マッチング・アプリ症候群 婚活沼に棲む人々 (朝日新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 著者の方の年齢がわからないけど、マッチングした人の年齢を見るにそれなりの歳なのだろうか。バツイチ男性たちのだから離婚されたんだよ的ダメさ加減や奥手男子たちの悲喜交々を読みながら自分の婚活時代を思い出したりしつつ読んだ。

    客観的に書いたとあるけど、けっこうバイアスかかっているのでは?と思わないでもないけど、こういう男いるいるとは思うのでそれなりにリアルだとは思う。

    やはりマッチングアプリでの婚活は大変そうだな、自分には無理だなと改めて思った。

    すぐに読めちゃうのでマッチングアプリに興味ある人は読んでみてもよいと思うけど、参考になる的な本ではないように思う。出てくる人の年齢が高いので若者には特にそう思う。

  • マッチングアプリ症候群 2023
    婚活沼に棲む人々

    発行日2023年6月30日
    著者 速水由紀子(はやみゆきこ)


    ジャーナリスト
    速水 由紀子(はやみ ゆきこ 1959年 -)は、日本のフリージャーナリスト。日本女子大学家政学部住居学科卒業。新聞記者を経て雑誌記事や著書の執筆、講演活動などを行っており、若者・夫婦・家族などの問題について綿密な取材を基にしたルポルタージュで描写・分析している。
    桜井亜美名義で小説家活動も行なっている。この点について公表か非公表かがしばしば論争の的になるが、本人はデビュー直後の朝日新聞のインタビューにおいて「自分の筆名が桜井亜美である」旨を公言している。にもかかわらずいまなお話題に上がるのは、氏が速水由紀子サイドとしては公表するが桜井亜美としては一切を語らないというポリシーを初志貫徹しているためと思われる。

    Wikipediaより
    日本女子大学家政学部住居学科建築専攻を卒業後、新聞記者を経てAERA「現代の肖像」などで人物ノンフィクションを執筆したり、映画、本のレビューや、著書の執筆、講演活動などを行っている。若者・夫婦・家族などの問題について、綿密な取材を基にしたルポルタージュや評論、インタビューで描写・分析する。

    フリージャーナリスト
    大学卒業後、新聞社記者を経てフリージャーナリストとなる。『AERA』他紙誌での取材・執筆活動等で活躍。女性や若者の意識、家族、セクシャリティ、少年少女犯罪などをテーマとする。映像世界にも造詣が深い。著書に『あなたはもう幻想の女しか抱けない』(筑摩書房)、『家族卒業』(朝日文庫)、『働く私に究極の花道はあるか?』(小学館)、『「つながり」という危ない快楽 格差のドアが閉じていく』(筑摩書房)、共著に『サイファ覚醒せよ! 世界の新解読バイブル』(ちくま文庫)などがある。

    以上のような経歴の著者によるマッチングアプリ潜入記。
    書く本人の潜入調査は大切だ。
    臨場感が全く違うからだ。
    本書を読んでいるとUNIQLO潜入取材をした横田増生氏を思い出す。
    内容は極めて示唆に富むものだった。
    ただ本人のX(旧Twitter)の写真が何か違和感を覚える感じなのが何とも・・・マッチングアプリ上の写真もこんな感じだと個人的にはひっかかるが・・・
    話を戻す。
    題名にあるようなマッチングアプリに長い間漂う人々へのインタビューを通じて、この新しい男女の出会い方の現実、効率的な使い方、問題点、日本の村社会的な部分を打破する可能性などが述べられている。マッチングアプリ以前の結婚というもの、パートナーシップとは何かを学ぶことも出来てその意味でも有意義だ。今どきの結婚活動でマッチングアプリの存在抜きはまずあり得ないであろう。もちろん本書を読めば結婚できるとは言い切れないけれども、効率的な苦労ができるだろう。
    私も数年前マッチングアプリを使い結婚したい人と出会えた。当時参考にした情報源も限られており、ネットで検索しても運営元とつながっていると思われる宣伝記事が多かった。また使い方や感想などは個人のブログやつぶやきを含めた個人の活動の枠内に留まっているものばかりだ。だから、まとまった情報としての本書の価値は高い。
    マッチングアプリを使う使わない以前に女性とのパートナーシップを実現するという考えを軸に据えないと何やっても意味ない。だからその心構えの所が最も重要だ。マッチングアプリのない時代でもそうだったろうが・・・
    個人的にはあと、マッチングアプリに限らないけれども、婚活では土日休みの仕事でないと相手と時間を合わせて物理的に会うことが難しかったなと思っている。シフト制の時はマッチングしても実際に会うことが難しかった。日程の調整してる間にフェードアウトという感じがした。
    個人的には結婚とは人生で共に生きる同盟者を探す事だと思っている。パートナー捜しの方向性として、間違えていなかったことが結果として相手と出会う事に繋がったと思っている。
    あとは自分自身の趣味などで強固なルーティンを持たなかった事が幸いしたように思う。
    趣味が読書、漫画、映画・・場所を選ばない趣味だったのも良かったかもしれない。


    印象に残った点

    現在は結婚する5人に1人がマッチング・アプリを使っている。しかし断言しよう。10年以内に半数以上がアプリ婚になる。なぜなら個人のパートナー探しは村社会の掟や同調圧力とは全く無関係な所で行われるべきで、日本社会でその条件を充たす場所はアプリの中にしかないからである。

