無(最高の状態) [Kindle]

著者 :
  • クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
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感想・レビュー・書評

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  • Z世代に多く見られると言う「無気力・無行動」。それは多くの情報源に悩まされ、「失敗したくない」と言う心境から最後に選択するのは「何もしない事」と言う事らしい。情報社会で生きる術かもしれないが悩み、思考し、選択肢あるいは計画を立てるが最後の一歩が踏み出せない世代が多くなったのは、やはり「何も自分がしなくとも社会、周りは変わらない」と言う思いと周りからのストレスかもしれない。

  • 2024.03.12 Kindle unlimitedにて

    クヨクヨ悩んだり、自分が嫌いになったり、逃げ出したくなったり、叫び出したくなったり、今の先が不安で眠れなくなったり

    私は、ずっと自分が弱い人間なんだって思ってた。メンタルが弱いから、生きるのがしんどいんだって
    強くならなきゃ強くならなきゃって
    いつしか、それは自分の中に「逃げ場所」と「触れない時間」をつくることで、自分を保ってきた。ただ、それだけ関わりというものを希薄する必要があった
    濃密な時間を過ごすほど、反動が強くなってくのを感じて、このままじゃいけないって、いろいろ読み漁ってた時に出会った本です。

    普段は、読み流して、今この時欲しい物だけをピックアップしてく感じなんだけど。
    この本はちょっと違って。
    1度流し見した後に、何度も読み返した。
    納得感が強かったから。

    “同じようなトラブルにも苦しむ人、苦しまない人がいるのは、メンタルの問題ではなく、脳内で作られた独自の「ストーリーライン」が適応か否かの問題だ”
    という文言で、手探りで暗闇を歩いてたところに、パッと光がついた感覚があった。
    あ、そうか。

    結局は、「自分が自分であるために」という言葉に縛られて、自分という作られた物語を大事にしてきただけで。
    自分を否定されて、傷つけられて弱ってたことは、「自分が否定された」ということから発生された自分が作った物語に苦しめられていたんだな。と。
    どんな心理本よりも、すとんと腑に落ちた。
    多分、今まで読んできた本にも変換すれば、同じようなこと書かれてたんだと思うんだけど、だからこそ、私が納得出来る言葉で書かれた本に出会えたことが、すごく嬉しかった。

    「作られた物語」っていうのは、結局は自分が自分へかけたバイアスなんだけど、この本では、悪法ってなってる。
    そう考えた方が、過度の期待をかけて裏切られるよりも楽だってことや、悲劇のヒロインぶりたいってこともあって、それがいつしか現実のように私の物語になってた。こわっ。振り返ってみると、このバイアスをかけたこととか、結構覚えてたりして。
    人に歴史ありってな。

    ちゃんと、やってみよう。
    悪法日誌つけて、結界はって、降伏ワークして、停止、観測をしよう。

    とりあえず、この手の本は、ここで打ち止めかな!無我になろ~!!!!

  • 「自我」があるから苦しみが生まれる。
    頭の中で自分が勝手に作り出した物語によって苦しむ。これは本当に間違いないなと思った。

    物語を作り出すシステムは、原始世界を生き抜くためには必要だったんだろうが、今の世界を生き抜くためにはマイナスの面が多い。
    そういった幾星霜を乗り越えたシステムを乗り越えるのは難しいから、本書で挙げられているようなトレーニングをする必要があるのだろう。

    慈経行、畏経行は自分に非常にあっていると感じたので、自分の生活に取り入れていこうと思う。
    そして、苦しみには降伏を。(これは本当に気分が楽になる)
    最終的には観想ができるように。

    この本を読んで上記のことを意識して過ごすことで、チャレンジすることへの抵抗感や、苦手なことに取り組む抵抗感が減った気がしている。

  • 無について知りたくて読書。

    キンドル46冊目。

    先に解説動画を見ていたので読書での理解なのか不明な点がある。

    人間が猿を含む他の動物と異なり起こりるかわからない未来について悩みを持つのは第2の矢があるから。

    これらからメンタルヘルスへ悪い影響を受けないための訓練などが紹介されている。

    本書だけだと実践は難しそう。しっかりとした訓練で学び習得する必要がありそうだ。

    人類の特徴でもある勝手に生み出される「物語」に左右されないためには今に集中すること。今やっていることに焦点を当てて、感じる皮膚感覚、聞こえる音、匂い、空気、感情、呼吸、身体の変化などに意識を集中させる。

    これって学生時代に学び今も継続する自律訓練法に通じるものがあり、合氣道
    で稽古した呼吸法を思い出させてくれた。

    僕が稽古した合氣道は、創始者の師匠が中村天風翁なのでヨガの要素が含まれている。曹洞宗の禅にも通じるものがあるのかもしれない。

    生活の中で見直し、実践してみると良さそうだ。

    読書時間:約45分
    (11月17日完読)

