働くことの人類学【活字版】 仕事と自由をめぐる8つの対話 [Kindle]

著者 :
制作 : コクヨ野外学習センター 
  • 株式会社黒鳥社
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感想・レビュー・書評

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  • 働くことだけでなく、生き方にまで思考を巡らせるきっかけになる本だった

  • 帯が秀逸。Podcastを聴いて、この本を読み進めていくうちに感じたことが完璧に言語化されている。
    「わたしたちはなんて不自由な働き方をしているんだろう。中略 わたしたちの偏狭な仕事観、経済観、人生観を鮮やかに裏切り、軽やかに解きほぐす、笑いと勇気の対話集。」

  • 今の働き方、生活を相対化させる視点を具体的な他の民族の働き方、生活を通して供給してくれる。

    価値判断できないなんだかよくわからないものをいかに余白としてとりのこしておくか。自由を享受しているつもりになっているが、じつは与えられた価値基準にしたがって物事を考えているだけでかえってがんじがらめになっているのではという指摘はその通りだと思う。

    右肩上がりの直線的なものとして人生を考えるから捨てられない、過去に囚われてしまい動けない。

  • 「働く」というテーマを通して人間について考えさせられる内容が盛りだくさんで、対談形式だったので気軽に読めました。
    個人的には、ちょうど昨今生成系AIなどが騒がれているタイミングだったこともあり、機械と人間の関係を人類学の観点で読み解くパートがとても面白かったです。
    あえてロボットやAIが人間の人間らしさを奪っていくのではなく、始まりと終わりが明確なデジタル化しやすい作業の部分を人間よりも量・質ともにより良く担えるようにこそなれど、「働く」ということはその作業に付随して明確な仕事として捉えにくい沢山の要素(があり、それらを総合して「仕事」「働く」ということになっているので、それら全てをAI/ロボットが担うということは技術的にも考えにくく、またあえてそれらをAI/ロボットにやらせる必要性も薄いという考えは目の覚める思いでした。
    人間と同じことができる状態を目指すのであれば人間を増やせば良いという内容が書いてありましたが、その意味ではAI/ロボット側にも人間ではできないことを行うことに存在意義があるとも言えるので、AI/ロボットが人間の居場所を一方的に奪うのではなく、お互いがお互いを求め合い、影響し合いながら変容していくという関係で捉えると、今後も建設的に機械と付き合いながら働いていけると思いました。

  • 人類学の視点から「働くこと」を考察した本。コクヨ野外学習センターのポッドキャストシリーズを書籍化したもの。

    異なる価値観を知れば、自分の価値観を見つめ直すことができます。自分の価値観を揺さぶるものに出会えれば、そこから新たなヒントが得られます。本書はそのきっかけ作りになる一冊。

  • 『働くことの人類学』。未だ貝を貨幣として使用しているトーライ人、アフリカのブッシュマン、エチオピアの牧畜民、チョンキンマンションの商人たち、仏領ギニアで暮らすモン。“働く”の切り口から世界中の人々の営みが見えてくる。

  • 人類学の定義がよくわからないが、人間の文化を様々な側面から調べ比較することだとすると、アフリカあるいはアジアの社会制度が日本に比べ整っていない社会で暮らすブッシュマン、モン族の人々がどのように仕事をとらえているかという話がまずある。流動的な中、複数の収入減を一つの仕事に持ちあまりこだわらず、血縁/地縁を頼って生活を成り立たせようとしている。翻って日本の仕事は、あるいは先進国の最近の状況は、リモートワークやデバイスの深化により仕事と遊びの境目がなくなってきて、また人生の大部分を予期仕事人になるためのスキルアップの時間に充てることが奨励されてしまっており、実は休みなどほとんどなくなっているのではないかという問題提起がなされる。

  • 面白かった。

    以下引用

    共感は、自分が思っていることに対する答え合わせのようになっている。自分のあらかじめ知っていることに当てはまるかどうかで判断されてしまう

    公と私というと公がメインで、私は後回しになるのが我々に感覚、

    いわゆるお金稼ぎより、葬式に出たり、子供を育てたり、社交する方が人間にとって大事だと思っている

    自分の意思でこれをやりたいとやって得たものをその人の意思でわけてくれる

    その場その場で判断することが普通な状態

    教育といっても、教師が子どもに教えるという形ではなく、仲間でも、家畜でも、そういうものにじかに接する中でおのずと学んでいくという感じ


    より個人を起点にしたコミュニケをする。違うから交渉をする

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著者プロフィール

松村 圭一郎(まつむら・けいいちろう):1975年熊本生まれ。岡山大学文学部准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。専門は文化人類学。所有と分配、海外出稼ぎ、市場と国家の関係などについて研究。著書に『くらしのアナキズム』『小さき者たちの』『うしろめたさの人類学』(第72 回毎日出版文化賞特別賞、いずれもミシマ社)、『旋回する人類学』(講談社)、『これからの大学』(春秋社)、『ブックガイドシリーズ 基本の30冊 文化人類学』(人文書院)、『はみだしの人類学』(NHK出版)など。共編著に『文化人類学との人類学』(黒鳥社)がある。


「2023年 『所有と分配の人類学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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