    家制度こそが子育て、家事を全て妻1人に背負わせて絶望させるワンオペの元凶であり、日本をジェンダーバイアス底辺国にしているミソジニー文化の源なのである。そして若い男性たちには「家を背負う財布」として、年収で結婚相手候補として見切られる恐怖感を与え、結婚を諦めさせてもいる。つまり結婚数の減少、少子化の原因は、そもそも日本の伝統的な結婚の目的とされていた家制度の継続そのものなのだ。

    パートナー探しは家の継続システムでも社会的システムでもない。誰かと人生を共にし、協力し合う相方として選ぶというただそれだけのシンプルなことだ。

    マッチング依存症とは特別な人たちではない。この誰にも邪魔されない居心地がいい結婚沼の中で、リアル社会で失った事故承認感を取り戻そうとしている人々なのである。不足している自己愛を「いいね!」の数に換算して生きる糧にしている男性、裏切られた恋愛の代償に「いいね!」をコレクションする女性、結婚相手としての自信のなさやフェティシズムへの渇望を20歳年上の女性とのマッチングで埋める男性・・・。それぞれが「いいね!」やマッチングを、自己肯定のエネルギー源として活用している。

    マッチング・アプリの最大の利点はうるさい世間の目がないことだ。親も親戚も職場の同僚も上司も、アプリの中の言動までは口を出せない。

    真剣に相手を見つけようとすると「ここを直さないと」という自分の弱みが見えてくるのは当たり前だ。それを自覚できるかどうかが婚活の勝敗の分かれ目でもある。

    また熟年離婚で妻に去られた男性も目立ったが、自己演出やコミュニケーションのスキルの低さ、パートナーシップの欠落に唖然とすることも多々あった。
    指名手配のような仏頂面の自撮り写真。自己紹介の絶望的な寒さや投げやり感。コンビニ弁当はもう嫌、手作り料理が食べたいという家政婦募集感・・・。見ていると「自分をよく見てもらいたい」「好かれたい」という気持ちをかたちにできない辛さをひしひしと感じる。その砂を噛むように味気ない自己紹介こそが、彼らが結婚できない理由そのものなのだ。
    さらに脱ミソジニー社会への反省や、妻に子育ての重い負担を押し付けてきた自己改革への向上心も見られない。ここで向上心を発揮してくれれば、社会全体のジェンダーバイアスの改善にも繋がるはずなのに。

    私自身は昭和の名残りを残す制度としての結婚にまったく魅力を感じていないのだが、マッチング・アプリというシステムには強烈な魅力を感じた。何しろこれはゲームなのである。ゲームといってもルールはごくシンプルだ。「いいね!」を送って相手からも送ってもらって、会ってパートナーシップを結べばいいだけ。別に勝ち負けとかはないし、高得点でチャンピオンになるとか低得点で失格になるとかもない。

    夫婦別姓や事実婚、同性婚なども今、法的に認められなければ結婚の現状に追いつけず、混乱や少子化を増すだけだ。パートナー募集者も1人で生きたい人も、とりあえず1年間マッチング・アプリで婚活することをお勧めする。重ねて言うがあなたの「いいね!」次第で、真に平等なパートナーシップと出会う可能性も(意外なほど)ある。
    自分に本当にマッチングする相手なんかいるわけないという絶望感から虚無を経て、本当はどんな関係性を求めていたのか驚きの真実に目覚めるはずだ。

    欧米でシステムの根幹が作られたマッチング・アプリは、ミソジニー国家日本の中でレアな治外法権地域だ。アプリの中では妻にワンオペさせるパートナーを無能と責めるのは当たり前だし、子育てに参加しない夫は夫ではないし、経済的な対価が発生すべき労働にパートナーを無償で巻き込むのは搾取である(特に女性に「家業だから」と合意なく押し付ける場合)。

    私が話を聞いた男女は、皆、結婚制度に嵌め込まれて他人の人生のパーツになることを拒否し、自分自身であるための結婚を模索していた。

    「条件」ではなくて「パートナーシップ」
    その意味はおわかりだろうか?
    年収や肩書き、学歴という可視化できる条件も参考にはなるが、1番大切なのは相手との関係にどれぐらいの時間、コスト、労力を使うかの覚悟だ。
    別に相手は鬼畜の雇用主じゃない。悩んでいる時に寄り添ってほしい、子育てで死ぬほど忙しい時にきちんとサポートしてほしい、病気で倒れた時に食事を作って看病してほしいという当たり前の欲求を持つ相方だ。
    その当たり前ができなければ、あなたは結婚や同棲を望む資格はない。ゲームならいくらでも時間を注げるが、パートナーの悩みを聞いたり皿洗いや保育園の送り迎えはできないなら、生涯独身でどうぞ。

    もし私にアドバイスできるとすれば、こう言いたい。
    「バカ高い結婚相談所はやめろ。中高年に強いマッチング・アプリ3つに登録し、腕のいいプロのカメラマンに3万円ぐらい払ってプロフィール写真を撮ってもらえ(ネットでいくらでも見つかる)。一生に一度の結婚チャンスのために、家事子育てのフィフティ・フィフティのサポートをする心構えをしろ。そして自己紹介にはこう書け。
    <もしあなたが顔や年収でお相手を探しているなら、僕には無理です。でも何があってもあなたを守って笑顔にし、家事、子育てを平等に負担する働き者のパートナーを探しているなら、僕にもチャンスがあります。あなたがシングルマザーでも年上でもバツがいくつあっても、相方として誰よりも大切にできると保証します。
    僕にできることは、力仕事、電気修理、家具補修、配管掃除、水回りの修理点検、風呂掃除、家事の分担、お悩み相談(何でも)休日の食事作りや子供の世話、保育園・幼稚園の送迎、保護者参観、運動会、病気の時の看病、セクシャルパートナー、老親介護の相談協力、犬猫の世話まで、強力なパートナーとして一家に1人、必要な人材です>

