黒牢城 (角川書店単行本) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • 歴史物だけどミステリー、ミステリーだけど歴史小説。
    荒木村重と黒田官兵衛。
    信長に謀反した村重と、村重を説得するために城に来た官兵衛。村重は官兵衛を生かして土牢に幽閉する。
    村重と5000の兵が籠城する城で起こる謎の事件を、何ら見聞きすることのない官兵衛が謎解きの示唆を与えていく。恐るべき官兵衛の智謀。
    官兵衛を殺さず逃さずにいたことで、離反を疑われた官兵衛の子が殺されたというのに、なぜ村重に官兵衛は助言を与えるのか。その目的は?

    歴史上では有名な官兵衛の幽閉事件。有名な事件なので大筋の先がわかってしまって、最後の場面でもカタルシスが弱かったのが残念。
    ただし顛末を知らなかった人には良い読後感だっただろうと思う。
    とはいえ歴史の中にこれだけのストーリーを組み込んで面白い小説はすごい。
    面白かった。

  • 個人的米澤穂信フェア♪
    ようやく直木賞受賞作まで辿り着きました〜♪

    歴史小説で連作短編ミステリー!

    織田信長に謀叛を起こし、荒木村重と家臣たちは有岡城に籠城する。
    そこへ説得に来た黒田官兵衛は幽閉されてしまう。

    籠城中の城内ではさまざまな事件が起きる。
    ちゃんと調べて決着をつけなければ、家臣の信頼を失う。調査と推理を重ね、それでも決定打となる答えが出ない。
    村重は地下牢へ降りて官兵衛と語り合い、解決の糸口を見つける。

    家臣や妻、人質、宗教などなど登場人物のキャラが練られてて面白い。

    大河ドラマ『軍師官兵衛』見てないんですが、ついつい官兵衛が出てくる場面は岡田准一でイメージして読んでました。
    映像化してほしいなぁ。

  • 荒木村重が黒田官兵衛を幽閉したこと、信長を裏切り翻し籠城した村重が最後は城を…という語られてきた事実を題材にしたミステリー。村重と官兵衛の対話(村重のモノローグ)には緊張感があった。著者のミステリーは評判良いので読んではみたが…だったが、これは面白かった。連作ミステリーは得意ですね。有岡城跡を訪れたいと思いました。

  • 難しい言葉も多いけどミステリと人間ドラマの質が高いから読みにくい印象は無かった。
    著者の他の作品は短編毎にトリック完結が多い印象だけど今回は後半で大きな伏線回収があって満足度高い!
    だから本が厚めだけど冗長な印象もない。
    いやーすごい人だわ米澤さん。

    昔、著者の『満願』が山本周五郎賞を受賞した時は、著者の他の作品の方が面白いけどなー、
    なんて思ってたけど、この本が賞を受賞するのは文句無し。

    Web公開されている宮内悠介氏との対談で宮内氏が「君主論的な側面もあり」というのに納得した。
    部下や民衆の心理を村重がとても細かく考えているプロセスが、ミステリの重要性を際立たせてるのがおもしろい。
    そしてその集団心理が動くきっかけが当時の文化や宗教がかかわっていて読んでいて飽きない。

  • Audibleにて。官兵衛が岡田准一に脳内変換されてずっと聴いてた。重層的な構成で結果が分かっているのにドキドキした。
    武門とは、武士とは?主従関係とは?城を護る、攻めるとは。
    当たり前のように書かれているが、自分が今までの知識でそう思っているだけで、ラストサムライのように外国人向けには説明しないと理解されないかもと思いました。

  • ばたばたと忙しく、読み終わってから3週間近く経ってしまった。読了後の衝撃や余韻も大分薄れてきて、やっぱりこういうものは読んだ直後に記すに限るな…と反省しています。

    直木賞受賞、ということ以外前情報なしで読みました。
    歴史小説か、日本語が美しいな…なんて思って読み進めて、はたとこれがミステリー小説だと気付く。
    そうだ、米澤さんといえばミステリー小説じゃないか、と遅まきながら思いつく。米澤さんの本は1冊しか読んだことがなく、その時もなんてアイデアの面白い本だろうと思ったけれど、以降読んでいなかったようだ。未読の本がまだまだあることが嬉しい。

    さて、本書については、ミステリー小説としても最高におもしろいのですが、終盤に近付くにつれて、「私は一体何を見せられているんだろう…?」と鳥肌が立つのを感じました。
    大きな時代のうねりに翻弄される人々と、それに抗おうとする個々人の小さくも強い輝きに圧倒されて、これが完全なフィクションではなく史実と連動していることにまた深い感慨を覚えました。

    育児が大変でしんどくて、子どもが寝た合間に本書を読むのが癒しであり、何にも代えがたい時間でした。
    読めて幸せだった。未読の方には、全力で進めたい。

  • ページ多くて時代劇調で読みにくいが達成感はある
    読了して成長を感じる
    入り込めるまでの時代設定や風俗を理解しないとトリックが分かりにくいのを実感

  • ストーリーは面白かったけれど、ミステリーの部分が弱く結局は歴史小説だった気がします。もちろんそれはそれでいいのですが!
    もうちょっと、官兵衛と一緒に謎を解いていくのかと思ってけれど、そこの部分が弱く案じました。それがいいのかもしれませんが。

  • 歴史に明るくない私でも楽しめる(安楽椅子探偵、安楽じゃないけど笑)歴史ミステリー。話の進行と謎のバランスが良く。村重と官兵衛との緊迫した探り合いのやり取りがとても楽しかった。最後は救いがある意外なオチというのも、また、秀逸。

  • 戦場の描写の生々しさ。
    情景が浮かぶよう。
    本格的な時代小説を初めて読了した気がする。
    映像化されるなら村重、官兵衛、和泉その他、誰に演じて欲しいかななどと考えながら読みました。
    (瓦林能登は宇梶剛士さん、池田和泉は堺雅人さんで勝手にイメージ)
    とても面白かった。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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