  • ・二の矢がなければ最高である
     本書における最高の状態とは、苦しみがなく人間本来の能力を発揮できる状態のこと。その苦しみを産むメカニズムの分析はブッダの教えを元にしている。仏教においては一の矢・二の矢という考え方があり、これは外的な刺激によって起こされる肉体的な苦痛を最初の矢に見立て、それに付随する精神的な苦痛を二の矢であるするもの。そしてこの二の矢を産むのが自己。自己の起源は集団内でのポジショニングで、そのために脳が生み出す物語だ。自己は過去と未来を現在へ接続し、過去の後悔や将来の不安といった二の矢を生み出す。従って自己を無くし二の矢を消した状態が、精神的な苦しみのない最高の状態なのである。
     本書のタイトルは『無 最高の状態』であるが、扱われているのは無ではなく無我である。おそらく無について知ろうと考えて本書を手に取ってもその目的は果たされない。しかしそれを差し置いても本書の試みは面白い。おそらく本書のコンセプトは「仏教と現代科学の融合」である。ブッダや道元などの遺した教訓を、筆者得意の海外科学文献からの引用で味付けしている。それらの引用も「半身不随でも幸福なチンパンジー」など面白いものばかりで、その点だけ取っても学びがある。引用元をしっかり明記しており、自己啓発本の中でも信頼のおける部類であることは間違いない。少年漫画に出てきそうな無我に至るための修行も面白い。この修行が本書の冗長性を生み出してしまってもいるのだが、漫画『ワールドトリガー』が好きな人には刺さる本なのではないかと思う。

    ・無我とは世界に溶けることである
     では無我を達成するとどうなるのか。そこでは自己と他者、自己と世界などの境界線が消え、高い幸福感を感じられるようになる。このことを科学的に証明することはできないが、古今東西、無我の状態に関する証言は似通ったものだ。無我は世界観の変容を促し、自由と無限の受容力を備えた永遠の初心者へと人々を変える。
     無我のイメージは「自己が場になること」であるとを筆者は述べる。この自己=場であるという主張は、西田幾多郎の著作や、マルクス・ガブリエルによる意味の場の理論を想起させる。無我による世界観の変容は『達人のサイエンス』で語られる達人の在り方と共通点が多い。無我の状態についての見識を広めると新たな発見がありそうである。

    ・幸福にも降伏せよ
     自己が何かに執着し幸福度が下がるという現象は、幸福それ自体にも当てはまる。そこで重要になってくるのが「降伏」、すなわち観察という修行法である。自分の現状に抵抗するのではなく、それを観察し素直に受け入れることが間接的に幸福を呼び寄せる。幸福を目的にし執着するとそれは遠ざかってしまう。
     幸福への降伏はワンポイントアドバイスのように載っているだけだが、本書でも屈指の気づきを与えてくれた教えである。自分が幸福であるかどうかの判断は、必然的に自己を引き寄せてしまう。そこで観察に徹することで自己の働きを止めることが重要なのだ。さらに私なりに観察時のポイントを挙げるならば、「自己融解のイメージ」「判断停止」をするということだ。観察対象に溶け込んでいくように没入し、言語化や評価などの理性的判断をやめることで純粋な観察ができるようになったと実感している。ぜひ意識してみてほしい。

  • 第一の矢、第二の矢の話が印象的でした。
    反芻思考によって、自分を苦しめないように、淡々と今することに取り組んでいきたい。

  • 『無(最高の状態)』 かなりツボだった。鈴木祐さんはほんと文章うまい。最近、一切の欲がなく「退屈」が難敵として立ちはだかってたから、内的な精神修養はトライしがちがありそう。しかも語りが、あくまでもサイエンスアプローチなので、検証と改善がしやすい。

  • 読み終わって数週間後に感想を書こうとしたら、感想まで「無」になってもうた。記憶力ヤバ!

  • 【目的】
    「悶々」する苦しみから開放
    【まとめ(1P)】
    問題を起こす「自己」への拘りを捨て「無我」に至る
    【ポイント(What)】
    ・「自己」が負の感情を増大し、存在しない過去と未来に展開してしまう(反復思考)
    ・自己とは心身を統べる存在ではなく、生存のための機能の出現
    ・無我によって歪んだ思考を超越した「場」と化し、「善の力」が高まる
    【アウトプット(How)】
    ・悩んだとき、悪法日記をつけて思い込みを自覚する
    ・痛みへの降伏(直面している現実を認め、向き合う積極的な姿勢)⇔抵抗
    ・観察のトレーニング:手を洗うときに皮膚を流れる水の感覚に集中する

    【その他】
    ・最初の悩みは6秒で鎮まるが、反復思考でダメージを受ける
    ・脳は、生の情報より脳が作った物語を重視する(→錯覚)
    ・感情の表現が細かいほど脳がストレスを感じない
    ・大自然やアートなど超越の体験によってエゴイズムが和らぐ

  • 瞑想にあるように起きたことを事実と捉えてただありのままに見て、反応しないようにするということ。そうできるといいけど、なかなか難しい。人間の進化のプロセスなどプログラムとして埋め込まれていることもわかった。

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著者プロフィール

新進気鋭のサイエンスライター。1976年生まれ、慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアや生産性向上をテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がける。自身のブログ「パレオな男」で心理、健康、科学に関する最新の知見を紹介し続け、月間250万PVを達成。近年はヘルスケア企業などを中心に、科学的なエビデンスの見分け方などを伝える講演なども行っている。著書に『最高の体調』『科学的な適職』(クロスメディア・パブリッシング)、『ヤバい集中力』(SBクリエイティブ)他多数。

「2020年 『ヤバい集中力ノート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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