    若い女性が富裕な熟年層との結婚を玉の輿と捉えるなら、経済的に不安定な男性がそこそこリッチで経済、精神共に安定した熟年女性との逆玉マッチングを望むのも理解できる。こうした男性は一昔前のツバメ的関係やペット的関係を望むのではなく、居場所としての関係性を欲している。その条件は3つだ。
    1高い家賃を払わなくてすみ、それを責められることもない自分のスペースが欲しい
    2人間として尊重してもらえる包容力が欲しい
    3非正規やフリーターであることに負い目を持ちたくない

    うるさい家を出たいが家賃や生活費を考えると荷が重いという非正規30代男にとっては、同世代や下の世代の女性との結婚は経済的な負担を増やすだけだ。その上、子供ができたら完全にギブアップ状態だろう。それと真逆に自分1人で充分やっていけて、なんなら部屋に家賃なしで転がり込めるかもしれない年上女は、恋人として魅力的な案件なのかもしれない。

    下降する日本経済と共にどんどん貧乏になり、結婚の壁が高くなりすぎて手が届かない30代、40代の男性にとって、年上女性とのマッチング婚は素晴らしい救済の手段だ。

    もし妻の給料が払えないなら、今まで通り1人で働けばいい。妻だから夫のやっている家業を無償で手伝え、という考えはもう昭和で終わっている家制度の名残りだ。

    LINEは確かに便利だ。しかもビデオ、電話は無料だし、写真やファイルを送ったりグループLINEができたり、様々なオプションがある。だが万能ではない。過度に頼ると言葉一つに振り回される。
    特に婚活にLINEが絶対必要なアイテムとなってしまった今、LINEを使い慣れていない人、テキストのチャットで気持ちを表すのが苦手な人はかなり不利だ。

    同じマッチングから始まってLINEやビデオで展開する交際でも、その後のツールの使い方やスキルの巧拙でまったく異なるステージに繋がる。そこもRPGゲームとの共通点だろう。

    お互いにこの距離感(相手のノリと成り行きに任せる粉かけ的な会話)で会話をしていると、本音はほとんど伝えなくなり、カップリングしたとしても、本当の意思疎通ができなくなる。それに加えてSNSやアプリには負のリアクションを避けるネガ回避構文が蔓延している(ネガ回避構文とは私の作った造語だ。負の感情を呼び起こすような会話を避け、無難な会話に落とし込もうとする若い世代の特徴的な話法を指す)。
    その影響で、多くの若い世代のカップルは喧嘩をしない。本音を言わないまま別れる、離婚する、という不自然な状況が既にデフォルトになりつつある。

    複数進行の人とのアプリやLINEの会話は、常に細切れで中身が薄い。答えたくないものには答える必要もなく、それでも責められることもない。
    しかし、マッチング・アプリ症候群になってこの会話に慣れてしまうと、普通のLINEのやり取りが難しくなる。

    それはアプリで知り合った関係で深く傷つくことがない、ということだ。例えばマッチングした人が何らかの理由でフェイドアウトしてもせいぜいかすり傷で、一週間も経てば「そんなことあったっけ」と忘れられる。アプリでは初めから相手にとって自分が取り替え可能な存在だと認識させられるからだ。
    これはユーザーがアプリ入会後すぐに学ぶ、「選ばれないのは自分のせいじゃない。偶発的な競争原理のためだ」という感覚のおかげだ。この修羅場がないゆるい感じが、アプリ隆盛の最大の理由でもある。

    本命じゃないかもしれないがとりあえずマッチングしておこう、会話を続けて様子見しよう、という微妙な距離感はアプリならではのものだ。このゲームのポイント稼ぎ的なゆるさがあるから、フラれた時もそんなに衝撃を感じなくてすむ。

    そもそもマッチング・アプリのルーツは米国生まれの出会い系サイトだった。だからこうしたゲーム的な側面も仕方ないことかもしれない。
    元祖は2012年、米国で生まれて大人気となった出会い系サイト、Tinderだ。スワイプで「好み」と「可能性なし」を決め、好みならプロフィールを見てlikeを送るかどうかを決める。マッチング・アプリ各社の基本的なゲーム感覚の仕様はこのTinderから踏襲しているからまだ歴史は浅く、ほんの10年強だ。

    つまり、恋愛になるかもしれない可能性が、瞬時に「ゲーム」に変化するということだ。複数の相手とやりとりしていれば無意識に心の中で優先順位がつくし、天秤にかけることもあるはずだ。だからこちらも同じように身構えてしまう。
    これがマッチング依存症の最大の副作用である。
    誰と会っていても自分が相手にとって唯一無二ではなく比較される存在なので、心理的には採用試験とよく似ている。

    この20年間で女性の意識は画期的に変化した。熟年離婚をされた男性側はポジショニングとしての結婚幻想を捨て、生活パートナーとしての魅力やスキルを磨く努力が必須だ。それができなければよほどの富裕層でもない限り、アプリ婚活が実を結ぶことはない。

