- Amazon.co.jp ・電子書籍 (418ページ)
感想・レビュー・書評
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都知事選の前のこのタイミングでの出版に感謝したい。小池百合子の虚偽に満ちた人生を描く戦慄のノンフィクション。
本書に書いてあることを信じていいか、それとも小池百合子の発言を信じて良いか、考えてしまう複雑な読後感。サイコパスと言う言葉を考えてしまう。
過去の経歴だけでなく、都知事なってからの行動を検証するだけでも本書は有意義に思える。都知事としての公約、全く果たしていないまま再度の立候補。豊洲の問題も騒ぐだけ騒いで結局なんだったのだろう。コロナ対策で表に出て露出する戦略。再戦は間違いないだろうが都民は良く考えた方がよい。
希望の党の騒ぎ。思えば自分が小池百合子に不信感を持ったのはあの頃からだった。
都知事に対して感じていた違和感の正体を見事に解明してくれた一冊でした。
ノンフィクション作品を書く、事実を明かす明かすという作業、何という業なのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
おもしろい。今年1番のノンフィクション。今後総理を狙っているので、都民だけでなく日本国民みんなが読むべきかなと思いました。三年半かけたと書いてあったので、このタイミングでの発刊は狙いに狙ったものだったのでしょうね。都知事選に入るこのタイミングで読まないといけないね。
この本読んで、小池さんに対して抱いていた違和感や印象のモヤモヤがかなりにクリアになった。ここに書かれていることが本当であれば、何と空虚な自我の塊なのだろうか。幼少期の生育環境からのカイロ留学、そして帰国後の寄生、全てが中身がなく、権力欲と自己満足に囚われた物語なんだろうかと鬱々としてしまった。
笑ってない目、一貫性のない政治スタンス、能力に見合わない地位、学歴詐称疑惑からのカイロ大学からの応答すべてが理解できた。
しかし、一点納得いかないのがタイトル。「女帝 小池百合子」ではなく「虚構の女帝」とかのほうが内容をよく表しているのでは?
本書の内容を小池百合子氏のファンであった11歳の娘に話したが、意外とすんなり受け止めましたね。 -
非常に面白くあっという間に読み切った。都知事選の前に是非とも一読すべき本である。PRに長けた女版ショーンKで学歴も嘘の可能性が高いとこれを読んで感じた。
褒め殺しまでしてとりわけ自民党の中でも田中の流れをくむ経世会を罵倒してきた彼女の過去とあまりにも矛盾していた。自分を成果に導いたのは田中角栄田中の気づいた金権政治への嫌悪から正解に入り自ら改革したいと思ったんだと語ってきたのは小池であり小沢その田中の秘蔵っ子だ。
小池がクールビズに夢中になっていたまさに2005年6月大変な公害問題が持ち上がる。大手機器メーカー久保田の尼崎にあった旧神崎工場の従業員や周辺住民が次々と中皮腫や肺がんでなくなっていることが発覚。工場が使っていたアスベストが原因であると毎日新聞が報じクボタも事実を認めて謝罪した。
市場と権力「改革」に取り付かれた経済学者の肖像の中には竹中の生い立ちや経歴が詳しく書かれている。竹中は1951年生まれ。小池とは同世代である。出身は和歌山間で履物店を営む父が夜遅くまで働く後ろ姿を見て育ったと言う。決して裕福な環境にはなかったが一橋大学経済学部に進学彼もまた英語の習得に熱中し、アメリカに留学したいと強く願い夢を叶えた。激しい野心と上昇志向を持ち、年上の有力者の懐に飛び込む。論文には到着の噂がつきまとう。彼もまた小池同様学歴、留学経験、英語力を武器にして雲の糸を必死でつかみ、登っていた人である。正解では小泉総理、財界ではオリックス会長の宮内義彦から信任を得た点も両者に共通する。
アーリントン国立墓地を表敬訪問。ここを訪問する各国の要人は記念に収めるギフトを事前に送る慣習があり、小池が事前に送ったギフトも既に陳列されていた。通常は自国の工芸品などを送るが、彼女は自分が餌付けした茶碗をギフトにした。自らアラビア語で平和を意味する文字を餌付けした逸品である。日本国ではなく、あくまでも自分を堅持したかったのであろう。
両面コピーの推奨、自衛隊ブランドのエコバックのデザイン、大人専用車のハイブリットカーへの切り替え、記者会見時のバックスクリーンの発注といった小さな業績と大きな困難を残して小池は防衛大臣わずか55日で投げ出した。安倍は政権をいたずらに書き乱して去った小池を深く恨んだ。
