正欲 [Kindle]

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 207
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感想・レビュー・書評

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  • レビューなどで、とても気になっていた本。

    評判通り、すごい作品だった。
    今まで梨木作品を読んで、多様性や「理解はできないが、認める」など、自分の中で随分影響を受けたと思っていた。
    でも、この作品を読んで、自分で考えていた多様性やマイノリティが、あくまで自分の理解の範疇だけのことであると分った。
    この作品は、その自分が理解出来る、認めるを超えた作品でした。

    読んでよかった。。

  • いつか誰かに笑って話せる秘密。
    絶対に誰にも話せない秘密。

    後者の秘密を生まれて物心ついた時から
    必死で隠し、普通の人を振る舞う事で、
    スポットをあてられないよう、ひっそりと生きる人達の孤独と葛藤。

    『明日死にたくない』と思いながら明日を迎えてみたい、という主人公の思いに、どんな苦しみの中で生き抜いてきたんだろうと思いを巡らせる。
    人と繋がれないからこそ『繋がり』を渇望する登場人物の心の叫びが悲しかった。

    初めの6ページに手紙のようなものがあり、
    その後5ページに児童ポルノ摘発の記事がある。

    この手紙と記事を何も知らずに読んだ時と
    本書を途中まで読み進め、
    手紙と記事を読み返した時では違う印象を受ける。

    こんな風に苦しんでいる人がいるんだなと
    初めて知った。

    登場人物の様々な悩みに触れて、
    人との繋がり、多様性、マイノリティ、価値観、
    コンプレックス、性癖、家族、パートナー等々。
    色々な事について考えさせられる作品でした。

    こちらはブク友のヒロの感想で
    『価値観を揺さぶられた!』の一言に興味を持って手に取った作品。

    内容を全く知らない私に、『けっこうグサグサくるから読むなら落ち込んでない時に』とアドバイスをもらい、落ち込んだ時にはヒロに励ましのお願いをし
    準備万端で読みました。
    ヒロ、ありがと(^^)
    おかげさまで安心して読む事ができました♡

    • ひろさん
      あおいさんも心に響きましたか!
      同じ本でもこんなに伝わる感想が書けるんだぁって感激しています(*>ω<*)いろんなこと考えるきっかけになるし...
      あおいさんも心に響きましたか!
      同じ本でもこんなに伝わる感想が書けるんだぁって感激しています(*>ω<*)いろんなこと考えるきっかけになるし、読む価値はあると思います。
      うんうん、ズンて来たら私も全力で励ましまっす~♪

      おびさんも、まつの感想が心に響いたみたいなんだけど、図書館で700番超だったらしい!
      ほんと、お届けできたらいいのにね(*^^*)
      2022/05/09
    • 松子さん
      ひろ、ありがと♡ホメラレスギルトカタマリマス…汗
      おびさんの近くの図書館、700番待ち⁉︎
      すごいねぇ。そんなに人気の本だったんだね!

      ...
      ひろ、ありがと♡ホメラレスギルトカタマリマス…汗
      おびさんの近くの図書館、700番待ち⁉︎
      すごいねぇ。そんなに人気の本だったんだね!

      おびさんにも、あおちゃんにもお届けしたい(^^)
      2022/05/09
    • aoi-soraさん
      おはよ。
      なに~!700番!!
      文庫待ちかな>.<
      ホント届けてもらいたいよ(*´ω`*)

      ひろさんの感想も、まっちゃんの感想も...
      おはよ。
      なに~!700番!!
      文庫待ちかな>.<
      ホント届けてもらいたいよ(*´ω`*)

      ひろさんの感想も、まっちゃんの感想も、読後の高揚した気持ちが伝わってくる素晴らしいレビュー♡♡
      朝井さんの著書は、おそらく過去に一冊しか読んでないので、他のも読んでみたい(^^)
      2022/05/10
  • 性的志向の どこまでが許せるのか

    すべて許していいのか

    犯罪の線引きはどこにあるのか

    性的志向は多様性なのか

    正しいって何なのか



    とても深い内容が

    わーっと 怒涛のように押し寄せて

    読みながら溺れてしまいそうでした



    普通ではない ということを

    どれだけ怖がって生きているか

    読んでる自分だって そう

    ということに気が付くと

    そら恐ろしい気分になります

  • 朝井リョウさんはどうして最後をこうしたのだろう。

    読み始めてすぐ、『これは誰も幸せにならない類いの話だ』と気が付いた。
    ラストに近付くにつれ、もしかして希望を見出だせる終わりにするのか…?と思っていると、最後、奈落に突き落とされる。

