むらさきのスカートの女 (朝日文庫) [Kindle]

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  • 朝日新聞出版
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感想・レビュー・書評

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  • 第161回芥川賞受賞作。友達になりたいというわたしが、「むらさきのスカートの女」について語りかけてくる小説。
    都市伝説のように紹介する導入部から韻文のように「むらさきのスカートの女は…」と何度も繰り返される。わたし(黄色いカーディガンの女)自身も透明人間のように描かれている。その後、わたしの目論見通りに同じ職場で働くことになるが…
    エンタメ小説と違って、仕事を極めるとか処世術とかお金のこととかには行かない。一瞬、テルマ&ルーズのような展開になる?と思わせるが、そうでもなく、でも、このちょっと怖くて不思議な世界にどっぷり浸かっていた。
    それにしても、「むらさきのスカートの女は」と何回連呼しているのだろう?

    • みきっちさん
      カムニャンさん、初めまして^_^。
      ザリガニ、の方でいいね、ありがとうございました^_^
      むらさきのスカートの女、、何回言うねん!ですね笑
      ...
      カムニャンさん、初めまして^_^。
      ザリガニ、の方でいいね、ありがとうございました^_^
      むらさきのスカートの女、、何回言うねん!ですね笑
      テルマ&ルイーズ!!懐かしい!ヽ( ̄д ̄;)ノとなりました。それが言いたくて笑
      失礼しました>_<
      2024/03/08
  • 不思議なお話だった。
    ご本人の解説が最後にあり、芥川賞受賞までの、ご本人のそれまでと、心の動き、そして受賞日当日の電話待ちの心境までがみえる。

    むらさきのスカートの女と、黄色いカーディガンの女が登場するが、それが書かれたとおりの2人なのか、実際には1人なのか、読み手によって分かれるだろう。ちょっと不穏な空気感は今村さんならではでは。なかなか引き込まれる。私は一気読み。
    いろいろな解釈があるだろうし、あとがきにあるように、ご本人の職歴や考え方にも密接に関係している。この解釈がいろいろありうる、というところから私は中学高校のときの国語の授業(わたしは苦手だった)を思い出した。私にとってはちょっと苦い思い出である。読み手は自由に解釈していいんだとおもいます~

    ご本人の性格といえば、受賞待ちのときに編集者さんと一緒にいたのは回転展望レストラン。ぢの看板にまつわる思い出があり、『ぢになった吉井』の話を切り出したいのだけれど、なかなか言い出せない。360度回転して、もう一度見えてきた『ぢ』の看板。もんもんとするなか、1時間経ってしまった。やっときりだしたとき、携帯が鳴る。

    今村さんが、あとがきからみえてくる。

  • むらさきのスカートの女を主人公が観察し続ける話。

    ある意味ストーカー行為をしている人の思考と重なってしまうのかもしれませんが、読み手としてはドキドキしながら先を読みたくなってしまう。

    不気味な中に笑える表現が散りばめられ、楽しくテンポ良く読めました。賛否両論ありそうですが、私は好き!オススメです♪

  • 「むらさきのスカートの女」と友達になりたい<わたし>の視点で描かれた物語。最初はクスっと笑いながら読んでいたはずなのに、だんだんと背筋がゾクッとしてくる感覚があった。文章が読みやすくてリズムもよく、ページをめくる手が止まりませんでした!

  • Kindle Unlimitedで読了。今村夏子さんの芥川賞受賞作です。
    先日、村田沙耶香さんの『コンビニ人間』を読み終えましたが、2作品ともとても読みやすい。サクサク読めました。私が昔読んだ芥川賞は、私が若かったこともあると思うけど、当時はおもしろいと感じることができませんでした。でもこの2作品は、両方ともおもしろく読めました。