小池都政は情報公開を都政改革の1丁目1番地と言いながら特別秘書の給与や待遇が何なのかと批判されようやく都議選後に公開する。それにより野田に都税から支払れる年収は1千4百万円。運転手付きの公用車まで与えられていることがわかった。この給与額は都庁では局長クラスに匹敵する。小池は自分の知事給与を半額にすると公約し、確かに実行した。だが一方で彼の給料は都税から支払われるべきではないだろう。
産経新聞は小池の就任後、一貫して好意的な報道が目立つ。その傾向は同系列のフジテレビにも見られる。もともと都庁との関係が深いと言われ、お台場周辺の土地を抑えているフジテレビは都によるお台場でのIR (統合型リゾート)事業の推進を期待しているため小池に配慮しているのではないかと噂されている。 -
この本の多くは小池が語った言葉、小池の「物語」でできている。そしてこのレビューはその言葉を切り取ったものだ。
小池はカイロ・アメリカン大学で勉強し、「三週間で新聞が読めるようになった」「小説が読めるようになった」
「英語やフランス語と違って、アラビア語をやっている人は少ないから、アラビア語を学んで通訳になりたい」
テストではカンニングしてもアラビア文字が書けないので引き写すことができなかった
「ちょっと自慢になりますが、カイロ大学では、主席で卒業したんです。で、帰国のために乗るはずだった飛行機が、都合が悪くてキャンセルしたら墜落しちゃったんです。同じようなことが、もう一度ありました。わたしって、本当に強運なんです」
小池はアラビア語学校に一、二回通うとスクールを辞め、そこで中級コースに通う山本と出会って2か月で結婚を決めた。だが結婚生活は長続きしなかった。留学生の中ではアラビア語がうまいと言われた山本もカイロ大学の授業についていくには充分ではなかったようだ。
小池のアラビアでの生活はガイドのバイトや駐在員との社交が中心であった。73年2月に父親についてリビアに行くエピソードが出てくるが後にこう語っている。
「私は中東にいて、国際政治の冷徹さや二枚舌外交、また領土に対する認識の強さを現実に見て学びました。最も肌で感じたのは、たしか七三年の五月、商社マンの通訳としてトリポリに行った時のことです。 リビア石油公社との交渉だったのですが、結論は出なかったので、乗る予定だった飛行機をキャンセルして一日滞在を延ばしたんです。飛行機は地中海の上を通ってシナイ半島のところで南下し、最後は北上してカイロ空港に到着する予定だったのですが、その途中で、イスラエルの上空を侵犯したとして戦闘機に撃ち落とされました。 あの時に、背筋が凍るとはこういうことだと実感しましたね。領空、領土、領海は主権そのものです。『一歩足りとも自分たちの領土には踏み入れさせない』という意識を、身をもって学んだんです。
小池と同居する早川さんの当時の手紙にはこうある「リビアでお父様に結婚を許してもらったと百合子さん、とても幸せそうでした」
小池は自著他で結婚の理由を、「第四次中東戦争が始まって心細かったから」と、何度となく語っている。飛行機事故の命拾いではない。また、政界転身の際にはテレビ東京に対しこう告げたと語っている「小池は飛行機事故で死んだものと思ってください」
戦争が始まったのは10月、小池がカイロ大学に編入する時期で小池は「私は戦争を体験した」カイロ大学では「入学式は匍匐前進だった」と後々語っている。
後にWBSのキャスターをやっていたので経済がわかると言うのも同じでいずれも小池が作る「物語」だ。「私は1971年から5年間、中東にいた経験がある。その間、通訳や取材者として、数多くのアラブの政治家たちに会った。」
信じる方がどうかしている「物語」だが、大学が公式に認めた以上カイロ大学は卒業したということなのだろう。ただ選挙活動での嘘はそれでは済まない。二十歳の留学生を商談の通訳に雇う商社などない。観光ガイドはできても政治家の取材に使うこともない。そこにいるだけではアラブ通にも外交通にもなりはしない。
「私が権力者のところに渡るのではなく、私のサポートでその人が権力者になるんです」
子供の頃の小池は先生の受けはよかった。同級生は目立たない、英語はペラペラでしたと語るだけで悪い評判はない。だが、留学以降の小池は自分の語る物語のイメージを武器に次々と庇護者を使い捨ててのし上がっていく。人脈を作るための努力は欠かさなかった。
