私が陥った中国バブルの罠 レッド・ルーレット:中国の富・権力・腐敗・報復の内幕 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 1968年上海生まれの著者が、現代中国で経済的強者として成り上がるプロセスを赤裸々に描いたもので大変興味深い。
    著者が香港で成長し、ウィスコンシン大で学んだことが西欧的な自由主義の考えを根ずかせつつも、妻の指導と影響で中国の人脈重視の政治(特に共産党)のコネの世界で経済的に発展していく。
    その過程で赤い貴族と言われる共産党幹部の子弟の堕落・腐敗ぶりや賄賂や利権の分配、硬直した行政機構、利権化する裁量権と言った生々しい事実を実名で上げて浮き彫りにする。
    著者は経済的成功を収めるが、中国を離れ(いられなくなった)、彼に大きな影響を与えコネを重視し続けた元妻は、消息不明となった。
    習近平の中国において腐敗撲滅のキャンペーンの名のもとに反対勢力一掃、権力基盤の強固化が図られている現代に通じる。
    香港の民主化運動に対する印象や弾圧方法の裏側も興味深い。
    欧米の中国に対する変化の可能性を見誤った(中国共産党の権威主義の根深さを見くびった)点も指摘される。

  • kindleでまとめ買いしたので。英語版から興味はあったんですが、さすがい英語じゃなあ。。。とおもってたら翻訳が出たので。訳者のあとがきにもありますが、ジャンル的には「暴露本」の域を出ないものではあるものの、「やっぱりそうなのね」的な部分が多々あり、「これを中国で読んだら始末されるな。。。」って感じですね。政府要人などとの「関係」と人との「信頼」「面子」を重んじる(よく書けばですが。。。)ことはわかっていましたが、改めて読んでいくと、中国でのビジネスがどれほど難しいかわかりました。「政治は富を作るが、富で政治はできない」これだけ書くと名言っぽいですが、実際は、「要するに権力をいいように使ってるだけでしょ!!」って話と「共産党の考えってやっぱり脈々と流れてるのね。。。」っていうことがわかります。と同時に、習近平の独裁ぶりがわかるなあ。。。その根底には、中国の世界制覇があるのかなあ。。。とか思った次第です。

  • 「共産党が権力を独占している中国では、人が謎の失踪をするのは珍しくない」という冒頭に近いところの記述で本書が伝えようとしているリアリティに気付かされる。
    習近平のことを中国人は「全面主席(万能の主席)」と呼ぶらしいが、毛沢東時代の個人水肺に逆行していることは事実のようだ。それも競争相手や後継者候補が出世コースから外されたり、投獄されたりすることで、彼の地位が強固なものになる。
    中国資本主義を引っ張ってきたデズモンド・ジャム氏のような英国に逃げ出している今、本書を読んでも、中国はどちらに向かおうとしているのか、ますます疑問が増してくる。

  • 【中国においては、政治が富を生み出す鍵であって、富が政治を動かす鍵なのではない】(文中より引用)

    中国共産党と組んで巨万の富を得た著者と元妻のホイットニー・デュアン。栄華の極みに達していた2人であったが、ある日突然ホイットニーが失踪を遂げてしまう。いったい彼女の「消失」の背景には何があったのか──。著者は、現在はイギリスに在住しているデズモンド・シャム。役者派、ノンフィクション系の翻訳を多く手掛ける神月謙一。原題は、『Red Roulette: An Insider's Story of Wealth, Power, Corruption, and Vengeance in Today's China』。

    中国における権力劇というのは、規模の面でも苛烈さの面においても日本のそれとは比にならないんだなと再確認。共産党と企業家たちとの関係性の一端を見事に切り取ることに成功した稀有なノンフィクションだったと思います。

    映画のような内容を地で行くような話でした☆5つ

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著者プロフィール

デズモンド・シャム(Desmond Shum)
1968年に上海で身分の低い教員の家庭に生まれる。9歳のとき香港に移住し、名門の皇仁書院に入学する。アメリカのウィスコンシン大学で金融と会計を学び、1993年に卒業、香港に戻って株式仲買人となる。その後、投資会社に勤務しているときに、のちに妻となるホイットニー・デュアンと出会い、共同で都市開発事業に乗り出す。二人は、改革開放の好景気に乗って、北京空港の物流センターや北京中心部の再開発などの事業を成功させ、莫大な資産を築く。現在はホイットニーと離婚し、一人息子とイギリスに在住。

「2022年 『私が陥った中国バブルの罠 レッド・ルーレット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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