    AIによって好みや検索などのフィルター機能が働くアプリでの出会いは、使い慣れるにつれて鏡として機能するようになる。相手を人間として尊重できる人にはそういう相手が、取り替え可能な耐久消費財と考える人にはそういう相手が寄ってくる。

    アプリでの取材でも、ソウタさんのように熟年離婚でバツイチになった男性たちにたくさん出会った。彼らに共通する特徴は妻を人間としてではなく、自分の人生で無制限に利用できる耐久消費財としてしか見ていなかったということだ。だから妻が2人の関係に何を求めているかに全く関心を持とうとしない。プライオリティ(優先度)の最上位にあるのは常に会社や組織の中での自分の立ち位置で、一番近くで支えてくれる妻の感情は「面倒くさいもの」「聞き流すもの」として最下位に追いやられてきた。
    その結果、育児や家事、夫の世話すべてをワンオペで妻に背負わせ、一番助けを求めている
    辛い時に手を差し伸べようとしなかったツケとして、子育てが終わったら縁を切られてしまう。

    うわべはパートナーを大事にすると言葉を連ねても、相手が何をしようとしているのか、何を求めているかには興味を持たない。今のままでは、離婚した元妻との生活を繰り返してしまうリスクが高そうだ。
    残念なことだがソウタさんのように、妻の内面や人間としての側面にまったく関心がないという熟年男性は本当に多い。これが2021年、熟年離婚が離婚件数の21.1%を占める3万8968件と史上最高に多かった一つの理由だろう。

    誰もが目を留めるほどのキラキラ過ぎるアイキャッチなプロフィール写真を見たら「いいね!」をする前に立ち止まって考えてみてほしい。それは最大限にイメージを美化させたアバターであって、あなたが会うのは美化を剥がした「中の人」なのだ。

    アイコンの自己演出が過ぎたり真逆だったり、リアルな自己像と離れていると、マッチングも良い結果にはならない。

    マッチング後のうまくいかないパターンあるあると紹介すると・・・。
    日常のルーティンを死守したいが、彼氏彼女も欲しい。アプリでマッチングしLINEで終わらない世間話を続ける。お互いにどんな関係を築きたいか話し合えないまま交際へ。だが、お互いに自分のためにルーティンを変えてくれない相手とは続かない。破局。またマッチング→以下無限ループ。
    だから私はメッセージを交わした後、ビデオ通話でお互いの顔を見て考えていることを話し合い、それがOKならLINE交換、という流れを推奨する。男性の8割は「リモート会議のようで緊張する」「自分の顔が嫌い」とビデオ通話を拒否するが、顔を見て話せないようならどっちにしろ付き合うのは無理だ。きちんとお互いの考えも伝え合わないでLINEをだらだら続けていても、それは婚活ではなく単なる暇つぶしに過ぎない。
    マッチング・アプリ症候群とはこのモラトリアムな無限ループ状態から抜け出せなくなった、永遠の婚活者たちなのだ。


    マッチング後、アプリのメッセージですべきこと

    1マッチングしてくれたお礼を伝え、会話の流れに合わせて自己紹介(名前、年齢、家族構成、住んでいる地域、ペット、同居人の有無など)

    2職業を教える(会社名は言わなくてもいいが、業種、職種など)

    3趣味を教える(相手との共通項を探すと話が盛り上がる)

    4ざっくりしたライフスタイルを教える。通勤かリモートか、就寝、起床時間などを教えると、いつメッセージを送ればいいかの参考になる。

    5これからの交流の仕方(しばらくメッセージをやり取りする、ビデオ通話をしてみる、LINEを交換する、近々会う)などを話し合ってゆるく決める。

    LINEに移行してからすべきこと

    1相手が本名を名乗ったら自分も名乗るか、下だけ教えてフルネームは会った時に伝えると言う。女性はリスクもあるので本名はここでは伝える義務はない。相手に合わせ、気分を損ねないような返事を考えておく。

    2仕事についてもっと詳しく教えて信頼を得る(目黒区にある中堅の建築会社で営業職をやっている・・・など)仕事の大まかな内容、曜日ごとの忙しさなども伝えるとなお良い。

    3家族について・・親は健在か、どこに住んでいるのか。きょうだいはいるか、何をしているのか。バツのある人は子供がいるかどうか、何歳か、同居しているか、など。

    4趣味についてもっと詳しく(週末はネトフリでオリジナルの映画を見た。仲間と山にキャンプに行ってBBQをした、温泉巡りをしていて東北にハマっている、など)

    5自分の恋愛観、結婚観、パートナー観をできるだけわかりやすい言葉で伝える。男性でこれができる人はほとんどいないが、最も大切なのはここ。


    出会いの責任はアプリが背負ってくれるが、別れの責任は自分で負わなければならない。あなたがマッチングしたのはゲームのキャラではなく、生身の心を持つ人間だ。

    ただ一つ確実に言えることはどんなにプロフを充実させてもLINEをマメに交換しても、実際に会って関係が深まらなければそれでアウトだということだ。アプリのメッセージは顔合わせの挨拶、LINEトークは会う日を相談したり予定を打ち合わせる業務連絡で、2人がパートナーとして踏み出せるかは会ってしっかり関係ができた時にしか決められない。

