スマホ脳(新潮新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 人類の脳の進化を紐解き、スマホ生活がメンタルに与える悪影響を説得力を持って論じた書。

    IT社会が進展する中で、人類は今後どう進化(変質)していくのだろうか、という以前からずっと疑問に思っていたことにヒントを与えてくれる書だった。

    著者によれば、「人間にはすぐ気が散るという自然な衝動があり、スマホはまさにそこをハッキングした」。解決策は、「睡眠を優先し、身体をよく動かし、社会的な関係を作り、適度なストレスに自分をさらし、スマホの使用を制限すること」だという。メンタルを健康を保つ秘訣は運動だな。メンタルが弱ってしまった友人にも勧めてみたい。

    「不安や強いストレスで気分が悪くなるのは、胃を空にすることで速く走って逃げよう、あるいは闘おうとするからだ」、「強いストレスを感じるということはつまり、危険がそこら中にある。脳はそう解釈する。…脳は私たちの「気分」を使って、危険いっぱいの環境から私たちを遠ざけようとする。ひどく気分を落ち込ませることで、引きこもらせるのだ」など、ストレス症状の解説がとても面白かった。

  • 急速かつ大きく生活に浸透したスマホが、人間の脳にどんな影響を与えるのかをスウェーデンの精神科医が論じた本。結論から言うとスマホの進化が調査スピードより早すぎて、今スマホが与える影響が分かるのは数年後だが、既に世界中で増えている鬱患者や無気力な人の増加に影響がないとは全く言えない。スマホの脳への悪影響から自衛するには睡眠、運動、他者との関わりが大切。

    ・全ての生命の基本ルールは、生き延びて遺伝子を残すこと。人類の感情も生存戦略。(ネガティブな感情は危険を察知しやすいため、など)

    ・脳は新しいものが好き。
    周囲をよく知ることで生存可能性が高まるため。

    ・脳は「かもしれない」が好き。
    期待するとドーパミンが放出される。

    ・ITトップは子供にスマホを与えない!
    スティーブ・ジョブスの子供はipadの使用時間を厳しく制限されていた。ビルゲイツは子供が14歳になるまでスマホを持たせなかった。facebookのいいね機能の開発者は、スマホの依存性はヘロインに匹敵するという。

    ・人間は一度に一つのことにしか集中できない。切り替えには何分も時間がかかる。だからマルチタスクは向かない。
    常にデジタルな邪魔が入る状態なため、デジタル機器を触っていない時でも集中力が落ちている。

    ・人間が密な関係を築ける人数は約150人。これは狩猟採集民だった頃の集団の人数。

    ・自動化や人工知能の普及で消える職業は多いが、人間に残される仕事はおそらく集中力を要するもの。しかしデジタル社会で最も必要とされる集中力が、デジタル社会で奪われてもいる。

  •  ゲームにハマってしまって1日中スマホを見ている。習慣にしていた読書や運動もゲームの時間にあて、睡眠時間も1時間ぐらい削られている。これはまずいと思って購入した。

     この本では、スマホが人間にどういった影響を与えるかが紹介されている。人間の脳の仕組みの知識を深めながら、SNSに気を取られる、スマホが気になって集中できないといった理由を理解できるようになる。

     「なんで最近本に集中できないんだろう」「何も用がないのになんでスマホ開いちゃうんだろう」といった疑問は全部説明がつくものだ。そして、原因がわかれば対策もできる。読んだばっかりで何もできていないけど、スマホを触る頻度を減らそうという心構えはできた。

     電子書籍リーダーもスマホと同じようなものなのでダメって書いてるけど、kindleもダメなんだろうか。それはきつい。この本も電子書籍で買ってしまったんだから。

     

     

  • 依存症は認識しております。
    手放せないもんね。

    閲覧とか、SNS的なのもそうだけれど、生活に欠かせなくなってきているよね。アプリとかそういうのが当たり前になってきて。最近だとうちの会社の年末調整もアプリもしくはデータ化が基本。紙での提出は避けるようにみたいになってきた。

    様々な実験からスマホがもたらす影響が記載されている。当然、生活は良くなった面も大いにあるけれど、それと引き換えに失ったものや負担を与えているものは多い。

    それを知っているのと知らないのでは違うから、こうした現実も知ることは大切だと思う。

    いわゆる、デジタルデトックスを行う必要はあると思う。
    私自身、結構、心の病的な面があるし、集中力も落ちていると思う。それもスマホの影響もあるようで…。

    こういうのを見ると、極端な思考になる人も多いけれど、スマホと良い関係を築くのが一番だと思う。そのためにはよく知ることなんだよなと。その一助にも。

  • 人が進化の過程で得られた脳が出す命令が、現在社会における望ましい行動とギャップが生じており、それがストレス社会、メンタル障害を引き起こす原因になっていると。数々の実験結果や実例をもとに非常にわかりやすく論じており、大いに納得感を得られた。
    スマホやSNSが人間のそのような特性を生かし、人にとって有限な時間をシフトさせることで、巨大なビジネスとして成立させている構造であることを改めて実感。
    また、若者中心に1日5~7時間をスマホ等のスクリーンをみる、操作することで時間を費やしている事実に驚愕した。
    このテクノロジーの変化とビジネスの構造を理解し、脳の赴くままに行動するのではなく、自制する力を養うことが現代社会で幸せになる上で必須であることを学んだ。

