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感想・レビュー・書評
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元大学教授で演劇活動で有名な呉誠(ウーチェン)が主人公。
パニック障害を抱え、酔っぱらった夜に多くの友人を失うような残酷なスピーチを行う。
『人をムカつかせ、だが愛しく離れがたい』台北の街で、私立探偵という名の無職になり、妻には逃げられ、本を読み、公園を散歩し、酒を飲み、世捨て人的に人のトラブル解決を目指す。
そして林夫人の主人のトラブルを解決し、彼女と海辺に向かったのち、台湾の街を舞台に起こる連続殺人事件に巻き込まれていく。町中に張り巡らされた監視カメラの映像と襲われたメイドの証言から、容疑者として警察に連れられ、マスコミにもプライバシーが大々的に報じられてしまう。
中年を迎え、他人を傷つけた自分への葛藤、台湾の警察への不信感、監視社会、マスメディアへの不信感が描かれる。
ミステリーとしても結構予想外の展開で楽しめました。マスコミの過剰報道で、無実にもかかわらず家族を傷つけてしまうことに「俺は有罪だ・・」と消沈するシーンは心が痛い。
ところどころ日本についての言及もあり、優越思想が強くアジアの中では連続殺人が多いらしい。台湾に一度行った際、台湾人はみんな穏やかであまりお酒を飲まない印象だったのですが、本作で描かれる人々は一昔前の香港映画のようで、不思議と親近感を覚えます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
台湾発のハードボイルド。
台北の街並、台湾の人の性向が描かれてるところが良いです。
シリーズ化されているようなので、次も読んでみたい。 -
台北の街を思い浮かべながら楽しめた。日本統治の時代、哈日族、中国の地理、古典、仏教などが背景としてちらりとみえる時、日本人としてはもとよりアジア人として台湾の文化に接していることを実感できるのも面白い。台湾の小説も積極的に読んでみたい。キリスト教文化の深い理解がなくて欧米の小説を深く楽しめずアウェー感を抱くことがあるのだが、台湾の小説は心地よい。
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台湾人作家による推理小説の日本語版。言い回しなど翻訳が自然で違和感なく読むことができる。ストーリー展開もさることながらバックグラウンドである街の情景などが日本と似ているところあり、異なっているところありでなかなか興味深い。
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次の話も読みたい。淡水が舞台なんだな。
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台北の描写が多く台湾に行きたくなった。ミステリとしてもまずまず。不器用で欠点も目立つ探偵が周りの人と交流を深めてくのが良かった。
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(2021/292)台湾発のハードボイルド物。脚本家・大学教授を辞めて私立探偵(プライベートアイ)を始めた主人公の呉誠。パニック障害とか強迫症とかに苦しんで、やや自分の内に入り過ぎるキライはあれど、近所で連続殺人が発生した頃から俄然面白さが加速する。台湾人っぽい感覚というか、生活というか、そういうものにも溢れている面も興味深い。台湾での刊行から邦訳まで随分時間がかかってしまったようだけど、本国では第二弾も刊行されたとのこと。これは邦訳待ちたいシリーズ。
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台湾発のハードボイルドミステリとして話題となっていたため購読。シリーズものとして続きそうな感じですね。
才があり劇作家として名声を得ながらも精神を患い、かつての仕事仲間には傲慢とも言える態度を取ってきた、そんな主人公が今のところ好きではない。