    相手がどんなにいい人でも、マッチングしただけでは付き合う決め手にはならない。
    マッチングはあくまで最初のちょっとしたきっかけであって、それを生かすも殺すも、その後のコミュニケーションにかかっているのだ。アプリのシステムはお見合いの仲人ではないし、恋愛の自動孵化器でもない。リアルな出会いと同様、選択の意思表示をしないと前にも後ろにも進めないのだ。

    確かに誰かとマッチング交際しているのに、次々とマッチングを成立させるやつって本当に信用ならない。本来ならアプリは2人で退会するのが目的だ。なのに交際を始めても退会しないこと自体が、心のどこかで相手を「交換可能」と考えているからだろう。次に付き合う相手を確保した時点で、トカゲの尻尾のように切り捨てる鬼畜もかなりいる。
    それを変だと思えなくなるのは、既にマッチング依存がかなり進んでいる証拠だ。
    所詮、ゲームとはいえ、やはり最後に勝つのは人間力や素直に相手を求める気持ちだ。

    繰り返しになるが「いいね!」500超えの人たちは、もともとが無理めな超絶イケメン・美女か超絶スペックの持ち主や、もしくは「いいね!」ゲットのために尋常ではない努力をしている人々だ。後者は普通の婚活とは目的の異なるマッチング依存、自己承認のためだったりするので、マッチングしてもうまくいく確率はかなり低い。だからこういう人に遭遇したら「ああ、ここにもマッチング依存症がいる」と思ってそっとしておこう。

    自己紹介文のパターンは大体、次の5つのどれかに分けられる。

    1テンプレ型。「職場では全く出会いがありません。FBでこのサイトのことを知って登録してみました」「婚活は全くしていなかったのですが、友達から聞いて登録してみました」「周りには優しすぎる、誠実で裏表がないとよく言われます」というよくあるコピペの応用だ。大切な情報は何一つないので、このタイプは圏外。

    2自信に満ちたオレオレ型。そこそこ成功者にありがちな仕事の実績を並べて俺ってこんなに凄い。こんなに業績をあげたと自慢したあげく、君の美味しい手作り料理が食べたい、俺の健康管理よろしくと宣言する昭和アンチフェミ。ぐったり疲れる。圏外。

    3役所の書類型。必要最小限の情報しか書かず、人間性を判断するのに必要なデータは一つもない。写真も毛穴全開の恐ろしいドアップか、ボケていたりマスク顔だけが多い。圏外。

    4ステマ広告型。「気になったら足跡をつけまくるかも!」「いいね!をくれた方全員にいいね!を返します」「とにかくマッチングしてみませんか?」ステマ広告のキャンペーンかと思うぐらい毎日しつこく足跡をつけて「いいね!」を稼ぐ自己承認欲求強めタイプ。疲れる。圏外。

    5等身大型。彼女と別れた、離婚した、人付き合いが苦手、オタク・・・・などネガティブに捉えられるリスクも含めて率直に書く正直タイプ。地味だがそれなりに個性も伝えようとしている。「いいね!」数は少なめだが話してみると意外に居心地のいい良物件が多し。圏内。

    5つの中でマッチングの最適解は5だけで、あとはすべて邪道だ。
    自分の内面でパートナーの存在の意味をきちんと位置づけており、いい関係になるための努力がちゃんとできることが必要最低条件だろう。

    1から4までは(中略)結婚を便利な耐久家電のようにしか思っていない人々が多い。彼らとはマッチングしても貴重な時間をゴミ箱に捨てるだけなので基本スルーする。

    もし学生時代に出会えなかったら、人間関係の流動性が低い社会人生活の中で出会える確率はぐんと下がるからだ。が、アプリには検索機能やコミュニティがある。何十年も探し続けていた人を一瞬で見つけてくれるのだ。

    人には同調心理が働くから行列のできているレストランには並びたくなる。行列ができることが美味しさの証明だと考えるからだ。でも世の中にはその心理を利用して、サクラを並ばせる店もある。
    マッチングアプリにおける「いいね!」の数は、この行列の数程度の意味しかない。あなたはその近くにある、誰も並んでいない店のほうがずっと美味しいと感じるかもしれない。そして行列に並び1000「いいね!」の男性とマッチングすると、虚しいコミュニケーションを交わした果てにブロックされ退会されて、アプリをやめたくなるかもしれない。
    そのあげく、本来出会うべきだった相性のいい相手には出会うチャンスを逃してしまうのだ。マッチング・アプリで高望みして玉砕する人々は、この現実を知ってほしい。

    あの筋肉写真は、集客用の宣伝だった。
    やはり最初に抱いた違和感は正しかったのだ。おおっぴらな投資勧誘とかロマンス詐欺ではなくても、マッチングで集客しようとするシンさんのような営業詐欺は必ず一定数はいる。それに引っかかった自分も情けなさすぎるが、せめてこれを読んで反面教師にして欲しい。
    ホストを始め水商売の裏を熟知しているシンさんは、飴と鞭の使い分けに長けている。結婚を前提とした交際を餌にするやり方はまさに、ホストの「釣り」と全く同じだ。
    そしてこういう相手ほど性的な関係に持ち込んで、相手を経済的にからめ捕るのが極めてうまい。性関係に進んでしまうと、アプリ外で起こる全てのトラブルが降ってくる。
    プロフィールや自己紹介に1つでも怪しいと思う要素があったら、絶対に深い関係に進まないことをお勧めする。さらなるマッチング依存の泥沼にハマって、身動きが取れなくなるから。