    "多様性"という言葉を耳にするようになった昨今。
    「みんな違ってみんないい」というけれど、果たして本当にそうなのだろうか。
    全ての多様性を受け入れることが本当にできるのか。
    この世にどれだけの"多様性"があるか分かっているのか。
    "違いを受け入れるって大事だよね"、なんていう軽い甘い考えを、見事に叩き落としてくれる。

    だいたい自分や周りは普通のつもりでいる。その感覚は正しいのか。
    違いを受け入れる自分の許容範囲はどこまであるのか、考え出すときりがない。
    怖い話だった。

  • マジョリティ、マイノリティについて深く考えるきっかけをもらいました。簡単に言葉を使えなくなりそう。
    普通、とか常識的に言って、とか、それはダメ、とか。その中で苦しんでいる、自覚したマイノリティ中のマイノリティの、人間的に問題なく社会で生きていけるはずの人だとかの存在を、意識せざるを得ない。
    多少わかっているつもりでいた。そんな自分が恥ずかしい。多少はわかってるとは言えない。どんなに親しくても、もし当事者がここにいて苦しんでいても、多分わたしには何もしてあげられないんだろうなと思う。
    そんな読後感を抱えて数日置いて、結局「読んでみて」としか言えないような拙い感想しか書けない状態。

    初読みの作家さんでした。
    これぞ朝井リョウと言われる作品のひとつのようなので、ぜひ他の本も読んでみたいです。

  • 「水を出しっぱなしにするのが嬉しかった」と聞いたら私だっておかしなニュースだと笑ってしまう多数派。それが性欲に結びつくなんて想像もしたことがなかった自分には驚きの内容だった。

    多様性の社会だと言って、LGBTQの人たちも生きやすい社会になればいいと思っていたが、自分の想像を遥かに超えた性欲を持つ人間に出会ったら、やはり理解はできないし遠ざけたいと思ってしまうのかもしれない。
    仲間内で供給し合ってるのであればいいが、純真無垢な子供が供給相手として狙われてしまうのは許せない。

    多様性が謳われる現在、「多様性」について考えさせられる一冊となった。

  • 児童ポルノ所持事件で逮捕される男性3人。
    なぜこの事件は起こったのかを、濃淡があるものの逮捕される者たちと関わりのある周囲の人達の目線で、主に事件当日までに迫っていく内容。
    罪名と犯人の意思の乖離具合が切なく、マイノリティとマジョリティ、性癖の多様性、固定観念の押し付けなどいろいろと勉強になる。
    誰もが、他人の考えの多様性を意識して、尊重して、差別しない世界が理想なんだろうけど、他人を害して満足するという欲はどうしても存在してしまう。
    万人に対する正解はない世界だと思う。
    正に題名どおり、人にとっての正しい欲って一体何だろうと一考する機会を与えてくれる一冊。

  • 大多数の枠にいる人間が普通。異性への性欲、恋愛、結婚が普通。学校に通うのが普通。それ以外は異常とされ、周りから理解されず、排除される社会。正欲はそれぞれ違うし、理解し合うのは至難の業。

    【誰もが「あした、死にたくない」と感じている。】という前提のもとにこの世界は成り立っている。誰かと繋がることか、生きる理由になるはず。

    マイノリティと呼ばれる人、マイノリティとも呼ばれないような人達がマジョリティに理解されるだけでなく、またその逆の理解も必要なんだな。

  • 2021年3月 作家10周年作品

    この作品の映画にガッキーが出演すると聞き、タイトルも
    驚き読んだ次第。

    ちまたで話題のD&Iを朝井リョウが料理した作品でした。

    各章1人称となっており、心情がわかるようになっている。
    最後はもしかして、あなたの性癖と私たちの性癖は・・・。
    という落ちです。
    そうなると、どうなるのか?

    昨今、怪しいyoutuberが出現していること、SNSオフ会の危惧も表現しているのかもしれません。
    苦労知らずのyoutuber、努力知らずのタイパに警鐘なのかな。
    丁度、「ファスト映画」被害で捕まった人が出ました。

  • 作者と同時代を生きているが、世の風潮に対する違和感を言語化するのが上手いよなといつも思う。不登校ユーチューバーとか子供が贅沢品になる時代になるなんて、とか、なんとも言えないザラつきが心に残った。

    こんなこと大っぴらには言えないよな、と思ってしまうようなことをストーリーに組み込んで小説として昇華させていて。
    決して他人から理解されない、理解されることを諦めてもいる生きづらさを抱えた人たちに想いを馳せる。作中で触れられる通り、今もてはやされている「多様性」って、マジョリティが理解できる範囲の多様性しか意味していない。これまでと比べたらマシ、とも言えるし、救われる人は確かにいるのかもしれないけど、そもそも私たちには想像も及ばない、とても信じられないような趣味嗜好性癖を持つ人はマジョリティ側がどれだけきれいごとを言ったとしても救われることはない。

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著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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