トマス・アクィナス『神学大全』 (講談社学術文庫) [Kindle]

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  •  この本は『神学大全』のエッセンスをトマスのものの見方にこだわって凝縮して伝えられている。

    ”人間本性を原動力とする知的探求は、人間知性が、知りたいという本性的な欲求を完全に満たしてくれるような対象と出会うところまでおし進められなければならないのであって、そのような対象が「万人が神と呼ぶ」存在にほかならない。”

    そして「すなわち神が人間の究極目的である幸福にほかならない」という。
    うーん。思っていた一神教と違うかもと思っていたら、なんか親鸞聖人のものの見方とにているのだよね。「神についての認識は否定を通じてのみ可能である」とか「三身一体というの一は、多の否定としての一である」とかね。空とか不一不二を想起するのだ。近い、近いぞ。トマスがすごく深い思考、突き詰めた思考をしているのだなということを感じる。時や場所が違っても、人間が行うことは近いのだろうか。
    正直に言うと、法(ルールの意)が出てきた後半の所は読んではいるけど理解が出来ていると思っていない。自分が理解した以上の難しいことをいっているということはわかる。
    本当に興味を持ったら原典に当たりたくなるというような解説本だと思う。道元、親鸞に近いものがあると著者の方も書いていらっしゃるのでやっぱり!という感じ。

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著者プロフィール

稲垣良典(いながき・りょうすけ)
一九二八年生まれ。中世哲学。東京大学文学部哲学科卒業。アメリカ・カトリック大学大学院(哲学)M.A.、Ph.D取得。ハーバード大学法学部研究員。南山大学、九州大学、福岡女学院大学、長崎純心大学大学院教授などを歴任。著書『現代カトリシズムの思想』(岩波新書、一九七一年)、『トマス・アクィナス「神学大全」』(講談社選書メチエ、二〇〇九年)、『カトリック入門』(ちくま新書、二〇一六年)、『トマス・アクィナス哲学の研究』(創文社、一九七〇年)、『習慣の哲学』(創文社、一九八一年)、『抽象と直観』(創文社、一九九〇年)、『神学的言語の研究』(創文社、二〇〇〇年)、『人格〈ペルソナ〉の研究』(創文社、二〇一〇年)、トマス・アクィナス『神学大全』翻訳(創文社、一九七七~二〇一二年)で毎日出版文化省受賞、『トマス・アクィナスの神学』(創文社、二〇一三年)、『トマス・アクィナス「存在(エッセ)」の形而上学』(春秋社、二〇一三年)で和辻哲郎文化賞受賞。

「2017年 『nyx 第4号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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