    さらにもう1つ、最近は梅毒など性病が増加しているが、これは出会い系アプリの利用によって感染が拡大したのではないかと言われている。出会い系とマッチング・アプリ、どちらにも登録して獲物を待ち構えているナンパ師も多いので、要注意だ。

    本命になれたと思っていたら実はこの仮カレ、仮カノ状態で、複数同時進行されていたというケースも。複数進行でも勝ち抜ける覚悟がないと、アプリで結婚するのは難しいのだ。1時間、1日、1ヶ月。踏ん切りがつかないのなら、だらだら続けるより区切ることで前進できる。ここにはドラマのようにロマンチックな偶然はない。
    マッチングしてみたら憧れの先輩や上司、幼馴染だったとかも99%ない。あるのは現実的な戦略と、確率論的な結果だけだ。
    でも大丈夫。アプリを始めて1年もすればあなたも立派なマッチング依存症。何があっても驚かない鋼鉄の心臓になっているはずだ。

    しかし私は二度と写真詐欺に出会いたくないので、今は可能な限り会う前にLINEのビデオ通話をするようにしている。
    こういう失敗から対策を1つずつ学ぶのがマッチング・アプリの極意だ。
    ビデオ通話チェックの利点は数えきれない。
    1年齢、体型、顔、その他の嘘が一目瞭然でバレる。
    2相手の雰囲気、部屋の様子、生活感などの雰囲気が一瞬でわかる。
    3既婚者はそもそもビデオ通話をしたがらないので、見抜くのに便利。
    4テキストではわからない、会話が弾む相手かどうかの相性、生理感覚がすぐわかる。

    マッチング・アプリ症候群 定義
    1アプリで真剣に結婚相手、もしくは結婚を前提にした恋人を見つけたいと思っている。
    2登録してから最低1年以上、常時アプリをやっている。
    3次々にマッチングすること、またはそれを期待することが通常運転で生活の一部となっている。マッチングがないと自分に自信が持てず不安になる。
    4今までに15人以上とマッチングして付き合ったが、うまくいかず3ヶ月以内に別れてはまた付き合うことを繰り返している。
    5短期の交際と別れを繰り返すのは、自分と相性のいい相手に出会えないからだと思っている。例えば性格や価値観、ライフスタイルなど。
    6「いいね!」をもらうと、その瞬間だけは自己肯定感を得られる。
    7常時、複数進行が当たり前になる。
    8マッチングがないと物足らなくなり、注目させるためにプロフィールを常時あれこれいじったり、参加コニュニティをどんどん増やしてしまう。

    ↑5つ以上当てはまる人は、程度の差こそあれマッチング・アプリ症候群と言える。一言で言えば目的と手段が少しずつ入れ替わっており、結婚よりアプリで自己肯定感を得ることの方が重要な目的になっている、ということだ。

    私自身がかなり重度のサブカルオタクなので、自分と同じくらいのオタク度の相手でないと人種が違い過ぎて安心できない。大体いつも暗い所でパソコン画面と同化していて考えていることもろくでもないことばかりだし、パリピじゃないしカラオケゴルフ飲み会みたいなおされなデートBBQみんな嫌いだし、映画や本の趣味もかなり偏っている。しかもコミュニケーションもライフスタイルも、極度に生活感に乏しいらしく「空気を食べて生きてるみたい」とよく言われる。

    問題は彼ら(マグロ男子)自身が「リスクを取らない何もかもお任せのマグロ男子は、こっちにだけ負担がかかって疲れる」「相手任せはずるい。そっちが言い出したから、みたいに何もかもこっちのせいにされる」という相手の不満を理解していないことだ。
    自分を否定されるリスクをなくしたいという理由から始まった「丸投げ」が、結局、相手を全否定することになるという皮肉。

    新著「先生、どうか皆の前でほめないで下さい いい子症候群の若者たち」(東洋経済新報社)で、目立つこと、浮くことを恐れ、同調圧力の綱渡りをしている若い世代の内実を分析した金間大介・金沢大学融合研究域融合科学系教授、東京大学未来ビジョン研究センター客員教授はこう語る。
    「今の若者は自分の感情のアップダウンを徹底的に嫌う。恋愛はメンタルを不安定にする最大のリスク要因。彼らは異性とのなし崩しの出会いの場がある学生のうちに恋人ができなければ、一生恋愛できない、社会人になってからは明確な意思を持って恋愛行動できないと言う」

    雨降って地固まる、という言葉すらもう通用しない。雨が降ったら世界は崩壊するから。雨の降らない場所を探してアプリに登録するのが今流の感覚なのだ。

    経済的な条件とか将来性とか計算しないで、とにかく今、一緒にいたいかどうか考えた方がいい。今日起こったことを報告したい相手か。お互いの趣味に興味を持ったり面白がったりできるか。そういうシンプルなことを決め手にすべきだと思う。それがOKなら、大抵は大丈夫ですから。だからアプリのプロフィールで気になるのはコミュニティぐらい。

    でも僕自身もやはり自分のルーティンを壊したくない。20代なら簡単に壊せたものが、30代、40代と歳をとるほど強固になって壊すことが怖くなる。アプリでもマッチング相手と恋愛に進めないのは、この気持ちが大きいのかもしれない。