    今村夏子さんの『むらさきのスカートの女』ですが、読んでいてなんだかデジャビュのようなものを感じていました。そうして思い出したのが、高橋留美子さんの『らんま1/2』で九能帯刀が女らんまを呼ぶときの『おさげの女』でした。女、女と連呼するところが、共通していたんですね。九能帯刀は相手の名前がわからないからこのように呼んでいました。
    物語の語り手である「わたし」は、「むらさきのスカートの女」が「日野まゆ子」という名前だととうに知っているにもかかわらず、「むらさきのスカートの女」と物語の中で言い続けます。
    終盤では
    『わたしは静かに首を振り、権藤チーフではないよ、と言った。 「わたしは、黄色いカーディガンの女だよ」』
    と、「むらさきのスカートの女」に言うのです。

    この小説は、「わたし」という語り手が「むらさきのスカートの女」と友だちになりたくて、だけど実際に友だちになろうとするような行動は起こさずに、「むらさきのスカートの女」の私生活をひたすらつけ回すというお話です。さらに「むらさきのスカートの女」に良かれと思う行いを陰でしています。
    最初は「むらさきのスカートの女」の描写が不気味に思えるのですが、だんだんと語り手の「わたし」が奇妙なもののように思えてきます。「むらさきのスカートの女」を自分の勤めるホテルに就職するようにし向け、「むらさきのスカートの女」を見守る?見張る?ために遅刻や無断欠勤までしています。「わたし」が語る「むらさきのスカートの女」の噂話や職場での様子、私生活の描写が延々と続くお話なのですが、最後まで飽きずに読めました。「わたし」は奇妙ですが、「むらさきのスカートの女」も、奇妙といえば奇妙です。ホテルの清掃スタッフとして就職すると、「髪はパサパサのボサボサ、爪は真っ黒のむらさきのスカートの女」がみるみるうちにきれいで健康的な女性に変貌し、最初は遠慮深い様子だったのが傍若無人になり、さらに所長と不倫までしてしまう。
    奇妙な「2人」が、最終的にどのように関係を持つのか?
    最後まで奇妙な余韻の続くお話でした。

  • いやな感じの話だったなあ。(いい意味で)
    地域に1人はいそうな謎のおばさん(おじさん)とか、職場の人間関係とか、手のひらを返す人々とか、上司との不倫と無言電話とか、社会の中で実在する、座りの悪い気持ち悪さをキュッと詰め込んで読みやすくしたような。
    黄色いカーディガンの女の存在も、ヒヤリとまではいかないちょっとした気持ち悪さがある。
    終わり方もちょうどよくて、トリックすぎず、謎めきすぎてもいない。
    作者のあとがき(エッセイ)を読むと、逆で天才なのかと思うよこの方。

  • 読んでいるこっちがなんか不安になる話だった。
    え、この人やばいよ…でもそのことに気づいてない、、、、みたいなのがずっと続く感じ。
    サクッと読めて面白かったけどなんともいえぬ読後感。

  • 気持ち悪さがぬぐえない作品だった。
    (面白い意味で)びっくりするような怖さはないが、雨の日にじわじわと靴の先が濡れてそこから靴下が濡れて足先が冷えていくような感覚。
    語り手の情報があまりにも少なく、むらさきのスカートの女の情報の方が遥かに多く、謎解きのような感じもある。書評でもかかれていたが、語り手がむらさきのスカートの女を考えることで、私たちが語り手について考えることになる。いままでにない感覚だった。

  • むらさきのスカートの女の事が気になる
    主人公の物語
    段々 話が進むにつれ 
    主人公のむらさきのスカートの女に対しての異常な執着性
    が不気味で鳥肌が立ちます。
    芥川賞受賞作品だから 難しい文章とか 四字熟語とか
    出るのかなと思いましたが
    普通に読みやすかったです。
    何気にホラー感が出てたので夏に読むと良いかもしれません。いや〜面白かったな〜

  • 「なにも起こらないのに面白いと話題」と帯に書いてあったので本屋さんでずっと気になっていました!
    読んでみると本当に別段なにも起こらない、です。
    でも、何か面白い。
    「むらさきのスカートの女」を私自身も近くで一緒に見ているようなリアル感、そして実は実際に私のすぐ近くにもむらさきのスカートの女がいるんじゃないかな?と不思議な感覚になってきます。

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著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。

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