フロリクス8から来た友人 (ハヤカワ文庫SF) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 訳者あとがきにあるように、「時は二十二世紀。世界は、おそろしく高い知能を有数る六千人の〈新人〉(New Men)と、テレパシー、未来予知などの超能力を持つ四千人の〈異人〉(Unusuals)に支配され、六十億の60億の〈旧人〉(Old Men)は政策決定から排除されていた」。

    (少なくとも旧人にとっては)この閉鎖的な体制を打破するためには、もはや外部の力を借りるしかなく、それゆえ一人の反逆者が人間を凌駕する生命力と技術力を有する異星人を連れて地球へと帰還します。

    ・・・と、ここまでの内容を知って、「あのディックの作品だし面白そう」と思い購入しました。そして読後の感想は、可もなく不可もない★★★。

    「可」とするのは、まさに冒頭で述べた設定が面白そうだからです。地球人 vs 異星人という大きな物語だけではなく、地球人 vs 地球人(あるいは公人 vs 私人)という小さな物語も用意されていることに惹かれました。

    そして「不可」とするのは、まさにこの惹かれた物語が、実際は小さなというより大きな物語になっているからです。反逆者と異星人についてはあまり描かれず、ほとんどが(旧人 vs 新人であろうと、新人 vs 異人であろうと)人間同士の緊張感の欠いたいがみ合いであったり、中心人物の中年男性と十六歳の少女とのドラマ性の欠いたもつれ合いであったり・・・。

    ディック自身もあまり気に入っている作品ではないらしく、それもなるほど肯けます。完全なアタリとも、完全なハズレとも言えないですが、かといって「普通に面白い」とも言いない作品です。言うなれば、曰く言い難し。

  • イマイチだな‥と思いながらも結局読み切ってしまった。

    普通の人間(旧人)を、一握りの天才である新人と特殊能力を持つ異人が支配する世界で、旧人の希望は華々しく地球を離れて冒険の旅に出たプロヴォーニがいつか外宇宙から連れ帰る宇宙人によってその権力構造が破壊されること。
    ディックにありがちな中年の主人公と退屈な妻、激しくて中性的なファムファタール。なぜ主人公35歳とチャーリー(シャーロット、16歳‥)さしたるきっかけもなくひかれあっているのか全く分からない。フロリクスからブロブォーニが連れ帰ったゲル状の宇宙人が、最終的になぜ新人の知能を退行させ、異人の特殊能力のみを奪うことにしたのかもわからない。てか万能みたいに描かれている新人の最高峰の人の予想が外れまくるのも不自然だし、人工的にテレパスに近いことを発明しつつあるのに紙の禁書でプロヴォーニの代弁者の言説を広げたレジスタンス活動をしてるのも意味不明だし。設定に無理がありすぎる

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