    この状態はマッチング後の発展が大体、読めるようになってしまったことからくる虚脱感なのだ。はっきり言って相性が抜群の奇跡的な相手と出会えた人以外は、ほとんどが40点の満足度だと思っていた方がいい。なぜならアプリに載っているプロフィールは「自分をよく見せる」ために底上げされたもので、その水増し率は大抵25%ぐらいだからだ。
    女性の顔写真はメイクで25点アップする。小売の自営業者は「経営者」という肩書で25%アップする。年収350万円が「500万から800万円」のランクになり、「優柔不断で決断力がない」は「みんなに優しすぎると言われます」に。「空気が読めず相手を怒らせてしまう」は「真っ直ぐで裏表がなく、嘘がつけない性格」となる。
    あなたは65点だと思って相手とマッチングするが、現実は40点。
    つまり1,2度会ってお茶をする程度ならいいが、付き合うには微妙なのだ。
    この40点感覚というのが何人か続くとマッチング不感症になる。

    アプリでの出会い方はコンビニでの買い物の便利さとよく似ている。
    そんなに高価なものや特別なものはないが、自分の求める程度のクオリティは手に入る。自己紹介やメッセージのフォーマットがある分、気楽に参入できるし、嫌になればいつでも出ていくことができる。
    その心地よさが、逆にそこから出られない中毒性を生み出しているとも言える。

    男女ともに言えることだが、結婚もせず同棲もせず彼女も作らずソロ歴が10年を超えると、生活が自己完結しすぎて、他者が入り込む余地がなくなるリスクが大きくなる。

    1人が長いと「彼女・彼氏がいる協調性モード」に自分を変えるのがしんどくなる。
    本当は見たくない映画も誘われれば「面白そう」と笑顔で付き合い、家でジャージ姿でゴロゴロしていたい休日も、デートがあれば身なりに気を配って女性ウケする店を探さなければならない。最初はテンションが上がっているから気にならないが、やがてそれがいちいち負担になってくる。
    女だって同じだ。女子力を維持しつつ、オタ活や推し活をしつつアプリの婚活デートも積極的にするのはかなりしんどい。自分の世界が確立してしまっている人ほど、他人との擦り合わせという余計な作業を入れることにフラストレーションが溜まる。

    だからアプリでマッチングをしたら、まずプロフィールのどこが嘘でどこが本当か見定めなくてはならない。アプリ内メッセージのやりとりではほぼ分からないので、一通り自己紹介をしたらLINEに移り、電話やビデオトークしてみることを強くお勧めする。百回メッセージ交換してもわからない生理的、感覚的な相性、そして相手の嘘やごまかしが一瞬にしてわかるからだ。特に直感力の優れた女性なら、相手のキレやすさ、俺様な傲慢さ、自己中などネガティブな部分は察しがつく。声や映像の情報量は、テキストの比ではない。

    会ったことのない相手とのメッセージ交換、LINEトークは7割が想像とは全く違う現実を隠していると思った方がいい。みんな自分を少しでもよく見せることに必死なのだ。あなたが今、アプリのプロフィールに書いている「ちょっとした嘘」のように。

    例えばこんなプロフィールは、裏のマイナスポイントを隠しているかもしれないので要注意。
    「周りに裏表がないと言われる」KYで気を使えない
    「決断力がある」俺様で協調性がない。相手の意見が聞けない。
    「経営者」月商10万に満たないネット通販ショップなどの経営
    「年より10歳は若いと言われる」リップサービスを真に受けている
    「すぐに仲良くなる」付き合っていなくてもすぐやろうと誘う
    「家事はできれば一緒にしたい」と言ってもあくまで口だけ
    「デート代は自分が多めに払う」最初だけは
    「実家暮らし」生まれてから実家を出たことがない。母親が上げ膳据え膳

    人は自分に関心を持たれていないと、相手にも興味がなくなる。「どうでもいい人」「圏外の人」になる。圏外だからもはや電話も繋がらないし、意思の疎通ルートも途絶えてしまう。最終的にはそこにいてもいない人になる。

    今や婚活者の5人に1人がマッチング・アプリでの出会いで結婚していく。
    しかも離婚率は日米でそれぞれ行われた2万人近い調査で、リアルでの出会いより約2%低かった!

    2023/09/01(金)記述

  • 面白おかしく読んだ。私自身もマッチングアプリで知り合った相手と結婚しているので、アプリを使った婚活が今後主流になるであろうことは同意できる。

    著者の方のプロフィールが詳しく書かれていなかったのでよくわからないが、真剣に婚活をしているテイでこんなにたくさんの相手に取材をして、相手が本に書くことを同意してくれているのがすごいと思う。ただマッチングする相手は本人のプロフィールに大きく左右されるので、偏りのあるサンプルであることは確かだと思う。

    私はアプリを利用し始めて半年程度で、今の相手と出会い退会したが、長いことアプリを使い続けて依存症のようになっている人も多いのだろう。そもそも現行の婚姻制度に乗れない人たちもいて、著者の指摘通り、アプリを使った流動的な人間関係が心地よいと感じ、セーフティーネットとして機能している側面もあるのだろう(長く特定の人との関係を維持することが苦手なADHD男性の事例に象徴されるように)。インタビューされた男性の一人が「アプリに求めるのは、結婚してもいいぐらいの相手だと思ってもらえる肯定感」と言い切っていたのが印象的だった。本気で結婚相手が欲しいと思うのならば、そこに「長居」をしないことが肝要だということは、経験者からのアドバイスとして言っておきたい。

