違国日記(9)【電子限定特典付】 (FEEL COMICS swing) [Kindle]

  • 祥伝社
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  • 朝の成長を感じる9巻。槙生ちゃんは絶賛スランプ中。スランプ中であることを隠さない槙生ちゃんはダメな大人かもしれないし、その姿を朝に見せることができるぐらい、家族になったとも言えるし、この二人の関係性の変化が面白い。朝は朝で学校に部活にまだまだ狭い世界だけど、それでも感じること、思うことはあって、一生懸命何かを考えている。親という後ろ盾を失ったことで、自立とか成長を促されたかもしれないけれど、遅かれ早かれ自立なり成長なりはしなくてはならないわけで。槙生ちゃんとその周辺の大人たちとのつきあいが、朝にとって面白い変化であることを願う。

  • 槙と朝の距離感★★★★★

  • 高校生の成長物語として読んでるんだろうけど、同じような悩みを多少は今も抱えてる。いつまでたっても変わらないというのは言い過ぎだけど、あまり変わっていないくらいはいえるのかも。
    生まれてこのかた、あるよ、無力感、あるよ。世の中ついでに生きてたいよ。

  • 成長・自立を強要しなくても、子どもは勝手に、それこそするすると大人になっていくということか。

  • 大学入ったら軽音やめるとかやめないとか。なぜ槙生が小説を書くのか。

  • 物語のテンポが、語りかけつつ、静けさもある。読者に思考させる良い間があり、物語を振り返させる。キャラクターの絵と、成長と理解の物語。読んでいると、美しさ、尊さを感じます。

  • この巻では朝の成長が見れるだけでなく、朝と同じ世代の子どもたち全体に対する槙生の責任感が感じられる。

    9巻で一番大きいのは、朝の「やめる人とやめない人の違いは?」という問いに対する槙生の「やめられないことを才能と思うことにした」という答えだと思う。

    以下、このセリフに対する解釈:

    アドラー心理学的な発想では、「私」は他の誰とも交換できない。だから、あなたは「私」(=自分自身)の人生を生きるしかない。だからこそ、現在の自分をスタート地点に「私」がどう生きるかはいつでも自分で選択できる。つまり、人間はいつでもなんでもなれる。

    そこから考えると、「万人にとっての才能」ではなく、「「私」の才能」というものがあるのではないか、と思う。これは、人によって才能を発揮できる対象が異なるという意味ではなく、「たとえ同じことをやっている人同士で合っても得意だったり向いている理由が人によって違う」ということを意味である。つまり、「私がAを生業にしていることをささえている『才能』は、他の人がAを生業にしていることをささえている『才能』と同じとは限らない」ということである。

    なぜかというと、「私」と他人は別の人間である以上、ある人の『才能』を「私」や別の人に移植できたとしても、同じように機能するとは限らないと考えらえるからである。この帰結として、ある人が持っている『才能』を「私」が持っていなかったとしても、それは「私」が何かをしない理由にはならない、ということになる。

    その意味で、やめられないことを才能と捉えるのは、「私」の才能」の発見であり、「私」の人生の捉え直しであり、退路を経って「私」の人生を選択する覚悟であり、同時に、今後の人生への希望でもある。

    ここまで考えを進めると、槙生の小説家としての才能を巡る朝の悩みというストーリーラインと、槙生の朝(たち)に対する「何にでもなれるよ/なっていいよ」という想いのストーリーラインはつながるのではないか。そう感じる巻だった。


    あと、笠町くんの中で、「槙生に嫌われたくないと考えること」と、「父親から愛されていなくても自分に価値がないわけではないと考えること」がどう両立しているのか気になった。
    「私」の話を敷衍すると、「父親から愛されていなくても自分に価値がないわけではない」というのは当然の帰結。他人は自分がコントロールできないものだから、それは前提として受け入れて、それでも「私」は幸福に生きることを選択できる。また、他人は自分のために生きているわけではないから、「万人に愛されることはできない」。
    だからこそ、「私が誰に愛されたい/嫌われなくないかは私が決める」ということなのではないか。つまりこれは、(「誰に愛されたいか・誰を愛したいか・誰のそばにいたいか」も生き方の範疇だとすると)生き方の自己決定権の話なのかもしれない。
    ここまでくると、この話も朝や槙生のストーリーラインとつながるのかもしれない。「人」を『才能』に置き換えると整理される気がする:「「私」は全ての『才能』に愛されるわけでない」「「私」がある『才能』に愛されなかったからといって自分に価値がないわけではない」

  • 購入済み 読了

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