「キャスター時代の頃です。私はある男性と約一年間お付き合いをしていました。その方はとてもステキで、前向きの生き方をしている人でした。いつものように会ってデート。その時も『また電話するよ』と言って、普段と変わらない感じで、別れたんです。」
その後お互いに批判を繰り返すことになる舛添要一のことだ。
「あまりに細川さんが頼りなく見えたので、自分が助けてあげるしかないと思った」「私は、細川さんの役割は、もう終わった、と思っているんです(中略)『僕ちゃん、偉いんだもんね』をもう一度証明したいという自我だけなら、私が支える必要はない。」総理の座だけでなく、日本新党代表の座も降りるべきだ、と声高に主張したのが、他ならぬ小池だった。
「新生党に懐疑的です。かつては自民党の中枢にいた人たちの集団で、その清算はまだ終わっていません」「小沢さんを私が悪役からヒーローにして見せます」『小沢さん、自民党とは別れましょうよ、私たちだけで小さくてもやっていきましょう』『自由党から比例で当選者が出ると思ってるんですか』
「自民党を外から壊すのではなく、内から壊すほうが早いと思った。小泉総理が自民党をぶっ壊すと言っている。小泉総理でなければ自民党には入らなかった」「東京でアベノミクスをより強く実践するために都知事になりたい」「東京から日本を変えるほうが改革の早道」「思うような都政をするには、国政を変える必要がある」
小池百合子の本質が伺えるのはむしろ自分より下とみなしたものの前でだ。
「もうマニキュア、塗り終わったから帰ってくれます?私、選挙区変わったし」阪神淡路大震災被災者の陳情に対して
「あった-、私のバッグ。拉致されたかと思った。」拉致被害者家族会見会場にて
「イケメンの自衛官を15人集めて頂戴」防衛大臣就任時のPR写真
「辺野古はジュゴンの北岸と言われておりますが、その北限も、地球温暖化の影響で上がってきております」環境大臣としての答弁
「ほかの候補も改革というが、中身が違う、覚悟が違う、ジャンヌ・ダルクは最後は火あぶりになるが、それでも結構でーす!」総裁選立候補そして「ジャンヌ・ダルクはね、火あぶりになるからイヤ」築地の小池を応援する仲卸の女性に対して
そして、希望の党と民進党の合流の時にこれが出た。『排除されない』、ということはございませんで、排除します。
おそらく小池百合子には政策に対する思い入れはないのだろう。「政治こそマーケティングであります」「国民の皆様の共感を呼び起こし、大義を達成する」と言うのは何を言えば受けるかでしかない。
東京大改革の7つのゼロはほとんど達成されていない。そしてコロナ下の東京で小池百合子は新しい「物語」を語るのだろう。 -
面白かった!
読みどきは確実に今。この本を読み終わってからの都知事選は、コミック最新刊の続きが連載誌面で読めるみたいな。
うそを重ねることになんの戸惑いもなく、注目を集めるためだけに派手に動き、結果を求められる前に次々と新しい話題を提供して人々の目をそらしていく上手さ。
権力を持つ男を利用してのし上がり、用済みになればどんどん捨てる。
軽やかにうそをつき、空恐ろしく立ち回る様子は、まるでブラックジョーク。
政治家のノンフィクションを読んでいる感覚ではなかった。映画一本見た感じ。
面白かった!…だけど、東京都民としてはとてもしんどい。 -
2020年6月
平気で嘘をつく。権力者に媚びてとりいり、利用価値がなくなったとみれば掌を返す。なりふり構わずのし上がっていこうとする若かりし頃の小池百合子の姿は、痛快にさえ感じる。
しかし本の中盤、こと彼女が大臣になってからは、彼女から救済されない社会問題の被害者の悲痛な声に目がいく。自分の利益のために嘘をつき他人を利用するという手法は若い頃と変わらないけれど、かつてとは影響力が違いすぎる。
この本は小池百合子を告発するものである。評論ではない。著者の執念を感じる。 -
小池百合子氏が特別なのか、それとも政治家とはこういう生き物なのか。私たち有権者は、派手なパフォーマンスに流されて見る目がないのか。都知事選前に考えるきっかけになりました。前回選挙の公約だった「7つのゼロ」も忘れていたし、政治家が何を成し遂げたかをちゃんと見てないとダメだと思いました。
小池氏のドキュメントではありますが、ここ数十年の重大な出来事がたくさん出てきて、興味深かったです。それだけ彼女が目立つ場所に居続けているということなのでしょう。 -
同情からはじまって、途中都民として怒りも感じたけれど、やはり可哀想なひとだとおもった。父の亡霊に解き放たれるときがくるとよいですね