    家事や介護、家業のサポートなどを「業務」と割り切り契約婚する「逃げ恥婚」や、非正規男性と経済的にも精神的にも安定した年上女性との「マクロン型年の差婚」などは、新しいマッチングの形として希望が持てる。従来の日本だと、前者は「金目当て」、後者は「熟女フェチ」「若いツバメを囲う」などと後ろ指を刺されがちな組合せではあるが、考えてみれば年上男性と年下女性の組合せは普通に成立しているわけで、経済力や生活基盤の提供を期待していることを変にぼかしたり、それを求めていない相手の翼をもいだりするから熟年離婚につながるわけで、「逃げ恥婚」のような形で合意形成することは、お互いにWin-Winと言える。後者においても、お互いの需要がマッチしてさえいれば、世間にとやかく言われることではないし、何なら若者の低収入化による非婚化といった社会問題への処方箋にもなりうる。子を成せないことを問題にする人もいるが、我々夫婦のように妙齢同士で結婚したって子どもを作らない人たちだって少なくないのだ。

    自民党の高齢議員がどんなにあがこうと、家父長制がぶち壊れていくのは止められないし、選択的夫婦別姓も同性婚もさっさと認めて、多様なパートナーシップのあり方が当たり前になると良いのにと思う。

  • 著者自らがマッチングアプリを使用し、ユーザたちにインタビューをする。男性だけでなく女性も答えている。

    まず気になるのが、ぼくの記憶が正しければ、おそらく著者は還暦を過ぎていたのでは、という部分。いまの世の中、年齢でどうこう言うのも憚られるが、しかしマッチングアプリが恋愛や婚活、セックスを目的としている以上、年齢でゾーニングされる現実があるのも事実だろう。
    そして、それはそのまま著者のマッチング相手にバイアスがかかることにも繋がる。身も蓋もない話だが、ろくな相手とマッチングしないのである。
    しかし、だからこそ本書はインタビュー集として成立しているともいえる。


    「パートナー探しは村社会の掟や同調圧力とはまったく無関係なところで行われるべきで、日本社会でその条件を充たす場所はアプリの中しかないからである。」

    最後のページに書かれていた文章だが、言いたいことはわかるけれど、これは疑問もある。
    男性も女性も(特に女性のほうが強いと思うが)、社会からのプレッシャーやまわりの友達が結婚していくことに対する焦りからアプリに手を出す、というパターンが多いのでは、と思う。
    いまさらだが、ぼくはマッチングアプリを使ったことがないので、もしかしたらアプリは著者が言うように社会とは無関係に作動しているのかもしれない。でも、たぶんそれは幻想なんじゃないかと思う。というより著者はかなり特殊なパターンであり、ほとんどのアプリユーザは過剰ともいえる社会との連関のなかで「マッチングアプリ症候群」になっているのでは、と思う。


    全体としてはネット上に転がっていそうな内容ではある。
    実際にマッチングしてインタビューに使うという手法も、今時はあまり褒められたものではないと思うが(なにせユーザからすればアプリに課金して還暦の女性とマッチングしたうえに本の題材とされ、しかもネガティヴに描かれるひとがほとんどなのである)、これが本として成立するという考え自体、90年代サブカルの残り香が漂う。

  • ネット記事のような本

    作者がインタビューしてきた人々のマッチングアプリ体験談が詰まっている。
    作者の意見が全面に押し出されるというよりは、多くの人々の体験談ベースで語られており客観的で読みやすい。

    特に目新しい話はなく驚きもなかったため⭐️3

  • マッチングアプリに潜むとてつも無い依存性がとても伝わり、共感した。アプリを利用している期間が長いと感じた人は一度読むべき一冊だと思う。本書では筆者の体験から語られる幾つもの”マッチした事例”の詳細がある。

    すでにアプリを使用している読者は2つの視点から本書を活用できると思う。

    一つ目はなぜこんなにアプリを辞められないのか、いわゆる拗らせている原因が知りたい。これに関しては様々な事例が述べられるので必ずどこかで自分に当てはまる(マッチする)内容があると思うのでそこで明らかになるだろう。案外自分も当てはまることがあった。それにこれまでにマッチした人もこうゆうことだったんだろうなあと落ちることが多々あった。

    2つ目は現在の自分のやり方が一般的にみてどうなのか知りたい。
    実際マッチングアプリには、マニュアルもなくやり方は全てユーザーに任されている。そのため、自分は相手に対してのアプローチが一般と比べてどうなのか、”やりすぎ”もしくは”奥手すぎ”ないかを測るものさしがないことに戸惑っていた。だが、この本書で語られる膨大な量の男性や女性の事例を見ると少しは感覚が掴めるかもしれない。


    最後にこの本の個人的な感想を以下に述べる。
    筆者本人と、それにマッチした人はほとんどが中年であること。おそらく30後半〜50後半が全て。これに関しては20代には全くハマらない内容だった。マッチした人として語られるのはほとんどがバツイチ子持ち、あるいは童貞。そもそもの背景が違いすぎて、こんな拗らせ可哀想だなあぐらいにしか思えなかった。だが、アプリの本質は年齢に関係ないことも分かった。結局いいねをもらえる人、その後幸せな状態になるまでにはこれはダメという考え方は変わらないということだ。

    最後に一言述べるなら、この本を読もうと思った方は、すでに症候群を患っている。

  • 面白すぎる。全日本人に読んでほしい。

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