくなる、などにより外資系企業は日本の市場に魅力を感じず、生産性の高い大企業は海外に出ていってしまった。
    ■「働き方改革」は、団塊の世代が現役を引退したことで初めて可能になった。
    ■教育の本質は「上級/下級」に社会を分断する「格差拡大装置」である。
    →教育の格差によって環境・付き合う人が変わり、それによってつるみの法則が生まれるため、下級は下級へ、上級は上級へ。

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著者プロフィール

2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)、『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』(以上ダイヤモンド社)『「言ってはいけない? --残酷すぎる真実』(新潮新書)などがある。メルマガ『世の中の仕組みと人生のデザイン』配信など精力的に活動の場を広げている。

「2023年 『シンプルで合理的な人生設計』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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