    スウェーデンを始め世界でベストセラーとなっているだけの本である。何度も読み返し備忘メモをとっておきたくなる良書。

  • これまでは何となく「スマホ依存は身体に悪い」という理解だけで、本当の恐ろしさに気づいていいませんでした。この本では、スマホ依存のリスクを医学的な見地から丁寧にかつ痛快に解説されていました。そして、この本を読了してから、毎朝通勤の時に取りつかれたようにスマホゲームに没頭する人を見るたび、ドン引きするようになりました。
    自制の習慣を持って、余暇の時間を知的な活動に充てたいと思います。

  • スマホは脳に悪いし、ひいては人生にも悪影響する。適切に距離を取って、二元主体のライフスタイルを取り戻す

    【感想】
     うすうす分かってはいたけれど、やっぱり、「スマホは脳・身体に悪い」。精神的・物理的両方に身体に悪影響を及ぼす。容量・用法を守ってスマホは使った方がいい。特にipadやスマホによって、睡眠時間が奪われることによって、次の日の集中力が奪われるのはよく実感しているところ。頭で分かっていても、スマホの動画を観ていると、ついついつ夜更かししてしまうのが本当に恐ろしいところだ。22時以降はスマホの動画およびゲームはやらないようにしたい....。いつもこれは思っていることなのだが、なかなか自分に徹底させるのが、難しいのである。

    【本書を読みながら気になった記述・コト】

    ■「私たちを取り巻く環境と、人間の進化の結果が合っていないことが、私達の心に影響を及ぼしているのだ。」

    ■「睡眠、運動、そして他者との関わりが、精神的な不調から身を守る3つの重要な要素だ。」

    ■「ネガティブな感情はポジティブな感情に勝る。人類の歴史の中で、負の感情は脅威に結びつくことが多かった。そして脅威には即座に対処しなければいけない。食べたり飲んだり、眠ったり交尾したりは先延ばしにできるが、脅威への対処は先延ばしにできない。強いストレスや心配事があると、それ以外のことを考えられなくなるのはこれが原因だ。」

    ■「つまり強いストレスにさらされると「闘争か逃走か」選択肢しかなくなり、緻密なプレーをする余裕はなくなる。迅速な判断を下そうと「エラーチェックモード」に入った脳にとって、最優先なのは瞬時に問題解決することだ。社会的に緻密な行動ではなく。すると、自分を取り巻く環境内で発見したエラーに激しく反応してしまう。その結果、些細なことでも強い苛立ちを感じるようになるのだ。「なんで靴下が床に転がってるんだ?」というように。

    ■「不確かなものより、確かなものを好むべきでは?なぜ脳は不確かな結果のほうに多くのドーパミン報酬を与えるのだろうか。その答えに100%の確証はないが、最も信憑性が高い説明はこうだ。『ドーパミンの最重要課題は、人間に行動する動機を与えることだから』」
    →この、「何かを得られるかもしれいない」につられる特性を活かして、スマホは人の時間を奪う

    ■「脳は弱る――スマートフォンの存在がわずかにでもわれば、認知能力の容量が減る」

    ■「他の人が何をしているのか、互いにとってどんな関係にあるのか。これを知っておくと有利だったため、人間にはそういう情報を得たいという強い欲求がある。」
    →実際の生活には役に立たないのに、とにかく知っている人が今どういう状態にあるのかだけを知りたくなる

    ■「自分は写真をアップしないし議論にも参加しない消極的なユーザーは、積極的なユーザーよりも精神状態が悪くなりやすいようだ。」

    ■「子供も大人もスマホによって学習を妨害されるという結果だった。」

    ■「SNSは私たちの精神状態に影響を及ぼす。常に他人と比較することがストレスになり、心に不調をきたすのだ。」

    ■「いちばんいいのは、6カ月に最低52時間身体を動かすことだ。これおは週に2時間という計算になり、さらに分割すると、例えば45分が3回になる。それより長く運動しても、さらに効果があるわけではないようだ。」

    ■「プッシュ通知もすべてオフにしよう」

    ■「チャットやメールをチェックする時間を決めよう。例えば1時間ごとに数分など。」

    ■「スマホやタブレット端末、電子書籍リーダーの電源を切ろう。少なくともベッドに入る1時間前には。」

  • “人間の脳がまだスマホに追いつけていない”
    “スマホが近くにあるだけでドーパミンが出て集中力が削がれる”
    恐ろしい話だ。

  • スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセン著。急速な生活様式の変化に身体(脳)がついていけない。ついていけないというより,備わった機能を使って反応することで弊害が生まれる。突然変異と自然選択による進化のスピードでは生活様式の変化に対応できない。普通に使っていると引きずり込まれてしまう。誰もがそう。特に子供。スマホを置いて,身体を動かし,人と出会って,よく眠ること。ジャンクフードと同様にジャンクインフォメーションばかりを脳に入れてたらおかしくなる。だけどジャンクインフォでも欲しくなっちゃう脳を持っているので気をつけようねという話。比喩が上手。

  • スマホは集中力を低下させ、共感力の成長を阻む。またストレスへの耐性も奪う。体験的に感じていたことが、本書に示されており、腹落ち。また大切なことは、運動、スマホを使用する時間、SNSは要注意、ということで、こちらも納得感あり。家族全員のスマホ生活を見直したいと誓う。

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著者プロフィール

精神科医。カロリンスカ医科大学卒業。王家が名誉院長を務めるストックホルムのソフィアヘメット病院に勤務しながら、有名テレビ番組でナビゲーターを務める。『一流の頭脳』が人口1000万人のスウェーデンで60万部が売れ、世界的ベストセラーに。前作『スマホ脳』は日本でも爆発的にヒットした。

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