82年生まれ、キム・ジヨン (ちくま文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • よく聞く本だったので読んでみました。
    ドラマの『SKYキャッスル』でも韓国事情は少し知っていたのですが、そのほかの性差別的な側面がよく分かりました。
    また、特定の誰かではなく、ありがちな人生という視点で描かれているのも面白かったです。

    (批判の意はなく)韓国と日本で違う点は多分にあるのだなと改めて感じさせられます。

  • 読んでいてなかなか辛い内容なのだが、日本はもう少し状況が改善されているかと思いつつ、韓国が少し遅れているかもしれないだけの話で、日本も状況はほぼ同じことに気づいて愕然。
    あえてレポート調の淡々とした文体なのがより怖さとどうしようもなさを浮き彫りにする。
    男性が読んだらどう思うのか気になる。

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  • 生まれた年代も国も違うのに共感できるエピソードが多く、女性の生きづらさが普遍的であることを実感した。
    読了後は心が沈むが、女性蔑視が浸透している社会で軽く扱われてきたあらゆる理不尽や不公平が可視化されたこと、そしてこの作品がたくさんの国で翻訳され、売れていることに希望がもてる。
    ジヨンの娘が生きる未来を、より良いものにしたい。

  • 韓国では男尊女卑が激しいとは20年前聞いていたけど、ここまでとは…。
    読んでいて辛かった。
    子を産み育てる事はとても素晴らしく、尊い事だと昔は考えられていたけれど、今は個人主義、自分のためという考えが定着しつつあるため、出産育児がマイナスに思われてしまっている事が残念。
    他に愛着が持てなくなってきたのかな。

    妻が同じ経験をしていると、自信を持って診察した精神科も結局は考え方が全く変わってない(本人気づいてない)最後の一文、皮肉だなぁ。

  • 細かい男女差別の描写が一つ一つリアルすぎて心が痛かった。淡々と描いている口調もまた堪らなく哀れな気持ちになった。

  • 韓国における女性と男性の教育・就職・所得などにおける格差を、キム・ジヨンという一般女性の人生をなぞる形でリアルに描いている。

    日本でも同様の問題は未だ根強く残っている。
    実際、本書を読み進める中で、自分自身の経験とも重なることが多かった。

    本書に出てくる男性陣の態度にも言えることだが、おそらく男性側に女性を差別しようという積極的な意思はない。
    この問題は、だからこそ、厄介なのだ。

    当然のごとく与えられた特権を享受しただけで(享受していること自体に無自覚な場合が多いが)、まるで犯罪者かのように非難されてしまうのだから、男性陣が戸惑うのも理解できる。

    だが実際、多くの女性が、当たり前のように何かを諦める(それは仕事かもしれないし、家庭かもしれない)ことを強いられているのだ。

    「自分は女性を差別などしていない」「男女平等というなら収入面でも折半が妥当」などと考えている人にこそ、この本を読んでほしい。

  • タイトル通り1982年生まれのキム・ジヨンさんの生まれてから、結婚・出産までの半生をたどっていくノンフィクッションぽい小説。その時代で起こっていた女性差別を受けながらも、懸命に生きるジヨンさんを見習わないとなと思いました。

  • 韓国社会の男尊女卑文化を、これでもかと紹介している。韓流も、日韓の政治的なしがらみも関心がない自分としては、この物語が真に近いかは知りようもないが、どこにでもいそうな女性の半生を綴ることで韓国社会の歪みを著した本作は、とても生々しい印象を受けた。韓国では、本作を女性が読んだと発言しただけでバッシングされるらしい。どんだけ。

    ストーリーらしきものはなく、普通の女性の生活が淡々と語られる。ギョッとした内容をピックアップしてみる。 男を産まない女性は価値がない(女を産むと、「次は男ねと圧」)。家族の中で、部屋もごはんも男が最優先。就学も男優先。就活も女性が圧倒的不利。就職後も、男は辞めないように軽い仕事が与えられるが、給料は女性より多い。妊娠したら大体退職、再就職先ほぼなし(アルバイトしかない)。苛烈なのが、90年代まで女の子を身ごもると、堕胎が横行していたということ。どんだけ。
     
     儒教的文化とか、色々理由がありそうだけど、徴兵制も男女の分断に一役買ってそうだ。男性側は、徴兵の期間によって、就活面など不利になることが多いとの認識がある。いざとなったら、国を守るのは自分達だとも。
     徴兵制自体が時代錯誤の気がするけど、男性のみってのが更にずれている気もする。軍隊にも普通に女性兵士はいるし、どうせ徴兵するなら男女分け隔てなくやればいいのに。近代戦に素人兵士は邪魔とも聞いていたけど、ウクライナはもはや一般人男性もアテにしてるし、状況が混迷を深めれば、最後は腕力頼みなんだろうか。

     これが韓国の実態なのかと興味深くは読んだが、主人公がノイローゼになって、色んな女性に憑依される件は、特に回収されることなく終わる。アレが必要だったかは分からないけど、前段のホラー要素で引き込まれたのも確か。この韓国社会の描写が、果たして的確なのか、より知りたいとは思った。

  • 文学的な面白さはないけれど、韓国女性の近代史入門として最適。韓国の女性もこんなに大変だったって、隣の国なのに全然知らなかった。女性キャラの指摘がどれも非常に真っ当で公正だからこそ、これだけ共感を呼び話題になったのだろう。果たして男性はどう読むだろうか。

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著者プロフィール

チョ・ナムジュ:1978年ソウル生まれ、梨花女子大学社会学科を卒業。放送作家を経て、長編小説「耳をすませば」で文学トンネ小説賞に入賞して文壇デビュー。2016年『コマネチのために』でファンサンボル青年文学賞受賞。『82年生まれ、キム・ジヨン』で第41回今日の作家賞を受賞(2017年8月)。大ベストセラーとなる。2018年『彼女の名前は』、2019年『サハマンション』、2020年『ミカンの味』、2021年『私たちが記したもの』、2022年『ソヨンドン物語』刊行。邦訳は、『82年生まれ、キム・ジヨン』(斎藤真理子訳、ちくま文庫)、『彼女の名前は』『私たちが記したもの』(小山内園子、すんみ訳)、『サハマンション』(斎藤真理子訳)いずれも筑摩書房刊。『ミカンの味』(矢島暁子訳、朝日新聞出版)。『ソヨンドン物語』(古川綾子訳、筑摩書房)が近刊予定。



「2024年 『耳をすませば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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