心はどこへ消えた? (文春e-book) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 長めの前書きがなんだかとてもよかった。連載でこういうことを書こうと思っていたけどこうなってしまった、みたいな言い訳めいた感じなんだけど共感できるというか。
    コロナ禍になって、「コロナのせいでとにかくだれもがいろいろ大変である」っていうのが大前提というか、みんなが同じ状況で、なにかあれば「こういうご時世ですからね」みたいな言葉で、強引にひとくくりにされている、っていうような気持ち、確かにあるかも、と。こういう状況で、自分の個人的な小さな愚痴めいたことを話題にするのははばかられるような気がするというか。。。
    でも、そうではなくて、個人的な小さなことも十分に大切なのでは、と言ってもらった気がしたのがよかった。

    あと、個々のカウンセリングの例とかよりも、著者ご自身の話がおもしろくて興味深かった。

  • 前のブクログ登録が2015年、9年ぶりに戻りました。 気が付いてみれば、読書履歴をこの間記録していなかった。 退職して今は自由の身。
    仕事思い悩むこともなくなり、本のし好も変わりました。 

    これは軽く読める心理学者のエッセイ。図書館で何気なく手に取った。
    章が短く内容も重くない。たまにクスッと笑わせてくれる内容で読みやすい。
    軽い内容だけど、ちょっと自分と異なる世界をのぞかせてくれる。
    こういう本を息抜きの合間に読む生活も心地よい。

    印象に残ったフレーズ
    「 未来を生きるために不可欠なのは 希望、自己肯定感。希望を抱いて未来を想像し、アクションを起こす」

  • 臨床心理士カウンセラーによる、心の問題を取り上げたエッセイ。語り口は軽くときどきギャグが滑るが、文章の中心にはちゃんと「心とは何ぞや?」に対する著者なりの回答があるので読み応え(実際はオーディブルで聴いたので「聴き応え」)がある。「目に見えず触れもしない心は、もうひとつの心でその存在を感じ取るしかない。心の存在を確かめるためには心が2つ必要」という。現場での経験を積んだ方の言葉だけあって、さすがに深いな。

  • コロナという大きな物語の中には、小さな物語がある
    それを無視せずに拾い上げようという内容
    タイトルに反して、リズミカルで読みやすかった
    1つ1つのエピソードにクライエントの心情が出ていて、吸い込まれそうになった時もあった
    そして、私自身の物語も呼び起こされた気がした

    特に興味深かったのは、悲しみや怒りを心で感じ認める前段階で、何かしらの身体症状・行動が出るということだった。
    加えて、自分や周囲が感情を認めた瞬間や安心した時、行動や症状が止むこと
    心と身体はつながっていることを再確認した

  • 臨床心理士のコロナ禍のエッセイ。
    コロナ禍って、確かに社会が変わったもんな。

  • 本そのものではなく、Audibleで車で運転しながら聞いた。

    自分が特に気に入ったのは、禁煙に関するくだりだ。何度も禁煙をしようとするのだが、飲み会で隣で吸っている禁煙者の誘惑に何度も負けてしまう姿がユーモラスながらリアルで怖く感じる。

    同時に、東畑さんのような心理学に深く通じた人であっても、やはり禁煙のような強い中毒性のある習慣を断ち切るのは難しいことであるということが、とても心の救いになると同時に、自分には習慣をしっかりと変えきることなど無理なのではとも思わされる。

  • 週刊連載だったそうな。軽い筆致で書かれていたけど、楽しいと同時に考えさせられるポイントは多々あった。

     日本人は、自己肯定感とか自己効力感が低いとは聞く話だ。大学の教員でもあった著者は就職活動で苦戦する学生さんたちをみて言う。

    「本来自己を肯定するのは自己ではなく、他者だ。もっと言えば、社会にもその義務がある。」

    「君が悪いのではなく、社会が悪い。大切にすべき未来を冷遇する社会が悪い。すると、気づいてしまう。自己肯定感が低いのは私たちの社会そのもので、今社会は未来を想像することも、手繰り寄せることもできなくなっているのではないか、と。」

     自己肯定感が低いのは、本人のせいではなく、そういう社会になっちゃってるんだよ、という見方もできるんだね。すべてを社会のせいにするのは、それはそれで建設的じゃないとは思うけど、でも、なるほどと思う視点だった。

  • 不思議なリズムで続いていく話で、一気に読んでしまった。
    ちょうど、「世界は贈与でできている」という本と並行して読んでいたのだが、相手の言語ゲームを理解する専門家が臨床心理士なのではないか、とぼんやり考えながら読んでいた。
    公認臨床心理師という名称への違和感のパートが面白かった。確かに、公認の心、というのはなんだろう。心はいつも私的で小さなストーリーが溢れているところだから。

  • 「私たちの心は、誰かの心の中で発生する。」という部分に共感。

  • 蔵書(千葉1)
    新刊(千葉1)

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著者プロフィール

1983年東京生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)・臨床心理士。専門は、臨床心理学・精神分析・医療人類学。白金高輪カウンセリングルーム主宰。著書に『野の医者は笑う―心の治療とは何か?』(誠信書房)『居るのはつらいよ―ケアとセラピーについての覚書』(医学書院)『心はどこへ消えた?』(文藝春秋 2021)『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』(新潮社)など。『居るのはつらいよ』で第19回(2019年)大佛次郎論壇賞受賞、紀伊國屋じんぶん大賞2020受賞。

「2022年 『聞く技術 聞いてもらう技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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